書籍紹介
冷徹王の最愛妻~身代わり姫の偽り政略結婚~
冷徹王の最愛妻~身代わり姫の偽り政略結婚~
ISBN:978-4-596-74756-3
ページ数:306
発売日:2022年8月3日
定価:700円+税
  • あらすじ

    お前が、俺の唯一だ。俺の妃は、お前しかいない 身代わりで初恋の人の花嫁に!?

    王女の身代わりにゼーフェラング国王シグリッドに嫁いだアメリア。だがシグリッドは彼女をひどく警戒し、視界に入るなと冷たく言い放つ。実は彼は以前のアメリアを知っていて彼女が身代わりと分かっていた。「離れている間、俺はずっとお前が恋しかった」誤解が解けた後、真摯に情熱をぶつけてくるシグリッドにアメリアの心と身体も熱く蕩けて!?

  • キャラクター紹介
    • アメリア
      前国王の庶子だが最近までそれを知らなかった。クラウディア王女の身代わりになりゼーフェラングに嫁ぐ。

    • シグリッド
      ゼーフェラング国王。暴君の兄を粛清して王位に就いた。前のアメリアと面識がある。

  • 試し読み

    王の寝室は五人の司祭により、大司教から聞いた通りの手順で検められた。
    初夜の立会人である司祭たちは寝台の下まで覗き込んで誰も潜んでいないことを確認した後、繁栄を意味するオリーブの枝を手にしたボウルの水につけ、寝台の上に振りかける。
    何とも古典的で仰々しい儀式を、シグリッドはクラウディアと並んで見守った。
    「清めの儀は終わりました。床入りをお願いします」
    司祭の声を合図に、王女の手を取り寝台へ進む。
    彼女の手は緊張で冷たくなっていたが、震えてはいなかった。
    広い寝台の上に、まずはクラディアが横たわる。
    続いてシグリッドが彼女の隣に寝転ぶと、司祭たちは一礼し、天蓋から分厚い織物を引き下ろした。寝台を幾重もの布が取り囲んでいく。
    王女はすっかり暗くなった寝台の上で、じっと宙を見上げていた。彼女も大司教から説明を受けたのだろう、これから何が起きるのか知っている様子だ。
    やがて所定の位置についた司祭たちが、燭台の火を吹き消す。
    と同時に、祝詞らしきものが四方から聞こえ始めた。
    予想以上に視界が暗い。そして声が遠い。天蓋ヴェール代わりの織物が防音の役目を果たしていることに気づき、詰めていた息を吐く。
    クラウディアもシグリッドと同じタイミングで、ほう、と息を吐いた。
    それからこちらに顔を向け、「緊張しますね」と小声で言う。
    そのか細い声に滲む怯えに、シグリッドは複雑な気持ちになった。
    俺を騙し切るつもりでここへ来たのだろう?
    そう強く詰りたいような、無理はしなくていいと慰めたいような。
    きっとどちらもシグリッドの本音だ。
    何を言っていいのか分からず、無言のまま身を起こす。
    それから彼女の上に馬乗りになり、身に纏ったネグリジェを脱がせにかかった。
    太腿の裏に感じる柔らかな感触に、心臓は早鐘を打ち始める。
    暗闇の中に浮かび上がっていく白い肢体は見事な均整を保っていた。手の平でちょうど覆えてしまいそうな大きさの乳房はツンと上を向き、腰は細くくびれている。
    頼りない程小さな下着に指をかけたところで、シグリッドは吐き気を催した。
    ジスランに組み敷かれた女たちの悲鳴が、耳の奥でずっと聞こえている。
    これから自分も、身を強張らせてじっとしているこの弱き者を蹂躙し、痛めつけるのだと思うと、耐えがたい嫌悪感に全身が包まれた。
    せめて痛みを少なくせねば、と枕元に用意された潤滑油を手に取る。小瓶から右手に零した液体を零さぬように苦心しながら、クラウディアの下着の中にその手を忍ばせた。
    下生えらしき柔らかなものが手の平に触れ、それから薄い皮膚と骨の感触がする。
    びくり、と飛び上がりそうになったのは、シグリッドの方だった。
