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あらすじ
夫に恋しちゃいました……
上司からの見合い攻撃に辟易した飛鳥は、友人である崎山まひると「どちらかに好きな人ができたら別れる」という条件で結婚することに。同居生活に居心地の良さを感じていたある日、まひるのひとりHを目撃してしまった! まひるを男として意識してしまう飛鳥にまひるも「俺もお前に触りたい」と言い、二人で過ごす夜にHの時間が加わって……。
(ヴァニラ文庫ミエル)
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試し読み
こぼれ落ちる吐息を奪うように何度もキスをされて、身体に力はもう入らない。セーターを首元までまくり上げられて、腹に彼の唇が触れて、肌が粟立った。
指が、弄んでいたその頂を今度はその口に含まれて、吸い上げられて、舌が何度も嬲った。
声を抑えたいのに、それができない。彼の肩口の布をぎゅっと握りしめて、自分の指を強く押し当てるだけだ。だがそれはなんの意味もなしてない。
微かに開いた唇から、続きを求めているような、甘えているような声が何度もこぼれて、飛鳥の羞恥心を煽った。
「……は……っ」
「……声、我慢してんの?」
「っ……ぁ、や……っだ、って……っ」
「……聞かせろよ。俺の楽しみ、取るな」
「やあっ……あ、や、み、みやだ……っ」
潜めた笑い声が直接耳に吹き込まれて、背中が仰け反ってしまう。
唇を押し当てられて、彼の舌が耳の中まで入り込む。頭に響く濡れた水音と、胸を嬲られる刺激に、頭がクラクラした。
片方の手が胸から離れて、脇腹を伝って、太ももを撫でる。その手の動きに身体が勝手に期待して震えた。
指先が肌を掠めるように、その掌が粟立つ肌を宥めるように撫でて、その優しさに息が苦しい。スカートの中に潜り込んだ手は、あっという間に下着に触れて指を引っかけた。
制止する言葉は一瞬遅れて、その一瞬の間に彼はそれをずらしてしまった。
飛鳥は慌てて手で止めようとしたが、身体には力が入ってくれずに無意味な動作になってしまっている。きっと甘えているようにすら見えているのだろう。
恥ずかしくて、頬が熱くて、ぎゅっと瞼を閉じていると、未だ耳を弄んでいた彼の唇が掠れた声で「腰上げろ」と飛鳥に命じた。
何かを思うより先に身体がその言葉に従って、下着はさっと足から抜き取られた。
心許なさを感じて立てた膝を擦り合わせた時、小さな粘着質な水音が聞こえたような気がして、一気に顔が火照る。
頬や唇にキスを繰り返しながら彼の手がゆっくりと飛鳥の膝を開いて、指が蜜の溢れるその場所に触れた。
「あっ……あ、ぁ……っ」
「……気持ちいい?」
「は、……ぁ、っま、ひる……んんっ」
最初はそっと、壊れ物を扱うかのような潜めた動きだったのに、それはすぐにくちゅくちゅと音を響かせ始めて、身体を襲う快感が膨れ上がる。
飛鳥の膝はがくがくと震えて、その強い刺激に耐えるためにシーツを握りしめながら、甘い鳴き声を繰り返し吐き出した。
そうしないと苦しくて苦しくて、とてもじゃないが堪えられないのだ。気持ちよすぎて声を殺しきれない。
合間に落とされる胸へのキスがそれを加速させて、握った拳を口に押し当てても漏れる吐息は消えない。
蜜に濡れた粒を、彼の指が押し潰して、すぐに優しく撫でられる。
与えられる快感に痺れる身体は、もうとっくに自分の制御下にない。ビクビクと跳ねる腰を彼が押さえるように腕を回して、脚を拘束される。
気がついた時には、まひるはもう飛鳥の脚の間に身体をずらしていた。何をする気なのかその疑問を抱いたその瞬間、彼の舌はすでに、溢れた蜜を舐めとるように動いていた。
「ああっや、あっや、だっまひる……っひ、ぁあ……っ」
「……素直に感じてろよ。俺に触ってって言ったろ」
確かにそう言った。そう望んでいたが、こんなことまでしろなんて言ってない。
好き勝手にその場所に触れて、思うまま蹂躙して、溢れる蜜を舐めとっていく舌は、今の飛鳥にとって、もはや凶器と変わりない。
身体の震えは一層大きくなって、つま先がシーツを何度も蹴っている。
きっと、ベッドに被せてあるシーツは、すでにぐちゃぐちゃになっているんだろう。過ぎる快感を堪えるため、飛鳥が何度も引っ張っている。
もう身体は限界に近くて、彼もきっとそれに気がついているのだろうに、最後をくれない。
苦しくて、胸が切なく軋んで、涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。 -
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