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あらすじ
私はお前を手放すつもりはない
孤独な国王から濃密に愛された先に見えたのはーー!?王宮で働くマルティーヌは、歌がきっかけで国王のパトリスに見そめられて、2人は密かに図書室で逢瀬を重ねるように。情熱的に唇を塞がれ、肌をまさぐられ舌を這わせられると、声を抑えきれなくなる。彼に全てをゆだねたいのにそうならないのは、やっぱり身分が違いすぎるから? 実はパトリスの周囲には、過去に連なる陰謀が渦巻いていて……!?
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キャラクター紹介
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マルティーヌ
王宮で働きながら勉強もしている。パトリスには出会った時から惹かれていた。 -
パトリス
フランシア国王。人嫌いで国政から身を引いているが、それには理由がある。
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試し読み
彼から子供時代を奪った犯人が許せなかった。
「二人で犯人を見つけましょう。そしてオレリー様とルイの無実を晴らすの。そうでなければ私もパトリス様も自由にはなれないわ」
「自由、か」
彼の表情がふっとゆるんだ。
「お前があの時言っていたな」
「あの時?」
「馬小屋で、アンリたちに連れて行かれそうになった時だ」
マルティーヌも思い出した。一旦逃げ出したが再び捕まり、アンリのものになりそうになった時だ。
『私とララに触らないで。私たちはあなたのものではないわ』
「私もそう思って生きてきた。ただ生かされて、誰かのものになるのは嫌だった」
パトリスは指でマルティーヌの顎を持った。
「お前に惹かれたのはあの時が最初だ」
嬉しかった。自分がオレリーの娘だからではなく自分自身の言葉で好きになってくれた。
「私は……最初に見た時驚きました。お城にはこんなに素敵な馬丁がいるのかと」
彼の唇が落ちてきた。優しく、吸い付くようなキス。
「もしかしたら、私の記憶がお前の中にあったのかもしれない」
「え?」
「この屋敷で生まれてすぐ、私はオレリーを訪ねた。乳母に抱かれていたお前を抱かせてもらった。その時じっと私を見つめていたんだ。灰色の、透き通った瞳で」
もしかしたら、その時の面影が残っていたのだろうか。
生まれて初めて見た彼のことを、ずっと想っていたのだろうか。
(人を好きになるってこういうことなの)
顔や姿だけではない、魂が通い合うのだろうか。
「あの時、人間とはこれほど美しいものかと思った」
深く口づけられ、そのまま寝台へ寝かせられる。
寝間着を脱がされ全裸になった。彼も全ての服を脱ぎ捨てる。
「いつか、なんの心配もなく抱き合える時が来る」
肌を触れ合い、抱きしめ合った。彼の唇が膨らんだ先端を包む。
「ああ……」
全ての疑惑が晴れ、心から抱き合える日が来たらどれほど嬉しいだろう。
「きっと来るわ、そんな日が……」
彼の唇が何度も乳首を吸い上げる。じいんという感覚が全身を駆け巡った。
「あ、いい……」
マルティーヌを感じさせたパトリスは後ろへ回り、背後から抱きしめる。
「足をしっかり閉じてくれ」
腿の間に彼のものが挟まった。
「お前の肌で、擦ってくれ……」
熱い棒が前後に動く。マルティーヌは足をきつく締めて彼を擦った。
「あ、触る……」
棒の部分が腿の付け根にある谷間に挟まった。小さな花弁が擦られて、熱くなる。
「お前のものに、触れるよ」
パトリスの手が前に回り、自らのものに触れている箇所に触った。果肉の中に埋もれている淫芯を探り当てる。
「ひゃん……」
下から棒で擦られ、前からは指で擽られる。あっという間に自分の蜜が溢れてきた。
「濡れてきた……気持ちいいよ……」
腰の動きが速くなってきた。その動きもさらに快楽を刺激する。
「あ、いいの、気持ちいい……」
性器同士が触れ合っている、あとほんの少しで深く繋がってしまいそうだ。自分の体ははっきりそれを求めていた。
(でも、我慢しなきゃ)
パトリスもきっと同じ気持ちだ。男性はもっと求める度合いが強いだろう。
それでも堪えてくれている、将来出来るかもしれない子供のために。
(希望を失ってないから)
二人の明るい未来を、信じているから。
一夜の快楽を我慢できるのだ。
「あ、いきそう……」
指で刺激され続けた丸い粒はもう破裂しそうだった。もじもじと足を擦り合わせるとパトリスの息も荒くなる。
