Vanilla文庫 ドルチェな快感♥とろける乙女ノベル

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書籍詳細

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伯爵様は新妻を愛でたおしたい~ワケあって求婚を受けたら、溺愛されました~

著者:山野辺りり
イラスト:すがはら りゅう

ISBN:978-4-596-58499-1
ページ:290
発売日:2018年12月3日
定価:本体590円+税

あらすじ

旧家の令嬢オルテンシアは国王直属の諜報の任に就いている。伯爵令息ルチアーノに近付き、二人の王子のどちらを支持するか探ろうとするが、彼は真意を掴ませないまま、突然オルテンシアに求婚してきた。「貴女は本当に敏感で可愛いですね」強い執着と愛情を見せてオルテンシアを翻弄するルチアーノ。とまどいながらも彼に惹かれていくけれど……!?

キャラクター紹介

VBL-179_heroin_faceオルテンシア
絶世の美女。努力家で実は男嫌いだが容姿以外に自信がない。妹を溺愛している。

VBL-179_hero_faceルチアーノ
一見優男風の美青年。お人好しのぼんやりした性格に見えるが……?

試し読み

「約束を、覚えていらっしゃいますか?」
敗者は、勝者の言うことを一つ、何でも聞く。
自ら言い出したのだから、忘れるわけがない。叶うなら、忘却の彼方に押しやりたかったが。
ぐっと言葉に詰まったオルテンシアに、椅子から立ちあがったルチアーノがテーブルを回りこんで近づいてきた。
「何でも、良いんですよね?」
改めて問われるのが恐ろしい。いったい何を要求されるのかと慄きつつ、オルテンシアは平静を装った。
「勿論ですわ。私にできることでしたら」
「オルテンシア様にしかできません。貴女だけが、僕を救い満たすことができる。ですからどうか――触らせてください」
「……はい?」
たっぷり間が開いてしまったのは、本気で意味が分からなかったからだ。
触るとは何だ? と疑問符がオルテンシアの脳内を駆け巡っていった。
「無垢な貴女に、まだ過度な要求はしません。ですが追々慣れていただきたいですから」
慣れるとは、何にだ。
しかもまだという文言に不安を覚えるのは自分だけではあるまい。
硬直したままのオルテンシアは、ひょいっと椅子から抱きあげられていた。
「ちょっ……?」
降ろされたのは、替わりに椅子へ腰かけたルチアーノの膝の上。彼の太腿の上に横を向いた状態で座らされ、我に返る。
「こ、これは何ですか?」
「いわゆる抱っこですね。オルテンシア様は随分軽くていらっしゃる」
その言葉で、全体重をどっしりルチアーノにかけていることに思い至り、オルテンシアは慌てふためいて立ちあがろうとした。
「駄目ですよ。僕が勝ったのですから、お願いを聞いてください」
「それとこれとは……!」
腰と背中に腕を回され、身動きが取れなくなる。そもそも両足が床につかないので、逃げることは叶わなかった。
男性に抱えられ、これほど密着するのは生まれて初めての経験だ。ごく幼い頃ならば父親にされたこともあったけれど、もう頭の中は大混乱だった。
――何なの、これは……っ?
ただ抱きしめられるのとは種類の違う羞恥がある。
両脚を行儀よく揃えたまま、身じろぎもできない。何故なら暴れると、彼の太腿の感触が生々しく伝わってくるからだ。
だとすれば当然、オルテンシアのお尻の感触もルチアーノに伝わっているはずである。
――無理! そんなこと、恥ずかしすぎるわ……!
両頬が赤く染まってゆくのが分かり、動揺している自覚が尚更オルテンシアを追い詰めていった。嫌な汗が全身に浮かび、それもまた居た堪れない。
ひょっとして汗臭いのでは……と不安になった頃、彼がオルテンシアの首筋に鼻を埋めたので、思わず叫びそうになる。
「貴女は、甘い匂いがしますね」
――嗅いでいる? 私の匂いを? え? 今、汗ばんでいるのに?
目の前が真っ暗になるという経験を、この時オルテンシアは生まれて初めて経験した。そうこうする間にも、ルチアーノは深く息を鼻から吸っている。何度も。しつこく。執拗に。
「や、やめ……」
「ああ、すみません。あまりにもいい香りなので、つい。お願いは、触らせてほしいでしたね」
「はいっ?」
声が裏返ったことを気にする間もなく、彼の手がドレス越しにオルテンシアの身体を弄ってきた。それも、経験がない乙女にも分かるほど、淫靡な手つきで。
最初は平らな腹を。次に脇腹を撫で上げながらゆっくりルチアーノの掌が上昇してゆく。
「……ひっ」
擽ったいのとも違うざわめきが、オルテンシアの背筋を震わせた。
彼の体温が伝わってきて、まるで全身が心臓になってしまったかのように鼓動が駆け巡る。何もできないまま見下ろした身体の稜線を、ルチアーノが丁寧になぞっていた。
「やっ……」
「貴女は約束を違えたり、しませんよね?」
迸りかけた悲鳴は、耳元で囁かれた言葉で喉を通過する前に霧散していた。
目的のためならいくらでも嘘を吐き自分を偽ることができるオルテンシアだが、一度交わした『約束』を破るのは嫌いだからだ。『約束』とはすなわち『契約』。一方的に破棄するのは信用と誇りに関わる。
