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あらすじ
コワモテ旦那サマ、結婚してから嫁が可愛くて暴走中
「俺の嫁だ。丁重に扱え!」極道の娘でお嬢育ちの梨々花が、敵対する組の若頭・陣と政略結婚することに! コワモテで非道とウワサされていた陣だけど、梨々花にめちゃ甘で初夜から蕩かされちゃうなんて…。いつでも梨々花を最優先&過保護な若頭は新妻を可愛がりすぎ!? 陣のため、若頭の妻として奮闘しようとするも、両組の確執が再燃し…?(ヴァニラ文庫ミエル)
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試し読み
(初夜を意識しすぎてるかな……。でも、こんなこと誰にも聞けないし)
ぐるぐると考えていると、不意にふすまが開いた。振り返ると、寝巻を纏った陣が部屋に入ってくる。髪はろくに乾かしていないのか濡れていて、はだけた合わせから覗く鎖骨が色っぽい。梨々花はつい凝視してしまった。
「なんだ、そんなに見て」
「い、いえ……わたしも、寝巻にすればよかったと思って……」
「そんなこと気にする必要はない。好きな恰好をすればいい。それに、どうせすぐに脱ぐことになる。違うか?」
明け透けな陣の台詞に、梨々花の頰はまたたく間に赤く染まった。
「……確かに、そうかもしれませんね」
どう言い繕おうが、これからふたりがすることは決まっている。覚悟を決めて立ち上がると、彼の前で正座をした梨々花は、三つ指をついて頭を下げた。
「行き届かない点もあると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」
「これから抱こうというときに、固すぎる挨拶だな」
陣は梨々花の腕を引くと、布団の上に押し倒した。
「これもおまえの務めだ、我慢しろ」
「……わたしは自分の意思でここにいます。だから……我慢しなくてはいけないとか、そういう気持ちではありません」
至近距離で見下ろしてくる陣に告げると、それまで表情のなかった男が口角を上げた。
「無理やり抱くのは趣味じゃないと思っていたが、意外だな」
「え……」
「俺はこのとおりの面相で、強面だと組員からも言われるほどだ。女に好かれるような男じゃない。だが、おまえは覚悟のうえで神薙に嫁いできたんだな。侮っていた」
ふ、と、男の気配が変化する。それまで見たことのない、艶を帯びた顔付きだった。昼間、梨々花が屋敷の敷地に足を踏み入れたとき、組員に『丁重に扱え!』と怒鳴った顔とも、組長夫婦の前で梨々花と挨拶したときとも違う。雄の表情だ。
何をされるか本能的に悟ってわずかに腰を引くと、伸し掛かってきた男に唇を奪われる。
「んんっ……」
初めて触れた唇からは、日本酒の匂いがかすかに薫った。自分は飲んでいないのに、酔ってしまいそうなほど濃厚な香りだ。にもかかわらず、陣にはまったく酔った素振りは見られない。ビール一杯でも酔う梨々花とは正反対だ。
(陣さんは、わたしを無理に抱くつもりはなかったんだ)
『我慢しろ』と彼は言った。おそらく、梨々花が陣に抱かれることを嫌がるだろうと見越して機先を制したのだろう。
