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あらすじ
こんなに乱れて――どこもかしこも感じやすい
暗殺するはずが、彼への愛に溺れてしまい……?妾の娘として虐げられてきた令嬢フランセットは、敵対する公爵家に嫁がされることに。その目的は夫であるクロードを暗殺することで!? 密命を抱え始まった結婚生活は、クロードから予想外に熱く愛され、夜ごと甘い悦楽を与えられる日々。「君が欲しくてたまらない」好きになってはいけないと気持ちを抑えようとするも、ドキドキが止まらなくて……?
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キャラクター紹介
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フランセット
公爵家の令嬢だが、母親が使用人だったため継母から疎まれながら育つ。毒薬の知識についての教育を受けている。18歳。 -
クロード
父親の急逝に28歳の若さで公爵家の当主となった。優し気な容貌の持ち主だが、奸計に長けているところもある。
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試し読み
「フランセットはこんなにきれいなのに、それほどまでに自己評価が低い理由がわからない。だが私が妻として愛すれば、少しは自信がつくんじゃないか」
「あ……っ!」
ふいに身体を抱き寄せられ、フランセットの心臓が大きく跳ねる。
昨日のダンスのときも思ったが、クロードの身体は見た目よりしっかりしていて硬く、女性とはまるで違う骨格なのだと如実にわかった。
(どうしよう、わたし……)
彼に身を任せるのが妻としての務めだと承知しつつも、にわかに怯えの気持ちがこみ上げていた。フランセットは何とか身をよじろうとしながら、慌てて訴える。
「クロードさま、あの……っ」
その瞬間、クロードが唇を塞いできて、くぐもった声が漏れる。
ぬるりとした舌が口腔に入り込み、初めての感触にフランセットは目を見開いた。彼は舌の表面をゆるゆると絡ませ、少しずつ奥まで侵入してくる。口の中をいっぱいにされたフランセットは、小さく呻いた。
「う……っ、んっ、……ふ……っ」
苦しくて何とかクロードの胸を押し、わずかに距離を取る。すると彼がこちらの濡れた唇を親指で拭い、ささやいた。
「――ベッドに行こうか」
「あ、……」
こちらの身体を軽々と抱き上げ、クロードが夫婦のベッドへと向かう。
そのまま押し倒されるのかと思いきや、彼はベッドの縁に座り、フランセットを自身の膝の上に横抱きにして言った。
「君は初めてなんだから、乱暴にするつもりはない。私に身を任せてくれ」
クロードの大きな手がフランセットの脚に触れ、撫で上げながらつぶやく。
「細くてすんなりした、きれいな脚だ。手触りも極上だな」
「……っ」
夜着の裾を少しずつまくり上げられ、太ももがあらわになる。
こういうときにどう反応していいかわからず、フランセットの心臓は破裂しそうにドキドキしていた。このままクロードに抱かれるのが、怖くてたまらない。心にはフィリップの面影が常にあり、彼以外の男性に触れられたくはなかった。
(でも……)
自分がクロードの〝妻〟である以上、閨での行為を拒むわけにはいかない。
そんなことを考えているうちに彼の手はレースでできた下着に触れ、生地越しに花弁を擦っていた。そして横から中に指を侵入させ、直に触れてくる。
「……っ」
武骨な指が花弁をなぞり、フランセットはかあっと頬を紅潮させる。
何度か行き来されるうちに蜜口がヒクリと蠢き、愛液をにじませ始めていた。そのぬめりを纏わせながら秘所の上部にある尖りを押し潰されると、甘い愉悦がこみ上げて思わず腰を跳ねさせる。
「あっ……!」
敏感なそこはみるみる硬くなり、クロードの指に押し潰されるたびにじんと疼いた。
恥ずかしさと混乱で、フランセットは彼の胸元にぎゅっとしがみつく。するとますます花芽を弄られ、切れ切れに声を漏らした。
「ぅっ……んっ、……ぁ……っ」
気づけば蜜口がしとどに潤み、粘度のある蜜を零し始めている。クロードはそれを塗り広げ、やがて中にゆっくりと指を埋めてきた。
「うぅっ……」
硬くゴツゴツとした指が隘路に侵入し、強烈な異物感にフランセットは眉根を寄せる。
わずか一本でも挿れられるのが怖く、隘路がきゅうっと締めつけたが、彼は抜こうとしなかった。それどころかこちらの頤を上げ、覆い被さるように唇を塞いできて、フランセットは目を見開いた。
「ん……っ」
舌同士を絡ませながら隘路で指を抽送され、淫らな水音が響く。逃れようにも横抱きにされながら唇を塞がれていて、まったく身動きが取れなかった。しかも中に入れる指を増やされ、一気に圧迫感が増して、フランセットの目にじわりと涙がにじむ。
「はっ……ぁっ、……んぅっ……」
指と同じくらいに深く口腔を犯され、熱い舌に蹂躙されながらフランセットは喘ぐ。
体内を行き来する指が怖く、何とか動きを止めようと太ももに力を込めるが、クロードがより深く埋めてきて最奥をぐっと押し上げた。
「んぁっ!」
ビクッと身体が震え、愛液の分泌が一気に増えて、彼が抽送を激しくする。
太ももに指が食い込むほど奥まで突き入れ、掻き回されて、聞くに堪えない水音が立った。
気がつけばそこはぬるぬるになっており、指の動きを容易にしていて、クロードが秘所を見つめながらささやいた。
「君の中は狭いが、よく濡れる。まずは達くことから覚えようか」
(いく? いくって、どこに……?)
