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あらすじ
かわいくて、食べてしまいたい
クールな教授が愛に目覚めたようです!?働きながら大学院に通い始めた景子は、友人の結婚式でイケメン教授の嘉納と偶然出くわし、互いに「結婚にメリットを感じない」と意気投合。気づけば彼とワンナイトしてしまう。忘れようとするも、嘉納にとって人生初の“気になる人間”になったようで熱烈に口説かれる。戸惑いつつ惹かれていく景子だけど、ある日彼が大学理事長の血縁だと知り──!?
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キャラクター紹介
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出水景子(いずみ けいこ)
正義感が強く、仕事一筋だったため恋愛初心者。大学院への社会人入学を果たす。 -

嘉納絢也(かのう じゅんや)
社会経済学の教授。恋愛に興味がなく、女性からの好意はうまくかわす鉄壁モテ男。
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試し読み
「一緒にいたいです」
ああ、吹っ切れたのだろう。
彼女の瞳は、平生の強さを取り戻していた。
「ありがとう」
涙が出そうだ。
「見て、情けないけど……僕の手が震えている」
絢也は手をかざした。
震える手に、景子がはにかむ。
「奇遇ですね。私もです」
景子が手を重ねてきた。確かにお互いの手が震えている。
「抱き締めてもいい?」
「はい、どうぞ」
重ねられた手を引き寄せて、景子を抱き締める。
腕の中に飛び込んでくる彼女は、強い力で抱き締めたら折れてしまいそうな体をしている。
抱き締めるだけで、胸が苦しい。
愛しているということを、伝えきることができない。
景子がおずおずと腕を回してくれる。
「絢也さん」
噛みしめるように名前を呼び、彼女が胸にすり、と頬をすり寄せた。
我慢をしなくてはいけないという理性なんて、一瞬で弾け飛びそうになる。
「かわいい……本当に、あなたは」
「そんなこというのは、絢也さんくらいですけど」
「それでいいよ。あなたが僕以外に、かわいがられるところなんて、見たくもない」
「そんな風に思うんですね」
「自分でも新鮮だよ、そして、その感情が嫌じゃないんだ」
抱き締めながら、髪を手ぐしで梳く。さらさらと流れる、指触りのいい黒髪に、そっと口づける。
「一緒にいよう。不安なことがあったら言ってほしい、ふたりで解決していこう」
「……ふふ」
景子は肩を揺らして笑いはじめた。
「何? 何か変だったかな」
「いえ……ふふふふ、ただ、講義のときみたいだなって。指導のときもすごく向き合ってくれるから」
「ちゃんと公私混同はしてこなかったつもりだけど……大丈夫だった?」
「多分、問題ないと思います。あの後も、構内ではそんなそぶりはなかったし」
景子の言葉尻が小さく、弱くなっていく。
もしかして。
ふっと胸にいたずらな予感が湧き上がる。絢也は、そっと手を回し、景子の顎に指をかけた。
少し身構える気配がしたものの、抵抗はなかった。
なので、そのまま、上を向かせる。
景子は真っ赤になっていた。
「……寂しかった? いつもと変わらないことが」
「どうなんでしょう。よく分からなくて。でも、安心したのも嘘じゃないんです。いつもどおりにしてくれてほっとしている自分と、どうしていいか戸惑ってる自分とがいて」
「そうだったんだね」
「思えば、そのときには気持ちは決まっていたんですよね。じゃなかったら、自分で水に流そうと言っておいて、筋がおかしい」
「恋愛に筋なんてないんじゃないかな」
自分がそんなことを言うなんて、信じられない。
なのに、体感している。
恋の前に、理屈はいくらも力を持たない。景子が水に流そうと言ったのは、お互いのためだった。
それが分からないはずもない。
絢也だって、人生でやり遂げたいことはまだまだある。
「キスしてもいい?」
ストレートに言うと、景子が一気に顔を赤くした。目をまん丸に見開いた顔は、まるで猫のように愛らしい。
何事か言おうとパクパク口を動かしたものの、返事の代わりに目を閉じた。
長いまつげが、頬に影を落とす。
絢也は目を開けたまま、景子に口づけた。
彼女の唇は柔らかいが、緊張からか冷え切っていた。唇を食むと、伏せられたまつげが震えた。
角度を変えて、舌を差し込む。