だが、梨々花の覚悟を感じ取ったことで、彼も思い直したのだ。これは家同士のための婚姻で、務めを果たすことが第一なのだ、と。
「キスの途中で考えごとか? 余裕だな」
「ん、ぅっ!」
キスの合間で囁いた陣は、今度は深く口づけてきた。閉じていた唇の合わせ目から舌が忍び込み、上顎を撫でられる。先ほど鼻をついた日本酒の芳香がより強く感じられ、梨々花はむせ返りそうになる。
唇を合わせるだけがキスではないと、知識としては心得ている。そういった体験を語る友人の話を聞いていたからだ。けれど、理解と実体験は天と地ほどの差がある。他人の舌が口腔を這い回る感覚が、これほど淫らな行為とは思わなかった。
「ふ、ぁ……んっ、ん!」
彼は自分の舌を梨々花のそれに擦り合わせてきた。舌の表面をぬるぬると行き来する感覚に、なぜだか腰の辺りがむず痒くなってくる。
(なんだか、変な感じ……)
彼と舌を合わせていると、奇妙な熱に浮かされるような気がした。つい顔を逸らそうとすると、顎を取られてしまう。熱い男の舌が、口腔を隈なく舐め尽くす。唇が痺れるほど強く吸い上げられて、息苦しさで頭がぐらぐらする。
「陣、さ……苦しい、です……っ」
やっと唇が解放され、梨々花が訴える。けれど彼は自身の唇を舐めると、「まだこれからだ」と、ふたたび唇を重ねてきた。しかも今度は、ただキスをするだけではなく、身体をまさぐってくる。
「ンッ、ん……ふ、ぅっん!」
陣は、口内に舌を挿し込みながら、ナイトウェアの上から胸を揉みしだいた。
大きな男の手で性的に触れられたことで肩を震わせた梨々花だが、彼の手つきに荒々しさは感じなかった。
もったいぶるように双丘を揉んでいたかと思うと、胸の先端に狙いを定めた指先が的確にそこを摘まむ。布地と擦り合わせられた先端がしだいに硬くなっていき、梨々花は恥ずかしさで腰をくねらせる。
「腕を上げろ。脱がせてやる」
「あ……っ」
キスを解いた男は梨々花の腕を引いて起き上がらせると、言うが早いかナイトウェアの裾を捲り上げた。遠慮がちに腕を上げると、そのまま脱がされる。下着姿になったことが恥ずかしくて胸を隠せば、抱き締めるように背中に腕を回した陣が、手早くブラのホックを外した。
「手を退けろ、邪魔だ」
「っ……」
耳もとで命じられた梨々花は、羞恥で肌が熱くなっていた。手を離せば、胸を見られてしまう。陣に抱かれる覚悟はあっても、肌を見られることは恥ずかしい。けれど彼は、梨々花を促すように耳朶に舌を這わせる。
「あ、ん……っ」
湿った舌の感触に驚いてつい手を離すと、陣は梨々花を押し倒した。あっという間に頭上で両手首をまとめられ、男の眼前にふくらみが晒される。彼の視線が身体に注がれ、梨々花は身を捩って顔を逸らす。
「や……見ないで、ください……」
「無理を言うな。これくらいで恥じらっていると、この先もたないぞ」
「ひゃ、あ……!」
陣は呆気なく手首を離すと、梨々花の双丘を両手で鷲摑みにした。ふくらみを寄せ、中心の蕾を交互に口に含む。先ほど口腔を味わっていた舌が、今度は胸を味わうかのように先端を転がし、そうかと思えば強く吸引する。その淫猥さに、梨々花はたまらず喉を反らした。
(こんなの……恥ずかしい……!)