上気した顔で息を乱し、朦朧とした頭でそんなことを考えていると、彼がフランセットの耳元で言う。
「そのまま力を抜いて、私の指を素直に受け入れるんだ。痛くはないだろう?」
「んっ、あっ」
ぐちゅぐちゅと指を抽送され、次第に切羽詰まった感覚に追い詰められたフランセットは、クロードのシャツを強くつかむ。
自分がこれからどうなるのかわからず惑乱していると、再び唇を塞がれた。
「ん――……っ……」
根元まで埋めた指で最奥を押し上げられた瞬間、強烈な快感がパチンと弾け、フランセットは達していた。
指を受け入れた隘路が痙攣し、内壁がこれ以上ないほど締めつけている。奥から熱い愛液がどっと溢れ出して、彼の手のひらまで濡らしているのがわかった。
「は……っ、ぁ、はぁっ……」
唇が離れると唾液の透明な糸が引き、フランセットは荒い呼吸を繰り返す。
甘い快楽の余韻が、じんわりと身体に伝播していた。いまだに挿入されたままの指を内部が断続的に締めつけ、緩やかに行き来されると柔襞がぬちゅりと音を立てて絡みつく。
その感触を愉しむようにしばらく中で指を動かした後、彼がようやく引き抜いた。すると蜜口からトロリとした愛液が溢れ、クロードがねぎらうようにこちらの目元に口づける。
「いい子だ。上手に達けたな」
「……ぁ……」
この後は、一体何をされるのだろう。
そう考えていたフランセットだったが、後始末をしたクロードはこちらの夜着を元どおりに直し、ベッドに横たわった。彼の腕に抱き寄せられ、肩まで掛布で覆われたフランセットは、戸惑いながら「あの」と口を開く。
「ん?」
「閨事には、まだ続きがあるのではないのですか? その……クロードさまの身体の一部を、わたくしの中に挿れるのだと聞いたのですが……」
カスタニエ家を出る前の日、年嵩の召し使いからそう教わってきたフランセットは、口にした直後に羞恥でいっぱいになる。
女の身で夫に直接こんなことを聞くのは、きっとはしたないに違いない。そんな考えが頭に浮かび、「やっぱりいいです」と撤回しようとした瞬間、彼が口を開いた。
「続きはあるが、今日はしようとは思わない。このまま寝よう」
「そんな、どうして……」
「フランセットと私は出会ってからまだ日が浅く、互いの人となりを深く知るに至っていない。女性は初めての行為に苦痛があるというし、いくら結婚したとはいえよく知らない男に突然そういうことをされるのは、恐怖心があるだろう」
「それは……」
確かにフランセットは、クロードと閨を共にすることに恐怖心を抱いていた。
フィリップを愛しているからというのも大きな理由だったが、それ以上に自分と体格がまったく違う彼に最初から怯えの感情をおぼえていた。クロードがこちらのそうした気持ちを汲み、あえて最後まで好意をしなかったのだと知って、フランセットは驚く。
彼が言葉を続けた。
「私の元に嫁いできてくれた君に、できるだけ苦痛を与えたくないんだ。こういった問題は非常にデリケートで、最初に拗れてしまえば気持ちを修復するのは難しくなる。縁あって夫婦になったのだから、私はこの先もフランセットと上手くやっていきたい。だから慣れるまでは、君に快楽だけを知ってほしいと思っている」
あまりに思いがけないことを言われ、フランセットは目を瞠る。まさかこんなに細やかな気遣いをされるとは思わず、何と答えていいかわからなかった。そんな様子を見つめ、ふと微笑んだクロードが、フランセットの乱れた髪を撫でて言った。
「今日はもう休もう。おやすみ」
「…………。おやすみなさいませ」 -
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