Vanilla文庫 ドルチェな快感♥とろける乙女ノベル

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書籍詳細

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皇太子は身代わり姫に二度求愛する

著者:天条アンナ
イラスト:蔦森 えん

ISBN:978-4-596-58735-0
ページ:290
発売日:2019年5月17日
定価:本体590円+税

あらすじ

アリアは病気のエレオノール姫に代わり隣国の皇太子クラウディオに嫁ぐことに。すぐに身代わりとばれたのにエレオノール姫として扱われ、アリアは毎夜クラウディオの情熱的な愛撫で甘やかな快楽へと導かれる。「あなたの全てが欲しくなってしまう」いつかは離れなければならない関係なのに、クラウディオはアリアへの執着をあらわにしてきて……!?

キャラクター紹介

heroine_VBL195アリア
フィニス王国の男爵令嬢。エレオノール姫の身代わりとしてゼルテニア帝国へ。

hero_VBL195クラウディオ
ゼルテニア帝国の皇太子。表情に影があるのは、秘密があるためらしい。

試し読み

 少しの間、侍女が姿を消してくれたので、アリアは気兼ねなくこの豪華な湯殿を愉しむことができた。
(女神様の湯殿みたいだわ……)
 湯に浮かぶ赤や薄紅の薔薇を見て、アリアはぼんやりとそう感じた。
 湯上がりには全身に香油といい香りのするクリームをぬられ、全身の肌を整えられた。
 この後、クラウディオとの初夜を迎えると思っての行為だろう。
(でもわたしは身代わりだから、そういうことになることはないわ……)
 ホッとするよりも、なんだか切なさが勝ってしまう。
 今宵から夫婦の寝室となる広々とした部屋に、アリアが到着したのと、クラウディオが姿を見せたのは、ほぼ同じ時間であった。
 二人で寝たところでなにも起こらないことはわかっている。けれど、同じ寝台で眠る、という行為そのものに照れてしまう……
 寝台の傍でそわそわしていると、クラウディオが先に寝台の上に寝転んだ。
 磨り硝子でできたランプの炎が、均整の取れたクラウディオの身体を妖しく照らしている。
「心が決まったら、となりに来るといい」
「はい……」
 いっしょの寝台で寝たところでなにも起こらないのだから、心を決めるもなにもない……
 そろりと、アリアも寝台に横たわる。
 と、クラウディオがくるりと身体を反転させ、アリアの上に覆い被さるような姿勢になった。
「…………?」
 意味がわからず、アリアはただ瞳を瞬く。
 ふと、クラウディオの顔がアリアの耳元に寄せられる。
「――すまない。初夜の床は後で監視が入るんだ。何もしないわけにはいかない」
「……えっ……」
 半開きにした唇に、彼の唇が重なった。アリアの唇を覆うように彼のそれが被さり、こちらの唇の表皮をやわらかななにかで愛撫される。
(――!? !? !? !?)
 唇が解放され、クラウディオと目が合う。
 熱くてやわらかくて、気持ちがよかった……
 驚いて、彼の瞳を凝視してしまう。
「嫌だっただろうか?」
 問いかけに、アリアは何度も瞬きをしながら、
「……あの、さっきのはキスですか?」
「ああ。不快ならばもうしないが」
「! そんなことは…ないです」
 言いながらも、頬が熱くなってゆくのを意識してしまう。
(キス……)
 そういうことは、もうしてもらえないと思っていた……
 唇に触れた甘い感触を思い出し、アリアは赤面してしまう。
 驚いたし、混乱してしまったけれど、不快ではない。むしろ心地いい。恋人のようなことをしてもらえるのは、嬉しい……
 答えた途端、クラウディオがどこかほっとしたように肩の力を抜いたのがわかった。
「それはよかった。――続きをしよう」
(続きがあるの……?)
 と、左右の乳房に彼の指が触れた。その指が、ふくらみに沈む。
「あっ……」
 男女の営みの続きをするみたいだ……
 服の上から自身の乳房が揉みしだかれている様子を見て、彼の指の感触を意識する――
 唐突に、とんでもなく恥ずかしいことをされているのだと気付いた。頬どころか耳まで赤くなってゆくのが自分でもわかる。
 熱いのは顔だけではない。
 彼の手のひらで愛撫され、そのたびに形を変えているやわらかなふくらみの中心と、お腹の底が潤むように熱くなる。
「――あぁっ……」
 甲高い悲鳴が唇から漏れた。
 クラウディオの吐息も、妙に温度が高い。
「あなたのここは――最高だ。夢中になってしまう」
 ふくらみを包み込むようにして弄んでいた指に、ぎゅっと力を入れられた。すると、それに呼応するように、触れられてもいないはずの乳頭が甘く疼(うず)く。
「!! きゃっ……あぁん……胸がっ……」
 身体がおかしい。揉まれている胸だけでなく、お腹の奥まで熱くなったり疼いたり、異様な反応をしている。
 身をくねらせると、クラウディオがさらに身体を押さえ込んできた。
「そう煽られると、期待に応えたくなってくる」
 きつく乳房を掴まれたまま、左右の乳頭を同時に指先でつままれた。
 乳首に溜まっていた滾るような甘い熱が、乳房全体に広がる。
(――っ!!)
「――あっ……待って…ください……クラウディオ様、胸が……」
「胸が、どうした?」
