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「未通の乙女にとっては、辛いものと聞く」
アメリアの脚の間で一度止まったクロワが、同情的にそんなことを囁いた。だが、と。
「耐えてくれ」
「うッ……! んっ、ああぁッ!」
押し当てられていた肉の切っ先が、ぐぐ、とアメリアの未熟な聖裂を割った。クロワの行動はあまりにも性急で無理がありすぎた。まだ何者もの侵入を許していない膣口が、いきなり男性を受け入れられるわけもない。
「やっ……! ま、待って……待って、ください……っ……!」
アメリアはぎりっとクロワの腕に爪を立て、必死に歯を食いしばる。想像もしなかった激痛だ。──無理よ。素直にそう思った。
「やめて……!」
ぽろりとこめかみを涙が伝わった。
ぎくっとするように、クロワが一瞬止まった。
「やはり、辛いか」
「お待ち……ください……」
ぽろぽろと涙をこぼしながらアメリアは訴える。そのわずかに一瞬に、できるだけ大きく息をしようと思った。
「……どうして……」
自然と漏れ出てしまった疑問は、それこそ愚問というものだろう。
クロワは男として、この体を求めているのだ。
求められる、というのは、きっと女として誇らしいことなのだろう。
しかし、簡単には喜べない。いくら人の肉体に神秘と呼ばれる部分があろうとも、無理なものは無理である。まだまだ硬いアメリアの体は、そうたやすく花開かない。こぼれる涙もそのままに、アメリアは唇を震わせた。
「クロワ様……なにをお望みなの……?」
「おまえが欲しい」
真正面から言われて、とくん、とした。
ようやく少し目を開けられた。
覆い被さる美しい男性が、どこか切なげに自分をじっと見下ろしていた。
「おれにはおまえが必要なんだ」
「クロワ……様……」
「クロワ、でいい」
「そんな……」
ありえないことだと頭のどこかが冷静に思う。けれど今、こうしてはしたない姿をさらけ出しているのは現実だ。
顔はきっと涙でぐしゃぐしゃ、ちらりと目の端でとらえる胸はすでに覆うものもなく、つんと紅い尖りを見せている。はだけられたペチコートから突き出した素足も、シャツの留めをはずして今や半裸となった男性の腰をしっかり挟み込んでいる。
──なにを、しているの、私……。
頭ではそう思うのに、口が勝手に動いていた。
「どうか……、乱暴なことは……」
「わかった」
クロワはそう言って、もう一度丁寧に口づけてきた。
しっとりと温かい粘膜の刺激は、アメリアの気持ちを落ち着かせる。
そうしてまた、胸のふくらみをもみしだかれた。今度は優しく包むように、それから少し強引に、下からぐっと持ち上げるように。
「……んっ……!」
「これも痛いか?」
「い、いえっ……、そうではなくて」
先端をきゅっとつままれて、うっと一瞬唇を噛んだ。
「……は、恥ずかしく、て……っ!」
「可愛いな」
クロワは微かに笑って、その突起に唇を寄せてきた。 -
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