書籍紹介
偽りのウェディング
偽りのウェディング
ISBN:978-4-596-74324-4
ページ:290
発売日:2014年8月2日
定価:本体361円+税
  • あらすじ

    他人に身体を曝かれるのはどんな気分?

    名家の令息レナートと偽りの結婚をすることになったジュリアーナ。レナートは疑われないためにとしきりに彼女に触れてきては淫らな快楽を教える。「愛していない男にされても気持ちいい?」意地悪な言葉と裏腹に繰り返される甘いキスと優しい愛撫。彼に恋しそうになる自分を必死で抑えるジュリアーナにレナートは本当に結婚しようと言い出して!?

  • キャラクター紹介
    • heroine_VBL-14_cover

      ジュリアーナ

      冷めた結婚感を持つ下級貴族の令嬢

    • hero_VBL-14_cover

      レナート

      ケンドール家の嫡男。容姿端麗、頭脳明晰な完璧な貴公子

  • 試し読み

    「ん、ッ、も……ぁ、んん――」
    不意に、その甘い刺激から解放された。
    じくじくと疼く身体も煽られた熱もそのまま。それでも終わったのだろう安堵に息をつきかけた。それが早合点だと気づいたのは、レナートの手が足に絡むドレスをたくし上げていたから。
    ジュリアーナは思いきり身を捩っていた。
    半ば以上ずり落ちていた身体が床に落ちる。全身が、特に下肢が痺れたようで力が入らない。それでも座面に肘を立てて身を起こそうとした。
    その動きを、背後から覆い被さるレナートに助けられる。
    「や! もう、やめ……ああッ!」
    さっきまで舌で嬲っていたそこを、今度は指先で摘ままれた。
    思わず仰け反れば今度は手のひら全体で胸をすくわれ、揉みほぐしながら、指と指の狭間にある赤い実を擦る。
    「ぁあ、ん、……やぁ! ッ、……もう、やだ。……ぁんッ」
    「そんなに声を上げると、外に聞こえるけどいいのかな」
    後ろから伸し掛るレナートが耳許でそうささやくのに、声を出せと迫るような指の動きで追い詰めてくる。
    ジュリアーナは必死で声を抑えた。外の喧噪は波のように大きくなり小さくなり、けれど途切れることなく耳に届く。それに縋って理性を保つ。それでも喉が震えるのが抑えられない。
    「ぁ、……ッ、ぁ、んん……」
    ぼんやりした意識が快感の甘さに浸りかけていた。だから気づけなかった。
    彼の手が大腿を這い上がる。そうやって、ゆっくりとドレスのスカートをたくし上げていく。
    「いや。だめ……そこは」
    「なぜ?」
    内腿の柔らかい部分に指が潜り込む。足をどれだけ固く閉じても、阻めない。
    「ぁ、……――ッ!」
    快感に足が崩れそうになった。
    下着の上からなぞられた。それだけなのに、他人の手から与えられる刺激の甘さに息を呑む。唇を噛んでいないとあられもない声が漏れてしまいそう。
    繰り返し、繰り返し。そこを擦られて、その度に身体は震えた。
    その甘すぎる感覚から逃れようと腰をくねらせる。それではでも、後ろから覆い被さるレナートに身体を擦りつけることにしかならない。
    「ああ、濡れてるね」
    耳に注ぎ込まれる声すら甘く感じた。
    彼の言う通り、下着に滲むくらいそこが濡れているのがわかった。指がその染みを伸ばすように、押し開くみたいに執拗に撫でてくる。
    「あ、ぁ、……ぁ、ああ……ッ!」
    下着越し、指が突き立てられても抉る範囲は浅い。
    それでも蜜を垂らすそこは、浅く抉るような動きに悦び、ほころんでいく。
    「あ、……いや、ぁ」
    何度脚を閉じようとしても、そのたびに強く走る快感に緊張が緩んだ。
    だらしなく股を開いて、まるで彼の指が与える刺激を待つのはジュリアーナの意思ではないのに、身体が言うことを聞かない。
    「何が嫌? 俺に触れられるのが?」
    「ちがッ――……ッ」
    責めが弱まった。
    指先が優しく下着越しに割れ目を撫でる。濡れた下着が張り付いて、指の動きがより鮮明に感じられた。それでも、さっきまで身もだえていた刺激が今はもう物足りない。
    「俺じゃないなら、なに?」
    「あ……。もう、お願い。気持ち良くなっちゃう、から――」
    ――もう止めて欲しい。
    そう最後までは言えなくても気持ちは伝わったはずだった。なのに、ふと耳に触れた吐息は笑いに揺れる。
    「気持ちいいんだ?」
    「は、あ! だめ、だ、め、ぁ……んんッ」
    指が下着の上からそこを割り広げ、指先が繋がる場所をかりかりと掻く。布ごしの刺激は何かをはぐらかされてるみたいで、そのもどかしさにじわりと身の裡から蜜が滴り、下着をまた濡らした。
    「おねが、や……ぁ、もぉ……」
    指先は秘部に触れたまま。布ごしに与えられる甘い刺激は止む気配がない。
    胸は優しく揉まれて、うなじに唇が這う。
    (まだ、終わらないの?)
    身体の一部がぐずぐずと溶け出しそうな熱。身体の芯を貫くような、全身が痺れる甘い刺激。下肢を弄られると奥が疼いて、その感覚だけ追いそうになる。
    「や、や……ッあ、んんっ、だめ、ッ、あ……ッ」
    気持ちいい。
    (でも、だって。ちがう……ッ)
    このまま流されては駄目だ。
    そんな焦燥が意識を覆う快楽の合間に差し込まれて、余計に彼女の身体を乱した。
    背中から大きな身体に押さえつけられて。革張りの座面に縋り付いている。爪を立てて前に逃れようとしても、馬車の揺れほども逃げられない。
    彼は最後まではしないと言った。
    それを一度は信じたけれど、でももし、レナートが気を変えていたら?
    「……レナー、ト。ぁ、や、やめて。おねがい。――こわい」
    「男に身を任せるのが恐ろしい?」
    得体の知れない恐怖に色を乗せる彼の言葉。
    その通りだった。
    自由に動けない状態も、伸し掛られた体勢も、まるで言うことを聞かない自分の身体も、初めて知る快感も。なにもかもが怖い。
    ジュリアーナは彼を振り返り、頷いた。
    レナートがそこにいる。彼は男性で、その恐ろしい行為をしている人間なのに、彼がすぐ傍にいるという事実にどこか安堵する自分がいる。
    けれど彼は笑って言った。
    「大丈夫、慣れるさ」
    「――え? あ、ああッ! や、だめ……ッ」
    指の動きが、今までと違う。走る快感から逃れようと腰を揺すっても指は離れてくれなくて、それどころか動きに合わせて指先でくすぐられる。
    「やあ!」
    とうとう指が直にそこへと触れた。下着をずらされて、濡れる布が狭間に食い込む。でもそれよりも、ぬるつくそこをゆっくりと擦り上げられる、その刺激に唇を噛む。
    「それに、君にだって必要だろう?」
    すっかり濡れきったそこを直に触れる指は滑るようだった。誰にも触れさせたことのない、狭間の襞を撫でられて、その甘すぎる快感にジュリアーナは泣きそうになる。
    「いつか君は、愛してもいないどうでもいい男と、こういうことをするんだから」
    「……ぁッ」
    耳に吹き込まれた低い声に、ぞくんと背筋に何かが走った。
    「どうでもいい相手に身を委ねて、こうやって」
    「んん、……あ、あ、だめッ」

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