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試し読み
「キスしても、いい?」
甘くやさしくささやかれ、どきりとした。
コクンとうなずくと、ゆっくりときれいな顔が近づいてきて、そっと唇にあたたかなものが触れた。
やっぱり、心地いい。
優也くんの唇はあたたかくてやわらかくて、触れているだけで心がふんわりあたたかくなって……そして、ドキドキする。
まるで、……恋をしているみたいに。
いやいや、優也くんに恋なんてそんなの絶対にありえない!
こういうことをしているからドキドキしているんであって。
そう誰にかわからず心の中で言い訳をしていると、後頭部に手が添えられ、うながされるようにベッドに身体を横たえられた。
唇が離れ、優也くんが身体を重ねてくる。
こうして仰向けになった状態で男の人を見上げる経験も、もちろん初めてで。
ドキドキがひどくなった。
わたしを見下ろす優也くんの瞳が、やさしくて……でもその中に、確実に野生の光があって……なんかこの体勢、わたし、好きかも。萌える!
世の中の女の子って、こういう状態になると嫌いだったりいやだったりする男の人以外の相手には、ドキドキしてしまうものなんじゃないだろうか。
なんて考えていると、またちゅ、ちゅっとキスをされた。角度を変えて、何度も何度もやさしいキスを。
心臓の鼓動がどくんどくんと速くなる。また息苦しくなってきた。
(そうだ、鼻で息をするんだった)
そう教えられたことをなんとか思い出し、そっと鼻で呼吸をするよう努力してみる。
聞いたときには絶対難しいと思っていたけど、やってみるとけっこう簡単だ。
ただ、さっきのようにまた舌が口内に滑り込んでくると、まだ慣れなくてちょっと苦しくなってしまう。
優也くんの舌は、甘くてやわらかくて……わたしの舌に絡みつくたびドキドキと心臓が鳴る。
やっぱりわたし、ドキドキしてる。だから呼吸もよけいに苦しくなるんだ。
優也くん、そういうことよく知ってるんだな。
女性経験もきっと豊富だろうし、ほんとに任せてしまって安心かもしれない。
だけど、そう思うとちょっと胸がチクッとした。
この気持ちはなんだろう?
けれど、深く追求するより先に、ぺろりと唇を舐められてゾクッと快感が背筋を走り抜けた。
「あっ……」
思わず声が上がってしまう。
舐められた部分がジンジンする。優也くんの舌が離れたあともこんなきもちよさが残るなんて……こんなことってあるの?
「唇、弱いんだな」
優しく頭を撫でてくれながら、優也くんが甘くささやく。
「わ、わからない……いまもまだジンジンして……ん、んんっ……!」
優也くんに再び唇をふさがれ、今度はわたしの唇を重点的にちゅるちゅると舌で責められる。
連続でそんなことをされると、ジンジンがとまらなくて、それどころかもっと強くなって……身体じゅうがしびれてくる。
唇を舐められただけでこんなにきもちがいいだなんて……キスってなんて恐ろしいんだろう、いろんな意味で!
自分で舐めただけじゃこんなふうにはならないのに……キスってほんとに不思議だ。
「かわいい声……もっと聞かせて」
「あ、んっ……ぁんっ!」
優也くんの唇が離れ、そっと首筋に触れる。おかしなくらいビクンと感じてしまい、身体がはねた。
「首も弱いんだ? 耳はどうかな」
「あ、あっ……だ、だめっ……ふぁんっ!」
優也くんの唇がちゅ、ちゅっと上がっていき、耳のふちにたどり着く。その工程だけでもうきもちがよくて、勝手に変な声が上がってしまう。
「だめってことは、いいってことだよな?」
「ち、ちがっ……あぁんっ!」
トントンと胸を叩いているのに、優也くんはやめてくれない。
それどころか、どんどん大胆になってきた。
唇と舌とで首筋と耳をちゅるちゅるとなぞり、手は胸のふくらみをやさしく包み込んだ。
そのまま感触を楽しむかのように、やわやわと揉み始める。
「瑠璃の胸……俺の好みにぴったりだ。俺の手に少しあまるくらいで……形もいいし、やわらかくてきもちがいい」
「あ、あっ……その触り方、だめぇっ……! あぁんっ……!」
優也くんは手のひら全体を使って、乳首だけをころころと転がす。
そうされるとどんどん身体の奥が疼いてくる。もう足のあいだがなんだかずくずくとしてきてしまって、もぞもぞ足を動かしてしまう。
なんだか……わたし、ヘン……。
足を動かしていることに、優也くんは気づいてしまったらしい。
ふっと笑って、わたしの唇にちゅっとキスをくれる。
「もっと別のところもシてみようか」
「えっ……」
別のところって……どういうこと?