そんなオルテンシアの気真面目さを見越した台詞に、今更『嫌だ』などとは言えなくなっていた。しかも先ほど、自分の質問には答えてもらっている。その上彼は正式にはまだだが婚約者だ。一緒に住み始めたことで、世間が夫婦とみなすのも時間の問題。
ならばこの行為はちっともおかしいことではない。
「でもっ、まだ朝ですわ」
「少し触れるだけですよ。オルテンシア様は案外いやらしいですね。何を想像したのですか?」
分かっているだろうに、からかう響きが腹立たしい。しかし完全に退路を断たれた気分で、オルテンシアは身悶えた。
せめて夜ならば、暗い分我慢ができる。『やってやるぞ』と気合を入れていることもあり、勢いで乗り切れる気がしていた。
だが今は正午にもなっていない時間帯で、完全に油断していたのだ。
外は明るいし、遊戯室の外には使用人の気配もある。こんな状況で卑猥な秘め事に耽るほど、オルテンシアは場慣れしていなかった。
男性を上手くあしらう術は身に着けているつもりだったのに、ルチアーノが相手だとことごとく上手くいかない。彼がいちいち予想外の反応と言動をするからだ。
――いくらお兄様でも、真昼間の密室でチェスの敗北を理由に襲われた場合の対処法は教えてくださらなかったわ……!
実力行使でルチアーノを昏倒させ逃げる術も考えたが、この事態を招いたそもそもの原因はオルテンシア自身と言えなくもない。自分の欲求だけ押し通し、後は尻尾を巻いて逃げるなどという卑怯な真似もしたくなかった。
結局オルテンシアは、覚悟を決めて身体の力を抜く。全て計画通りだと己に言い聞かせながら。
「ふふ、怯えないでください。本当に貴女はなかなか懐かない猫のようです。それでも撫でさせてくれるようになったのは、進歩でしょうか?」
「……ゃ、んっ」
掬い上げられた乳房が、襟ぐりから谷間を強調した。彼の掌全体で包みこまれ、柔らかな膨らみが形を変える。頂を布が擦る度、オルテンシアはビクビクと身を強張らせた。
「大丈夫、痛いことはしませんよ。僕は貴女を可愛がって甘やかしたいだけです」
「……ァッ、耳舐めないで、くださっ……ふ、あ」
耳朶を食まれて、吐息と共に艶声を注がれた。いつもより淫らに響く彼の声が、内側からオルテンシアを侵食してゆく。
熱くて、恥ずかしくて、おかしくなりそう。
スカートの裾をたくし上げられ、オルテンシアの真っ白で柔らかな太腿が晒されれば、ギリギリ保っていられた淑女の仮面をかなぐり捨てずにはいられなかった。
「駄目っ……!」
「ご安心を。今日は直に触れたりしません。ただオルテンシア様を気持ちよくしてあげたいだけです。僕に触られることに慣れてください」
下着越し、ごく薄い布一枚を隔てて、秘めるべき部位を弄られた。
本当なら、夫にのみ許す場所。しかも閨で慎ましく、夜陰に紛れて耽る秘め事のはずだ。
自分からはたっぷりとしたドレスの布地に阻まれ見えないけれど、足の付け根をルチアーノに暴かれているのかと思うと、頭が沸騰しそうになった。
まだ誰にも綻んだことのない蕾は青く硬い。委縮した身体を宥めるように、彼は何度もキスを落としてきた。
うなじや首筋。耳にこめかみ。
湿った吐息に肌を炙られて、際限なく熱がこもってゆく。
最初は熱いと感じたルチアーノの手は、今やオルテンシア自身が発熱しているせいで同じ温度になっていた。完全に別物のはずの肉体が、混ざり合う。密着しているせいで、境目が曖昧になってしまう。
強く噛み締めた顎は、咎めるキスで緩められていた。
「声を、聴かせてください」
「お願いはっ……一つだけのはずです……!」
「つれないな……ですが貴女の言う通りです。でも我慢できなかったら、出してくださいね?」
「……ぁっ……ん、んッ」
未知の感覚が怖い。
知識はあっても実体験を伴わない快楽に、オルテンシアは全身を戦慄かせた。
下腹にうねる喜悦が溜まる。それを掻き出すかのような淫靡な指の動きに、噛み締めた歯が微かに軋んだ。
閉じようとする太腿は強引に開かされ、一度彼の手の侵入を許してしまうと、もう蹂躙されるより他に道はない。
いくらルチアーノの暴挙を拒もうとしても、むっちりとした腿で挟むくらいのことしかできなかった。その程度の抵抗は男を煽るものでしかないらしく、彼は滾る吐息をオルテンシアに吹きかけてくる。
僅かに掠れ乱れた声が、余計にルチアーノの剥き出しの劣情を伝えてきた。
「可愛い……もっと、僕に身を任せて」
「……ひ、ァっ、やぁ、あっ」
「ねぇ、オルテンシア様……いつもなら見向きもしてくれない孤高の美猫が、気まぐれにこちらに興味を示してくれた時の気持ちが、貴女に分かりますか?」
「何のっ……話ですか? あぅっ」
下着の上から敏感な淫芽を潰され、オルテンシアは背をしならせた。
彼の腕に囚われたままでは、動ける範囲などたかが知れている。狭い範囲でビクビクと四肢を強張らせ、快楽を逃すこともできない。
未知の感覚に怯え、これまで作り上げてきた『社交界の華オルテンシア・ヴォントレン』を演じることも難しかった。
「調子に乗ると爪を立てられると知っていても、構い倒さずにはいられないのですよ」
「あ……やぁっ」

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