彼は自分を『強面』だと自覚していたし実際そうなのだが、顔立ちはとても整っている。見つめられるだけでもドキドキするのに、肌を晒すどころか胸をしゃぶられているのがとてつもなく恥ずかしい。梨々花は羞恥と動揺でどうにかなってしまいそうだった。
「陣、さ……んっ、せめて、明かりを……消してください」
「必要ない。暗いと見えないだろう。感じている顔も身体も、包み隠さず俺に見せろ。それとも、おまえの覚悟はその程度か?」
顔を上げた陣に、上目で射竦められる。鋭い瞳だが、その内側にある欲望を感じて息を詰めた。今までの生活で、こんなふうに欲をぶつけられたことも、命令されたこともない。『宝生組』のひとり娘として、常に周囲に気を遣われる立場だったからだ。
しかし、これからはそうじゃない。この家に嫁いだ以上、夫である陣の意向に沿わなければいけない。
彼は、『いずれこの組の姐になる女だ』と組員の前で宣言してくれたのだ。その想いに応えたいし、自分の覚悟が真実だと認めてもらいたい。
梨々花は羞恥を押し殺し、小さく頷いた。
「わかり、ました。陣さんの……好きに、してください」
「安心しろ。ひどいことはしない。ただ、おまえは感じていればいい」
梨々花の覚悟を受け取った陣はそう言うと、ふたたび胸に顔を埋めた。
「あ、んっ!」
乳首を吸引された梨々花が、甘い吐息を漏らす。片方の乳首を吸い上げ、もう一方を指で抓られる。唾液を纏ったそこを指で捩られると、下腹にぴりぴりとした痺れが走る。
(やっぱり……恥ずかしい……)
自分をすっぽりと覆ってしまうほど体格のいい男に組み敷かれ、胸を舐めしゃぶられている。彼に弄られた頂きは赤く色づき勃起して、唾液塗れでひどく淫靡だ。
「は、ぁ……っ、ン!」
彼に胸をまさぐられていると、淫らな痺れが強くなっていく。それは胎の中を燃えるように熱くさせ、体内から蜜が零れ落ちる。
「……っ」
梨々花は自分の身体に起きた変化に動揺し、身を硬くする。陣の愛撫に感じている。その事実が、よりいっそう快感に結びついてしまい、頤を反らせて首を振る。
「やぁっ……」
(わたし、おかしいのかも……っ)
ショーツの中が、ありえないほど濡れている。陣に乳房を揉まれて舐められると、あとからあとから淫らな滴が滴り、浅ましいほど昂ぶってしまう。つい下腹部に力を入れて唇を嚙むと、陣は乳首を咥えたまま下肢に手を這わせた。
閉じていた足の間に強引に手を差し入れ、クロッチの上で中指を上下させる。ぬちゅっと粘着質な水音が聞こえたのを合図に、乳頭から唇を離した男が薄く笑った。
「感じているようだな。しかも大洪水だ」
「やぁっ……!」
卑猥な台詞を吐かれた梨々花が首を振る。自分がとてつもなく淫らな女になった気がしていたたまれない。しかし陣は、「いい傾向だ」と、ショーツの脇から指を忍ばせ、割れ目の中へ沈ませた。
「おまえは処女だろう。ゆっくりほぐしてやるから、我慢せずに喘いでろ」
「ひ、ぁっ……そこ、嫌ぁ……ンンッ!」
武骨な男の指が、蜜を蓄えた花弁をゆるやかに擦っていく。ぬちゅっ、ぐちゅっと耳を塞ぎたくなるような淫音が響き、それと同時に蜜口がひくついているのを感じた。割れ目の上部がことさら疼き出し、梨々花が腰を左右に散らす。
「はぁっ、ぅ……くぅっ、ん」
「下着がびしょびしょだな。腰を上げろ、脱がせてやる」
「んっ……」
言われたとおりに腰を上げると、彼はショーツを足から引き抜いた。蜜に塗れた恥部が空気に触れ、一瞬震えたのもつかの間、男は淫蜜を含んだ布を抛ると、大きく足を開かせる。
「何、す……っ」
「決まっているだろう、そんなこと。じっくり見て、おまえを善がらせる」
宣言した陣が、梨々花の両足を持ち上げた。恥部が丸見えになり足を閉じようとするも、男の身体に阻まれてそれも叶わない。
「綺麗な色だな。それなのに、男を誘う匂いをさせて……なかなかそそられる」
「あ!? だ、め……ぇっ!」
陣は否定の声を受けつけず、舌先で割れ目を開いた。
滴る蜜を舐め取り、唇を押しつけて啜り上げられる。いくら入浴後といっても、唇で触れるような場所ではない。困惑してなんとか逃げようとした梨々花だが、男の手に内股を押さえつけられているため逃げられない。
(こんなことまでするなんて……)
セックスで性器を舐めることもあると、知識はあった。けれども、あえてしなくても身体は繫げられるはずだ。にもかかわらず、彼は言葉に違わず梨々花をほぐしていた。丹念な愛撫と大事に扱われている感覚に、自然と強張りが解けていく。すると、今度は秘裂の上で疼いていた蕾を舐められた。
「あ、ぁああ……ッ」
刹那、梨々花は感電したような衝撃を味わった。
赤く充血していた陰核を舐めた陣は、そこを唇に含んで扱き始めた。とめどなく溢れ出る淫液を吸い込みながら、肉に埋もれていた花芯を剝き出しにする。
梨々花はびくびくと総身を震わせ、必死に快感に耐えた。秘めるべき場所を舌で犯されている恥じらいと、それ以上の強烈な愉悦に翻弄される。
「そこ、は……嫌ぁっ」
強すぎる快楽に怖くなり、梨々花は甘ったるい声で拒絶した。しかし拒んでいるのは口だけで、快感の印である蜜が大量に噴き零れ、シーツに染みを作っている。そのことが手に取るようにわかっているのか、陣は肉芽から唇を離さない。
(やだ……何かきちゃう……!)
