-
あらすじ
与えられる罰は甘く切ない
子爵令嬢のノエルはジェントリながら貴族を凌ぐ財力を持つギルバートと心を通わせ合い、求婚された。しかし結婚式の夜、端整な顔に冷たい眼差しを宿したギルバートから覚えの無い罪で糾弾され、「罰を与える」と初夜の褥で純潔を奪われてしまう。罰と言いながら優しく甘く身体を嬲る手に、ノエルは恋心を無くせず、毎夜淫らな快楽に溺れさせられ……。
-
試し読み
冷たいアイスブルーの瞳が、射抜くようにノエルを見る。夜会帰りの彼は、脱いだジャケットを無造作に手近な椅子の背に放り、タイを緩めた。端整な顔立ちを見つめると夫への恋心がうずき、ノエルはそっとうつむく。
(わたしはこの方が好き。でも、この方は……きっと……)
――彼は毎夜、ノエルを抱く。「罰を与えるのだ」と言って、夜毎必ずこの寝室に来る。全く見向きもされないより、少なくとも彼の視界に入っている状況は、考えようによっては幸せなのだろうかとノエルは思った。
たとえ彼の目に浮かぶのが冷たい感情だとしても、触れる手は決してノエルの身体を傷つけない。――だからこそ、期待をしてしまう。彼の手が冷たいばかりではないから……その心に、少しでも以前の優しさが残っているのではないかと考えたくなってしまう。
(ギルバート、さま……)
彼はベッドのそばまでやってくると、ノエルをじっと見下ろしてきた。おもむろに伸ばされた手が、頬に触れる。その瞬間、身体が反射的に震えてしまい、夫の目が不機嫌に細められた。
(あ……)
――自分の態度は、ひょっとして彼を拒絶しているように見えただろうか。
違うのだと弁解したい気がしたが、そうする前にノエルはベッドに押し倒されていた。夫の手が夜着の胸元のリボンに掛かり、するりと解く。途端に胸元が大きくあらわになってしまい、顔を赤らめる間もなく片方の胸をつかまれた。
「ん……っ」
握り込まれ、息を詰めたのも束の間、覆い被さってきた夫にノエルは唇を塞がれる。
表面を緩やかに舐められ、条件反射のようにほんの少し唇を開けると、すぐに彼の舌が押し入ってきた。ぬめる感触がノエルの舌先を舐め、絡みつく。表面を擦り合わせながら吸い上げられて、じわりと体温が上がった。
「……は……っ」
中をくまなく舐めた舌が喉奥まで入り込み、ノエルは苦しさに小さく喘ぐ。彼の手が柔らかな胸のふくらみを揉みしだいて、ほんの少し痛みをおぼえた。指の間に強く頂を挟み込まれ、身体が跳ねる。
「ん、っ……」
敏感な反応に夫は唇を離し、そのまま首筋、鎖骨を辿っていくと、淡く色づく先端を口に含んだ。濡れた舌でなぞられ、吸い上げられて、じんとした愉悦がノエルの身の内からこみ上げる。すぐに張り詰めた尖りを彼は執拗に舐め、ときおり強く吸い上げてきた。
「はぁっ……ぁ、っ」
胸を舐めながら夫がじっと見つめてきて、目が合ったノエルは顔を赤らめた。真っ暗ではない部屋の中、自分の反応をつぶさに観察されているのだと思うと、羞恥が募った。
「ギ、ギルバートさま……」
小さな声でノエルが呼びかけると、夫はこの部屋に入って初めて声を発した。
「――何だ」
「あの、明かりを……明かりを、消してください……っ、ぁっ」
「消す必要はない」
胸の頂に軽く歯を立て、ノエルを喘がせながら、夫――ギルバートはにべもなく言い放つ。
「……っ、でも……」
「君が嫌がるなら、なおさら消す理由はないな。――これは『罰』なのだから」
ギルバートの言葉に、ノエルはすっと青ざめる。自分を抱くことは、「罰」――そう言い放つ夫は、端整な顔にかすかに笑みを浮かべた。
「初夜の床で、僕を拒もうとした君だ。こんなふうに抱かれるのは本意ではないんだろう?」
ノエルは急いで首を振る。
(違う……違う、わたしは)
ギルバートに抱かれるのが、嫌なのではない。そう言いたかったが、ギルバートは答えを期待していないのか、片方の手でノエルの夜着の裾をたくし上げ、下着越しに花弁に触れてきた。
「ああ、もう濡れてる……清らかそうな顔とは裏腹に、君の身体はずいぶんと貪欲だ」
「あ……っ」
下着を取り去ったギルバートの指が、花弁に直接触れてくる。
途端に濡れた感触をおぼえ、既に蜜をこぼしていた自分の身体のはしたなさに、ノエルは顔を赤らめた。指はぬかるんだ花弁をなぞり、蜜のぬめりを纏いながら花芯を探り当てる。
押し潰されると途端に疼くような快感が走って、ノエルの太ももがビクッと引き攣った。
「……っ、ぁ……あ」
ぬるぬると敏感な芯を指で辿られ、甘ったるい快感が繰り返し身体を突き抜ける。ギルバートはノエルの脚の間を嬲りながら、再び胸の頂を口に含んだ。舌で押し潰し、舐めてときおり強く吸い上げつつ、彼の指が蜜口から中に押し込まれる。
「……んっ!」 -
関連作品