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あらすじ
親の借金のため美しくも恐ろしい黒伯爵の妻にさせられて!?
借金を肩代わりしてもらうため無慈悲だと恐れられる黒伯爵リカルドの妻になろうとするルチア。しかし彼の妻になるには試練を受けねばならない。「つつましいが楽しませてくれそうだ」思いがけず優しく触れられて知る初めての快感。身の震えるような甘い愛撫を与えながらも難題を課してくるリカルドに、本当に彼の妻になれるのか戸惑いが募って!?
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試し読み
「あ……」
ルチアの胸に熱いものが広がる。リカルドは今しもルチアの心に吹き荒れようとしていた強力な嵐を、いとも簡単に静めてしまった。
「伯爵様……!」
ルチアはリカルドの愛情の深さに触れ、また涙をいっぱに溜めた。
お互い引き合うように唇が重なった。口づけは熱い息を継ぐたび深くなり、ルチアの心を甘く……甘く蕩けさせる。
ルチアの肩を慈しむ優しさで撫でていたリカルドの手が、鎖骨のあたりへと落ちた。美しく浮きでた一対の、まだ少女めいた繊細さを感じさせるそれを指先で愛でている。
「……あぁ」
ルチアの唇を割って切ない息が零れた。ルチアはたくましい両腕にくるまれたまま、布団の上に横たえられた。
「ルチア、お前は俺の妻だ」
彼の指が胸へと這ってくる。右の乳房を鷲掴まれると、強い疼きが身体の芯を駆け抜けた。
「ああ……っ」
今までにない荒々しさで揉みしだかれる。乳房が彼の手のなかで跳ねるたび、微かな痛みが走る。だが、その痛みがなんともいえず気持ちがいいのだ。
「あ……ん」
ルチアの口から甘えてねだる声が、絶え間なくあがりはじめた。両手で掴んで寄せた胸の谷間に、リカルドの顔が埋まった。熱い息が白い肌を掠め、淡く色づく乳首を撫でる。
「ルチア……」
敏感な実を唇に含まれる。舌先でつつかれ転がされ、ルチアは大きく喘いだ。
「……んっ」
ふいに柔らかく噛まれて、またツンとした痛みが走る。すぐさま大きな快感の波を連れてくる。
「やぁ」
身体の奥の……ずっと奥の方が締めつけられる。リカルドの分身でいっぱいに埋められた記憶の残るその場所が、ズキズキと疼いている。
ルチアのなかで、リカルドに教えられた欲望が鮮やかに、淫らに頭をもたげはじめる。愛する男とひとつになりたいと、ルチアは狂おしいほどに思う。願う。だから……。
「旦那さ……ま……」
だから、ルチアは拒めなかった。いや、待ち焦がれてさえいた。乳房を離れ下腹へと滑り下りてくる手を。若い叢を分け、奥へと忍び込んでくるその指を……。リカルドは焦らすようにゆっくりと、秘密の花を探して蠢いている。
「もし、お前が本気で俺から離れてしまったら、俺はどうしていただろうな」
彼の指が、ついに蜜に濡れた花に辿り着いた。ルチアは羞恥にまみれながらも迎え入れる。
「今度こそ、本気でお前を丘の上の館に攫ったかもしれない。グンター・ベインがしたように、鍵のかかる部屋にお前を閉じこめ、二度と誰にも見せない」
ルチアは嬉しくて、そんなふうに囁いてくれる彼が愛おしくて、初めて自分から唇を重ねた。
リカルドはルチアの口づけに恍惚とした表情を浮かべながらも、花芯への愛撫を止めなかった。
「……ん」
ルチアの切なげな息が零れた。唇へのキスと花への愛撫がひとつに繋がっている。彼がキスで唇を撫でる時、ルチアの花弁も一緒に撫でられる。指が溢れる蜜を掻き回せば、ルチアの口のなかも彼の舌に蹂躙される。ルチアの快感は見る間に膨らみ、花は熱く綻んでいく。夫を受け入れるのに十分なほどに。
「あなたの……匂いがします」
ルチアはリカルドの背にしっかりと両手を回し、抱きしめた。
「私の好きな匂い……」
「匂いだけでこんなになるのか」
また溢れてきたルチアの蜜を、リカルドの意地悪な指がすくいあげる。それをまた短い溝を分ける仕種で塗りつけられ、ルチアは彼にしがみついた。
「愛しています。もうずっと前から……、私を守ってくれたあなたの後ろ姿を見た時には心を奪われていました」
ルチアは、伯爵と出会えた幸福を強く思っている。
「俺もだ。俺もお前を館に連れ帰った夜の……、お前が俺には血が通っていると言ってくれたあの時にはもう、胸にある想いが本物の愛だと知っていた」
固く閉じた瞼がどんどん熱くなっていくのは……、今にもまた涙が溢れそうになるのは、幸せだから。
夫しか知らない妻の入口をくぐって、指が入ってきた。熱く熟れた襞を分け、さらに奥へと進められる。
「ああ……」
ルチアは堪らず腰を浮かせた。指を一本受け入れただけで、一時もじっとしていられない快感がルチアを淫らにする。
リカルドは自分を誘ってやまないその場所に、最初はゆるゆると、やがては荒々しい動作で指を突き入れた。
「俺が欲しい?」
細い腰がしなって揺れるたび、ルチアは彼を締めつけていた。
「ああ……旦那様」
「ルチア……」
「旦那様……旦那様……」
リカルドは指を引くと、すっかり綻び乱れたルチアの花に自分を押し当てた。旦那様と自分を呼んで甘えてねだる、そんなルチアに愛しさを募らせたのか。リカルドは腕のなかの身体を強く引き寄せたかと思うと、一気に貫いた。
ほんの一瞬、裂かれる痛みがルチアを襲ったが、すぐにまた大きな快感の渦に呑み込まれる。堅い切っ先が狭い路を分けさらに奥へと押し込まれた時、彼が急にひと回り大きくなったように感じて、ルチアは息をつめた。
「あ……やぁ」
戸惑うほどの悦びだった。リカルドの分身が行き来をはじめると、快感は何倍にも膨れ上がって押し寄せてきた。
──もっと……。
リカルドの動きにあわせて、ルチアの腰が揺れていた。自分のなかから出て行こうとする彼を追いかけ、我知らず引き留めようとする。
「そんなに締めつけるな」
ルチアはリカルドの言葉に耳まで赤くなった。
「でも、俺を欲しがってくれるお前を見るのは嬉しい。昂奮する」
彼の息も苦しげに乱れている。
「ルチア、俺のものだ」
リカルドはルチアを強く抱きしめ、大きく引いた分身を次にはグンと強く押し込んだ。
「ああっ」
突きぬける快感に、ルチアは彼の背中に指を立てていた。息がいっそう切なく乱れた。時折、しゃくりあげるような声が混じる。
「もっとだ、ルチア」
穿たれる分身に、ルチアは身体ごと揺さぶられる。
「もっと……」
ルチアの口からも、彼を求める言葉が素直に溢れた。
「もっとして……」
背を撓らせると、ルチアの髪がシーツに金色の花のように広がった。
「もっと奥までほしいの」
──あなたをもっと感じたい。
深いところまで彼に埋められる感覚は、今までにない大きな悦びをルチアのなかに目覚めさせた。ひと際、激しい動作で突かれたとたん、蕩ける快感がふわりとルチアを包んだ。抗うことのできない感覚の波が、ルチアを頂へと連れ去りに来る。
「ルチア……」 -
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