 問いかけながらも彼は、乳頭を撫でたりつまんだりするのをやめてくれない。
 異常を伝えればやめてもらえるだろうか……
「熱くて、溶けそうです……」
 言いながらも、羞恥で語尾がしぼんでゆく。
「ならば、よく見て確認しよう」
「えっ……」
 クラウディオが乳房から手を離し、こちらの夜着の合わせ目を荒々しく左右に開いた。
 白い乳房が弾むようにまろび出る。
(あっ……)
 彼は二つのふくらみを、じっと凝視している……
「――なんという美しい身体をしているんだ」
 嘆息するような声で囁き、彼は裸のふくらみに触れてきた。
 そっと乳房の輪郭をなぞり、壊れ物を扱うような手つきで、クラウディオはふくらみを確かめている。
「溶けてしまう心配はないようだ」
「その、本当に溶けてしまうという意味ではなくて……」
「そうか」
「あ、あの、あまり……見ないでください……」
「なぜ?」
「……恥ずかしくて……えっ!? きゃあっ!!」
 突如、彼は裸の乳房に顔を寄せ、噛みつくように乳頭にむしゃぶりついてきた。
 口の中の粘膜で、乳頭を苛められる感覚は、あまりにもいやらしい。それなのに身体の感覚はどんどん鋭敏になってその行為を愉しもうとしている。
 彼の口内で乳頭が、為す術もなく厚みのある舌で苛められ、ときおり乳輪ごと吸い上げられている。
「あっ……だめっ、そんな……あぁ――」
 嬲られている乳頭が切ないくらいにきゅんきゅん疼いて、さらに下腹の奥にまで甘い快感が渦巻き始める。
 それが快楽であったとしても、得体の知れない感覚というのは恐ろしい。
 やめて欲しいと懇願しようと彼の顔を見れば、アリアの乳首を美味しそうに舐めている。
(――クラウディオ様が、わたしの…胸を……)
 目にしてしまった光景が、網膜に焼き付いた。
 クラウディオの形の良い唇が、アリアの乳首を――
「……いやぁ……だ、だめ……あっ、あぁ……」
 あまりにも卑猥で、いやらしくて、目の前がくらくらする……
 ちゅっ、と乳頭を吸い上げ、彼はそこを解放した。
乳頭から彼の唇が離れると、唾液で濡れたそこがひやりとする。
 クラウディオは、今までにアリアの見たことのない表情を――どこか、淫靡なものを含んだ妖しい表情をしている。
「もっとして欲しいと言っているようにしか聞こえない」
「そ、そんなこと……あぁっ――」
 もう片方の乳房を掴み、彼はその中心に口を付けた。
 乳頭に愛情深いキスをすると、味を確認するようにそこを舐め、それから口に含む――
 反対の乳房以上にじっくりと卑猥な愛撫を受け、体内の熱が高まってゆく。
 そうしながら彼は身を動かし、アリアの脚の間に身体を割り込ませてきた。
 乳頭を吸われながら、アリアは彼がこれ以上のことをしようとしていることに気付いた。
(そんな……そんなことをしてしまったら……)
 異性に胸を触られたことも初めてで、それだけでも彼に対して特別な感情を抱いている。これ以上のことがあれば、彼から離れられなくなってしまう……
(いつかはクラウディオ様と離れなければいけないのに――)
「――っ!!」
 乳首の付け根を甘噛みされ、ひときわ強い快感が奔った。思考が吹き飛ばされる。
 ふいに、お臍の辺りに彼の指が触れ、下腹の下着の中にクラウディオの手が入ってきた。
「……っ! えっ、そこ…そこは……」
 脚の付け根の割れ目の中を、指先で撫で上げられる感覚があった。クラウディオの指が粘液を絡めて、アリアの割れ目の上部にある敏感な突起に触れた。
 ぱんっ、と弾けるように、下腹に溜まっていた甘い熱が迸る。
「――――ああっ……」
 快感の衝撃で、ビクンと身体が跳ねた。
 奔流がアリアの全身を一気に巡り、満たしてゆく。
一瞬だけ意識が飛び、再び肉体の感覚を取り戻す。
 と、目の前にクラウディオの端整な顔がある。
 甘い微笑を浮かべた彼の唇に、アリアの唇が覆われる――口内に侵入してきた舌がアリアのそれに触れ、互いの粘膜の一部をゆっくりと味わい合った。
 呼吸が苦しくなった頃、ようやくクラウディオの顔が離れた。
荒い吐息が混じり合う。
 見つめ合った瞳に、互いの顔が映っている。
「アリア、私は――」
 陶然とした様子で彼がなにかを言いかけ――そして、言葉を呑み込んだ。
(……?)
 彼は、なにを言おうとしたのだろう?
 クラウディオが、左右に小さく首を振る。
「駄目だ。あなたの全てが欲しくなってしまう。――だが、あなたはいつか私から離れる身だ。傷物にするわけにはゆかない」
(クラウディオ様……)
 思いやってくれる優しさで胸が熱くなるのに、別れを意識させられて、心が痛い。
 身代わりの貞操など、気にするような立場の人ではない。それなのにアリアのことを大切にしてくれている。
『あなたの全てが欲しくなってしまう』
 さきほど彼はそう言った。
 ならば、アリアの全てを奪ってくれればいいのに――
 情事の熱が、まだ身体の中に残っている。今ならそうお願いしても、彼はアリアを軽蔑しないかもしれない。
 でも。
(……わたしは身代わりなのだから。どんなにクラウディオ様をお慕いしていても、結ばれることはないのだから……)
 最後の勇気が出なくて、胸の内を伝えることはできなかった。

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