    火傷したかのように手の平が熱い。慌ててそこに潤滑油を塗りたくっていると、しなやかな細い指がシグリッドの手を押さえた。
    「恐れながら陛下、交わる場所はもっと下です」
    彼女の囁き声にシグリッドへの嫌悪感はなかった。
    ただ、このまま任せて大丈夫なのか、という不安は感じられて居た堪れなくなる。
    一秒でも早く終わらせてしまいたい。その一心でシグリッドは下着から手を抜き、再び小瓶から液体を垂らした。
    そうしている間に、クラウディアは自分で下着を脱いでしまった。
    不慣れなシグリッドに任せてはいられないと思ったのかもしれない。
    もしかしたら、彼女の方は初めてではないのだろうか。純潔の証が流れないとすれば、それはそれで困ったことになる。
    クラウディアに導かれるまま、あらわになった秘部に手を伸ばし、今度こそ潤滑油で繋がる場所を濡らしていく。
    硬く閉じたそこは油で濡れはしたが、どこに穴があるのかはさっぱり分からないままだ。
    問題は他にもある。肝心のシグリッドのものが勃起していない。
    女を一方的に犯すことに興奮する趣味がなくてよかった、とどこかで安堵するものの、これでは初夜を完遂することはできない。
    擦れば勃起するだろう。自慰をしたことがないわけではないのだ。溜まると夢精してしまうので、その前に自分で擦って出していた。
    快楽を得るのは一瞬で、あとはひたすら虚しい気持ちになるので好きな行為ではなかったが、今はそんなことを言っている場合ではない。
    硬くさえなれば、それを穴に入れて腰を振れば終わる。だが、穴はどこだ。
    ……部屋にいる司祭を全員殴って昏睡させた方が早くないか?
    混乱の極みに突き落とされたシグリッドが物騒なことを考え始めた時、クラウディアは再び行動に出た。
    片手を枕元に伸ばし、何かを探し始めたのだ。背もたれ代わりにする為か、枕元には幾つものクッションが積み上がっている。そのクッションの下に何かがあるようだった。
    「一体何を探しているんだ」
    「張り型があるはずなので、それを……」
    「は……?」
    一瞬、何を言われたのか分からず固まる。
    「もうっ、こんなに暗かったら何も見えないじゃない」
    クラウディアは低く毒づくとうつ伏せになり、とうとう両手で探し始めた。
    今度はすぐに見つかったらしい。再び仰向けになると、唖然としているシグリッドに「ありました」と安堵の籠った声で報告する。
    「陛下がお辛いようでしたら、これを使います。私の中にこれを入れて、破瓜の印を出す方法でもいいと、大司教様が」
    張り型が用意されていた意味を理解したシグリッドは、今すぐシーツに突っ伏して呻きたくなった。
    シグリッドの不能を予測し、大司教は張り型を枕元に忍ばせたのだ。そしていざという時はそれを使うよう、クラウディアに言い含めた。
    これほどの恥辱があるだろうか。
    ぎり、と奥歯を食い締めたシグリッドを見上げ、クラウディアは恐る恐るといった口調で説明する。
    「大司教様は陛下を案じておられました。詳しい事情は話せないが、女性に無理を強いる行為は陛下には難しいかもしれない、と」
    こちらを気遣う言葉を選べるほど、クラウディアには余裕がある。
    まるで一騎打ちで負かされたような気分になった。
    「お前は怖くないのか。そんな木の棒を突っ込むなんて……それとも慣れているのか?」
    ままならない状況に、刺々しい言葉が口から零れ出る。
    クラウディアは小さく笑った。
    「もちろん怖いです。初めてですから。でも、もっと辛い目に遭うかもしれないと覚悟してきたので、大丈夫です。痛くてもすぐ終わるでしょうし、我慢します」
    何とも健気なことを言うと、彼女は「潤滑油を頂けますか? 張り型に塗りますので」と続けた。
    言われるままに潤滑油を渡せば、迷いのない手つきで油を張り型に塗り込め、両膝を立てる。
