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試し読み
「リリアーヌは敏感だな」
楽しそうな口調で囁かれるも、その間も息が肌に当たってくすぐったい。思わず首をすくめて抗った。
「いい香りだ。何の花かな」
耳の後ろへ鼻を寄せると、おもむろに耳殻に生温かいものが触れた。
「あっ……や……ぁ」
あの夜を思い出させる感覚に、身を捩った。
「耳は駄目か? ならば、こっちはどうだろう」
イーサンが耳朶に口づけた。柔らかな唇に感触にぞくぞくする。
「そ……れも……」
「でもあと少しだけ。リリアーヌの耳はとても形がいい。先端が少し尖っていて可愛いよ」
耳朶から先端までねっとりと舐め上げられる。唇で食まれると、なんとも形容しがたいむずがゆさが走った。
「イーサン様……っ、本当に耳は……」
「可愛い声だ」
「――ッ」
鼓膜を震わす美声に、ぞくり…と快感が走った。
身を硬くすれば、耳元でくすりと笑われる。チュッとリップ音がして、唇が離れた。
首筋へ降りていく唇の感触がくすぐったくてたまらない。
イーサンは唇で肌を撫でるように愛撫を施していく。時折当たる熱い息がもどかしさに拍車をかけた。
手でイーサンを押しやろうとすると、顎に口づけられて宥められた。
「大丈夫。今夜は気持ちいいことだけさせて」
素肌にイーサンの肌が重なる。吸い付くみたいに滑らかな質感だった。
言いくるめられ、リリアーヌは腕の力を抜いた。
「いい子だ」
ねぎらいのキスにしては深すぎる口づけに、息ごと搦め捕られる。口腔を堪能した舌が、ねっとりと首筋を舐めた。肩を撫でていた手がゆっくりと動き始める。
「ふぅ……ん、んっ」
大きな手が身体を這う感触がぞくぞくする。
夜這いを命ぜられたときは嫌でたまらなかったのに、イーサンに初めて触れたときは嫌悪感がなかった。
(なぜなのかしら……)
イーサンが動くたびに身体の間で乳房が揺さぶられる。先頂を胸板が掠る刺激に股奥がむずむずした。
脚をすりあわせてもどかしさをごまかしていると、イーサンが肌の上で薄笑いをした。
「――いじらしい」
小さな声での感嘆はリリアーヌまで届かなかった。
イーサンが手で乳房を掬い上げた。
「大きくて、すべすべしている。柔らかくて気持ちがいいよ。薄桃色の乳首も可愛い……」
言うなり、大きな口を開けて吸いつかれた。
「あ……ッ、や……吸わない……で」
慌てて止めるも、上目遣いで見上げられた。
「なぜ? すごく美味しいのに」
「あ……味なんて……しません」
扇情的なまなざしにどきどきしながら弱々しく睨めつけた。
「するさ。甘くてほんのりと花の香りがする……」
「く、咥えながら喋らないで……くださいっ」
舌が動いて、先頂に当たるのだ。ちろちろと動くか細い刺激にリリアーヌは戸惑った。
反対側の乳首を爪の先でかりかりと引っ搔かれた。
「あぁ……ッ」
痛くはない。けれど、たまらないのだ。
わずかに背中が弓なりに反らせた。おのずと乳房を突き出す格好になると、今度は指で先頂の突起を転がされた。
例えようのないゆむがゆさに子宮が疼く。
「は……ぁ、……あ、ぁ……ッ」
嬌声がひっきりなしに唇から零れていく。止まらない喘ぎが鼓膜を震わし、それまたリリアーヌ自身を煽った。
身体の内側から火照る熱で、全身が汗ばんでいる。
秘部も恥ずかしいくらいひくついていた。 -
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