「私もだ……出てしまう、肌が蕩けそうで……」
耳の後ろに舌を這わせられる、その瞬間じくっと体が震えた。
「あ、やんっ……!」
彼の指の下で肉粒が震えるのが分かった。ほぼ同時に肉棒の先端から熱い汁が迸る。
「ああ、出てしまった……」
今夜は達した後でも離れなくていい。彼のものを丁寧に布でぬぐう。
初めて間近に見るそれはあまりにも奇妙な形をしていた。別の動物が人の体についているようだ。
「私のものに、触れてくれ」
マルティーヌはおずおずと手を伸ばす。
(熱い)
掌に乗るほどのそれは、体温よりも温かくしっとりと湿っていた。
「まだ、欲望が去らない。すぐまだ大きくなりそうだ」
最初はやや柔らかかった棒は、指の中でむくむくと形を整えていく。
「触ると、気持ちいいのですか……」
そっと指を動かすと、手の上の生き物はぴくぴくと蠢く。
その感触が先ほどの快楽を思い出させてマルティーヌの体はまた熱くなった。
「もっと、触らせて……」
手を根元まで滑らせると、黒い体毛の奥でそれは確かにパトリスと繋がっていた。しっかり根元を握るとさらに上へ頭をもたげる。マルティーヌは両手で包み込むようにそれを握った。
「お前の手の中で、擦ってくれ……」
小さな雛を愛でるように、手の中のものを撫でさする。最初は奇妙に思えたその形もだんだん愛おしく思えてきた。
(これがパトリス様のもの)
彼の快楽の中心、そう思えば可愛らしくすら思えてきた。
手の中の小さな棍棒がぴくぴく蠢きだす。先端から朝露のような液体が現れた。
「これは……?」
「私の、最初の液だ。そのまま続けて……」
パトリスの手が自分の頭を撫でる。指が髪の中に入って優しく梳った。
(愛おしい)
彼への愛情が湧き出てくる。マルティーヌはそっと彼のものへ唇を寄せた。
「止せ!」
彼は頭を撫でていた手でマルティーヌを押しとどめる。
「どうして? パトリス様もしてくださったわ」
自分を見下ろすパトリスの目は慈愛に満ちていた。
「お前はしなくていい……汚れている……」
そう言われると、ますますしたくなる。
「パトリス様は綺麗ですわ、どこもかしこも」
すると彼の表情が暗く歪む。
「私は、お前の思うような人間ではない。本当は人を愛してはいけない男なのだ」
同時に、手の中の肉棒が少し柔らかくなる。
(いけない)
ものを知らないマルティーヌでも、それが彼の欲望の消失であることは分かった。
「私は、パトリス様を愛しています」
この熱を冷ましてはいけない、マルティーヌは夢中で棍棒の先端に唇をつけた。
「あっ……」
丸い頭に唇の先端が触れた途端、パトリスの声が上ずった。衰えかけていた肉棒が再び力を取り戻す。
(これでいいんだ)
自分と同じようにパトリスも感じている、そう思うと躊躇は消えていった。
透明な液は少し塩気がする。マルティーヌは舌を出して丸い頭を舐めた。
「あ、そんなことをすると、もう駄目だ……!」
パトリスはマルティーヌを強引に引き離した。そして自らの手で肉棒を抑える。
すると、指の間から白い液体が溢れだした。
「まあ!」
驚いた。彼の体内から出てきたものが驚くほど大量だったからだ。
「出てしまった、お前の唇があまりに柔らかかったから」
彼はハンカチを取り出して白い体液をぬぐった。大判のハンカチがびっしょりと濡れている。
「男性は、こんなに出るんですね……」
マルティーヌは思わず噴き出してしまった。
「なにがおかしい?」
「……以前、トラウザーズの中で出してしまわれたのですね。洗濯が大変ではなかったですか?」
彼が洗濯場に自分の服を出したがらなかったわけが分かった。
「……仕方がないから馬小屋で洗った。あんなものを人に見せるわけにはいかない」
もう我慢できなかった。マルティーヌはくすくす笑い出す。
「私ならいいでしょう。洗って差し上げます」
体液を受け止めたハンカチを受け取ろうと手を差し出すが、パトリスは断った。
「いや、私のものは私でやる。以前からやっていたことだ」
胸が詰まった。この国で一番人に囲まれている人が、子供の頃からたった一人で生きてきたのか。
(どうして)
彼がこんな目に遭わなければならないのか。
どうして自分だけが彼の側にいられるのだろう。貴族の娘やアナベルではなく、自分が。
「私は」
彼の力になりたかった。
自分が彼に助けられたように、彼を助けたい。
「……陛下をお助けしたいです」
パトリスは身支度を整えながら優しい目つきを見せる。
「ありがとう」
その優しいまなざしを独り占めしている、恐ろしさと陶酔が同時に襲った。 -
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