    それから軽く息を吸って、クラウディアは己の股の間にそれを押し当てた。
    「……うっ……、いっ、…たぁ……」
    だが、すぐに堪えきれない苦悶の声が上がる。
    「うう、…もう、なんで…っ…」
    クラウディアは力任せに張り型をねじ込もうとしているが、押し返されてしまうらしく入っていく兆しはない。
    入り口からめりめりと裂ける音が聞こえてきそうで、シグリッドは耐え切れなくなった。
    「もういい、無理をするな。儀式は中止だ、司祭を追い出してくる」
    「あ、……え? ……ええっ!? それはダメです、待ってください!」
    寝台を下りようと膝立ちになったシグリッドに、クラウディアは縋りついた。
    「そんなことで大司教様は諦めるとは思えません。きっと明日もその次も、初夜の儀が終わるまで新たな司祭様がくるだけです」
    言われてみれば確かにそうだ。
    クラウディアは大司教と会ったばかりなのに、儀礼行事にかんしては一切の妥協を許さない彼の性格をよく分かっている。
    「では、一体どうしろと……!」
    「上手くいくよう頑張るしかありません!」
    小声ではあるが勢いのある口調でクラウディアは言い、シグリッドにぎゅ、と抱き着いて寝台に倒れ込んだ。柔らかく温かな裸体に包まれ、思考が一時停止する。
    「陛下は女性がお嫌いなのですか?」
    二人抱き合う体勢で寝転んだまま、問われる。
    「……改めて考えたことはないが、嫌いではない」
    「では、身体を重ねるのがお嫌いだとか?」
    クラウディアの声はどこまでも優しく、緊張と焦りで強張っていた心にやんわり沁み込み、ゆっくりと解いていく。
    「どうだろう。したことがないから分からないが、女を無理やり犯す男は大嫌いだ」
    「もしかして、そんな場面を目撃したことが?」
    核心に迫ったその問いにシグリッドは一瞬言葉を詰まらせ、それから「……ある」と答えた。
    消え入るような声はみっともなく掠れていて、今自分は目前の女に弱みを晒しているのだと嫌でも認識させられた。
    「辛いものですよね。性別関係なく、弱い方が一方的に踏みにじられる様を見るのは」
    クラウディアは静かに同意した。
    どこにも力みのないその声に、シグリッドは深々と息を吐いた。
    彼女は理解している。容赦ない暴力に喘ぐ弱き者を目の当たりにした時の苦痛も、苛立ちも、嫌悪も、憎悪も何もかも。
    シグリッドは剣を握る者だ。
    ジスランを討つより前から賊の討伐などで幾人もの命を奪ってきた。
    戦いの中で相手を斬り捨てる行為に忌避感を抱いたことは一度もない。
    あれは、互いの命をかけて互いの行動の是非を問う行為だ。
    だがジスランのあれは違う。あれは、あんなものは――。
    「ですが、それは私たちには当てはまりません。私と陛下は、これから先の長い人生を共に歩んでいく同志なのでしょう? 私が一方的に陛下に踏みにじられることはありませんし、私が陛下を踏みにじることもありません」
    クラウディアが続けて言ったその言葉に、シグリッドは笑い出したくなった。
    これから先の長い人生を共に?
    踏みにじることはない?
    俺を騙している癖に、と激しい怒りが湧き起こる。
    身代わりの分際で、よくそんなことが堂々と言えたものだ。
    だが怒りをそのままぶつければ、正体を看破していると相手に伝えることになる。
    「……それは本当にお前の本音か? それともそんな風に言えばいいと、大司教に教えられてきたのか」
    嘲笑が伝わったのだろう、クラウディアはシグリッドの背中に回していた腕をほどき、今度はシグリッドの両頬に手を当てた。
    額と額を合わせるようにして、じっとこちらの顔を覗き込んでくる。
    距離が近いせいで、灯りがない中でも顔がはっきり見えた。
    美しい青が視界いっぱいに広がる。シグリッドは息を呑んで彼女の言葉を待った。