もしかして、と思ったそのとき、優也くんは上半身を起こしてわたしのズボンに手をかけ、ショーツごと引き抜いてしまった。
「あっ……! ちょ、ちょっ……」
だめ、と言うよりも早く、優也くんがわたしの足の膝をグッとつかみ、グイッと左右に一気に押し広げた。そして、素早く自分の身体を割り込ませる。
これじゃ足を閉じようにも閉じられないよ……!
こんなかっこう、恥ずかしくて仕方がないのに……!
「優也くん……っ……これ、恥ずかしいよ……っ……」
涙目になってそう言うと、優也くんは指の背で頬を撫でてくれた。こんなときだけど、なんだか猫になった気分。
「大丈夫。瑠璃はどんなかっこうになったってかわいいから。さ、上も脱ごうな」
「う、うん……」
優也くんとこういうことをする、と決めた以上、服を脱ぐことはさけられない。
覚悟して、わたしはもぞもぞとTシャツとブラジャーを脱いだ。
すぐに両手で胸を隠すと、優也くんはふふっと笑った。
「瑠璃、純情なんだな。かわいい」
「そ、そんなことっ……」
「瑠璃だけ脱ぐんじゃ不公平だよな。俺も脱ごう」
「え、えっ……」
そりゃ当然優也くんも裸になるんだろうけど、いざそういう場面になるとわたわたしてしまう。
しかも、義弟とはいえ男性が服を脱ぐところなんて、ドラマくらいでしか見たことがない。
ひとりあたふたしているうちに、優也くんはシャツとジーンズ、そして下着を脱ぎ終え、わたしとおなじく裸になってしまった。
うわぁ、優也くんなんてきれいな身体をしてるんだろう!
恥ずかしいとかいう以前に、見惚れてしまった。
筋肉質といっても、ムキムキな感じではない。細マッチョというのに近いと思う。女の子が見て、あ、かっこいい、と思う筋肉のつき方をしている。
肌もすべすべしていそうで、絶対わたしより手触りがいいだろう。
お腹もきれいに割れていて、どこにも無駄な肉がない。
そこでわたしは、はっと息を呑んだ。
優也くんのそれは、すでにおへそにつくくらいに反り返っていた。
それは、わたしが初めて見る男性器、というもので……。
ほかの人のを見たことがないけれど、優也くんの屹立はかなり大きなほうだと思う。片手で握ろうとしても、きっと回りきらない。
優也くんは色が白いほうなのに、そこだけが赤黒く、ところどころに血管が浮き出ていて、凶暴に見えた。
「そんなに見られてると、興奮して早く挿れたくてたまらなくなっちゃうんだけど」
「ふぇっ!? ご、ごめん!」
はっと我に返ったわたしは、慌てて目をそらした。
優也くんは、くすくすと笑う。
「俺の身体にも、ゆっくり慣れて? ──かわいい瑠璃」
「あ……っ……」
ちゅる、と乳首を吸われ、ビリッと電流のような快感が走り抜ける。
そのままちゅるちゅると舌を乳首に絡められ、あられもない声が次々に上がってしまう。
時折甘噛みしては、ちゅうっと吸い上げる。そのあいだ、もう片方の乳房を少し強めにくにゅくにゅと揉まれている。
きもちいい……恥ずかしいけどきもちいいよ……!
どんどんお腹の奥が熱く疼いてくる。 -
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