- 著者:矢城米花
- イラスト:DUO BRAND.
ページ:290
発売日:2018年4月17日
定価:本体590円+税
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あらすじ
強引なアラブ王と、極甘な蜜月生活♥
豪華客船の沈没事故で記憶をなくしてしまったファラーシャは、婚約者だというジャナフ王国のラシード王と新婚生活を始めることに。「忘れられないくらい、甘く啼かせてやる」戸惑うファラーシャを、ラシードは情熱的に口説き、夜ごと巧みな愛撫で蕩かせてくる。しかし、断片的に記憶が蘇ってきたファラーシャは、自分の素性に不信を抱き始め……!?
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試し読み
「私、大丈夫、ですから……」
「……可愛い奴だ」
瞳で微笑み、唇に軽くキスを落としたあと、ラシードは腰を動かし始めた。苦痛を少しでも紛らわせようという心遣いだろうか、喉を舐め上げ、胸に手を這わせる。蕾をやわやわとこねられ、ファラーシャは顎をそらせて喘いだ。
「あぁんっ」
「気持ちいいか? こんなふうにされるのと、どっちがいい」
今度は胸のふくらみ全体を荒々しく揉みながら、蕾を指の間に挟んで押しつぶされた。
「あっ、ぁう……や……っ」
優しい愛撫の方がいい、と思ったけれど恥ずかしくて口には出せなかった。
「答えないのなら、このまま続けるぞ」
「やっ、そんな……ぁ、はぅ! だめぇ……!!」
弄ばれる胸も、牡を受け入れた蜜壺も痛い。確かに痛いのに、責められた分だけ体の芯から熱く昂ぶるのはなぜなのか。
「そうだ、お前は喉より耳の方が弱いんだったな」
「ひぁ!?」
耳たぶを甘噛みされてのけぞった。体の奥から蜜がじゅわっと溢れ出る。その瞬間、ぐっと深く突かれた。
「やぁ……んっ! あ、あっ……やっ、耳……はぅっ!?」
耳孔に舌を差し込まれ、一際高い悲鳴がこぼれた。
(こ、こんなところ……)
耳元に軽いキスをするだけならともかく、耳の穴に舌を入れるなど聞いたこともない。なのにこの行為が、背筋が震えるほどの快感を生み出す。身を震わすたび、のけぞるたび、熱い蜜が自分の中から溢れ出た。
自分を貫く牡が、荒々しく動く。深く、浅く、突き上げられる。
「……あ、ぁあ……ラシード様ぁっ……!! はぅっ、あ、あぁ……!!」
夢中でラシードの名を呼び、広い背中に腕を回してすがりついた。汗のにおいが鼻孔を刺激し、素肌から伝わる胸の鼓動に酔わされる。
「ファラー、シャ……っ……」
ラシードが一層激しく腰を打ち付けてきた。
「はっ、ぁ、ああ! やっ、ん……っ!」
喘ぎと悲鳴が混じって、もう自分でも何を言っているのかわからない。粘膜が擦れる。恥骨がぶつかり合う。秘所の茂みがもつれてからみ、引っ張られて痛い。
それでもやめてほしいとは思わなかった。
気持ちいい。ラシードと触れ合っている場所のすべてが──汗に濡れた肌も、体液にまみれた粘膜も、何もかもが気持ちいい。
突き上げに合わせて、腰が勝手に動いてしまう。
「あぅっ、あ、あぁ!! くはっ、ぁ……ラシー、ド、様ぁ……っ!」
昂ぶっていく自分が怖い。このままでは、壊れてしまうのではないだろうか。
「助け、て……気持ち、よすぎ、て……ぉ、おかしく、なりそう……っ……」
泣きながら、逞しい背中に両腕を回してすがりついた。だがラシードにやめる気配はない。
それどころか、一層激しく突き上げてくる。
「可愛いぞ、ファラーシャ……俺のものだ、もう、誰にも渡さない……!!」
ラシードが囁いてくる。独占欲を剥き出しにした声に荒い息遣いが混じって、獲物を前にして舌なめずりする野獣を思わせた。
いや、すでに自分は牙を突き立てられ、食われているのだ。自分の何もかもがラシードのものになっていく──そう思うと怖さが消え、かわってラシードに支配される喜びが、体の中心から髪の先まで広がった。
ラシードのものでいたい。自分を誰にも渡さないでほしい。
「あぅっ! ぁひっ、ぃ……ラシード様……ラシード様ぁあっ……!!」 -
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