    「もちろん本音よ。覚悟を決めてきたと言ったでしょう? 私はこの国で生きて死ぬ。王妃の責任だとか度量だとか、そういうのは正直分からない。それでも――」
    冬の晴れた空に似ているとかつて感じた瞳は、燃え滾るような決意をたたえ、まっすぐにシグリッドを射抜いた。
    「あなたの隣で、あなたの妻として最後まで精一杯生きて死ぬ。そう心に決めてきたの」
    「……ッ!」
    シグリッドは衝動的に彼女の顎を掴み、唇を塞いでいた。
    接吻するのも初めてだったが、言い知れぬ激情が、未知の行為への躊躇いをやすやすと上回った。
    触れた唇は少し冷たく、そして柔らかかった。
    突然の口づけに驚いたのだろう、クラウディアは身を固くしたがそれも一瞬で、大人しくシグリッドに身を委ねてきた。
    今更ながら彼女が何も身に着けていないことを実感し、身体の芯が熱くなる。
    触れ合うだけではまるで足りなくて深く唇を食めば、薄く口が開いて中に招かれた。
    このまま全部食らい尽くしてしまいたい。
    子ができようが構うものか。覚悟を決めてきたというのなら――。
    (もう俺のものだ……!)
    シグリッドの弱さを包もうとする偽りの優しさも、苛烈さを帯びた覚悟も何もかも、全部腹の中に収めてしまえば、これほど心が乱されることはきっとない。
    焦燥に追われながら舌を絡め、吸い上げる。
    初めは戸惑っていたクラウディアも、おずおずと舌を動かし、シグリッドの真似をし始めた。舌の表面を擦り合わせる度、腰が重く痺れる。
    互いの粘膜が触れ合っている。ただそれだけのことに、どうしようもなく昂った。ずっと食事を味わう為だけにあった器官が、これほど性的なものだとは思ってもみなかった。
    「……んぅ、っ、んっ」
    甘く蕩けた女の声が鼓膜を震わせる。
    口づけでは物足りなくなり、乳房に手を這わせた。弾力のある膨らみを、最大限の手加減をしてゆっくり弄る。指が沈む感触に心臓が早鐘を打つ。
    ツンと尖った乳首に指が掠めた時は、熱い吐息が勝手に漏れた。早く、早く、と焦れて唸る内なる獣を抑え込み、シグリッドができる精一杯で可愛がる。
    欠片も残さず食べてしまいたいだけで、壊したいわけではないのだ。彼女が少しでも嫌がったり痛がったりすれば、シグリッドの欲はあっという間に冷めただろう。
    「どうして欲しい?」
    口づけの合間に小さく尋ねる。
    クラウディアはしばらく黙ってシグリッドの唇を甘噛みしていたが、やがて思い切ったように囁いた。
    「胸も、舐めて。あと、下も触って」
    カッと頭が熱くなる。
    純朴で無垢な少女が大人になり、いやらしく身をくねらせ男を誘っている。
    感じたのは失望ではなく、堪えようのない欲望だった。
    シグリッドは手早く寝衣を脱いで裸になると、身体をずらして白い乳房にしゃぶりついた。同時に手を伸ばし、股の間を探る。そこは油ではないものでぐっしょり濡れていた。
    最初に触った時は分からなかったが、こんもりとしたそこには割れ目があった。とろとろとした蜜がその割れ目から溢れてきている。
    媚肉を指でかき分け、上下に滑らせれば、彼女は背中を反らせて白い喉を晒した。
    「…はぁ、あ、ッ、」
    淫猥な色をたたえた喘ぎ声に、背筋がぞくぞくする。
    シグリッドの男根は完全に勃ち上がっていた。
    口に含んだ乳房を吸い上げ、舌先で尖った蕾を左右に弾く。味などするわけがないのに、たまらなく甘かった。どれだけでもしゃぶっていられそうだ。
    男たちが女の胸を気にする理由がようやく分かった。ただの脂肪の塊なのに、と不思議に思っていた頃には戻れる気がしない。
    クラウディアは懸命に声を押し殺しているが、激しく感じていることはよく分かった。

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