花芯を嬲られて少しすると、尿意に似た感覚がせり上がってくる。それは下腹でどんどん募っていき、今にも爆ぜてしまいそうな逼迫感があった。花蕾に舌を巻きつけられ、唾液と淫液に塗れたそこを舌で弾かれると、胎の中がぐっと狭まった。
「陣さ……も、やめ……ッ、変、だから……ぁっ」
粗相をすることへの恐れで、梨々花は必死で声を上げる。だが彼は、なおさら花芽を強く吸引した。剝き身にされたそこは鋭敏で、下肢が蕩けそうな悦楽が体内を駆け巡る。
「いやぁっ、あ、あ、ぁああっ……!」
ぐっと胎の内側が締まり、瞼の裏に閃光が走る。快感を極めたのだ。足が引き攣って全身が虚脱してしまい、呼吸がなかなか整わない。
「派手にいったな。これも初めてか?」
ようやく股座から唇を離し、陣が問う。こんな経験なんてしたことがない。男性経験はおろか、自慰もしたことがないからだ。素直に梨々花が頷くと、彼は唇を舌で舐めながら不敵に見下ろしてきた。
「それなら、これからおまえの初めては全部俺が経験させてやる。だからおまえは、俺にすべてを委ねろ」
陣が自身の前をはだけさせ、隆々と反り返る欲望を取り出した。
それは、グロテスクとしか形容しようのないものだった。大きく張り出した雁首、その先端から垂れ流れた透明な滴が、太棹に絡みついている。長大な雄茎は、浮き出た血管がどくどくと脈打ち、禍々しい凶器のようだ。
男の手が、まだ力を失っている梨々花の足を開かせる。
達したばかりで抵抗ができず、彼にされるがままになってしまう。秘部からはとろとろと蜜が溢れ、淫孔は物欲しげにひくついている。はしたない状況が恥ずかしいのに、どうすることもできない。
「挿れるぞ。――これでおまえは、もう逃げられない。いいんだな」
なぜか確認するかのような台詞に、梨々花は承諾の意を込めて首を縦に動かした。もとより、神薙家には覚悟をもって嫁いできているのだ。逃げるつもりはない。それでも、わざわざ確認してくるところに、わかりにくいが彼の気遣いを感じる。
「だ、いじょうぶ、です……わたしは、逃げません、から」
もつれる舌でそう告げると、陣はほんの少しだけ目もとを緩めた。
「わかった。それなら、遠慮はしない」
熱の塊が蜜口に押し当てられる。その質量に思わず息を詰めた、その刹那――狭隘な蜜路をこじ開けるように、男の雄槍が挿入された。
ぎちぎちと身の内が軋み、視界が霞む。圧倒的な質量が未踏の処女窟を押し開き、己の存在を刻みつけるように脈動している。
「ひっ、ンッ、や、あああ……ッ!」 -
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