かわいい。食べてしまいたい。
腹の底からそんな感情がせり上がってくる。
絢也の舌に応じるように、景子の舌がそろそろと差し出される。口の中で、舌同士を絡める。甘く感じることが不思議だった。
ぎこちない景子の舌をなぞり、そして、上顎も舐める。
「んん……ぅ」
上顎のでこぼこを舐め上げると、景子は吐息を漏らした。
薄い浴衣の生地越しに、彼女の体の柔らかさを感じる。
「んー、ん」
声が苦しそうだ。唇を離したときには、苺のように真っ赤になっていた。
「はぁ……っ、息が……っ、できません……」
「鼻で呼吸できそう?」
「分かりません。その、想像ができないです」
「そう、かわいいね」
返事を待たずに、キスをする。ちゅと音を立てて、重ねるだけのものだ。
何度かついばんでいると、景子がしがみつく力が強くなり、身をよじらせている気配を感じる。
奪いたい。
すべてを自分のものにしたい。彼女のすべてを貪りたい。
「ふ……ぁ……」
キスの合間に熱い息が漏れる。
どんどん力が抜けてくる景子の体を抱き締めて、支える。
その途端、景子は目を開けた。何度も何度も瞬きをして、目を泳がせた。
気づいたのだ。これだけ密着してしまえば、いやでも分かるだろう。絢也が欲情をしていることを。
景子だってもう感じはじめている。それは、もう分かりきったことだ。
「怖い?」
キスを止めて尋ねる。
「少し……」
景子は笑みを浮かべた。
「でも、嬉しいです」「ああっ、……っ、あ……ぁ……」
景子は布団の上で、手で口を塞ぎながら震えている。
この部屋に来たときには、しっかりと着付けられていた浴衣はすっかりはだけている。
「かわいい……」
「ひ、ん……ぅ」
彼女の張りのある乳房を咥え、柔らかい感触を楽しむ。口の中で乳嘴が尖っていくのがたまらず、歯で軽く噛む。
「きゃぅ」
びくん、と細い体が跳ねる。
何度か噛み、吸い、舐める。それを繰り返せば、景子はすすり泣くような声をあげはじめた。
「……ひ、ぁ……ふ、ふん……ぁ……あ、ぅ……」
様子を窺いながら、絢也は手を伸ばした。
景子は足をしっかりと閉じて、すりつけていた。内ももをそっと撫で上げると、「ひぃ、ぁ……」と甘い声をあげて逃げようとする。
「恥ずかしくないよ」
下手に話すと、怖がらせてしまうかもしれない。体を起こして、できうる限り優しく笑って見せた。
景子の目は潤んでいる。
「いや?」
「……いやじゃ……ないです……」
「よかった」
絢也は、景子の足を開かせた。
「見ないで」
そう言いたくもなるだろう。
景子のそこはショーツ越しに分かるほど濡れていた。布は張り付き、彼女の淫らな場所の形に浮かび上がっている。
優しくしないと。
泣くほど攻めたい。
怖がらせたくない。
誰のものか分からせたい。
ショーツを少しずらして、濡れた花びらに口づけた。溢れた蜜をかき混ぜて、蜜口に舌で押し返す。両手で秘裂を広げると、その中心を強く吸い上げた。
「ぁぁぁああああっ」
景子が高い声をあげる。
溢れ出る蜜を味わい、もっともっとと舌を伸ばす。
柔らかなそこは、絢也の舌を受け入れてくれる。
「ひ……ぁ、ん……ぁ……ぁ……」
ここに、入りたい。
前はこの中には入れなかった。準備が足りなかった。彼女の中に入って、この乱暴なまでの欲情を見せつけたい。
舌だけではなく、人差し指も差し込んだ。
しっかりと潤ったそこは、指くらいならば問題なく忍び込めた。
指で隘路を広げ、舌で花びらを濡らす愛蜜を丹念に舐めとる。
たまらない。
「ぁ、……あぁ……う、ぅ……ひぁ……も、も……む、無理ぃ」
真っ赤に充血した花芽にキスをする。
ちゅう、と音が立った瞬間、景子の体は硬直した。
「~~~~ぅっっ!」
腰を軽くそらして震える、彼女の美しさといったら。
絶頂をかけのぼった体が、くたりと弛緩する。布団の上に投げ出されて、胸を上下させて浅く息を繰り返す。
「大丈夫?」
尋ねると、彼女はとろんとした目で周囲を見渡した。
「絢也さんは……?」
「え?」
「私ばっかり……この間も」
「はは」
乾いた声が出た。
優しくありたい。傷つけたくない。
景子は自分は大きいと信じているが、絢也からすれば華奢だ。
「実は、今日はコンドームを持ってきてるんだ」
景子は瞬きをする。
「軽蔑する?」
「しませんよ、よかった。私はそこまで気が回らなかったので」
死んでしまいそうだ。
どうしてこんなに愛おしいのか。
避妊具を荷物から取り出し、布団に戻る。景子は目を伏せて、静かに待っていた。
絢也は服を脱いだ。これ以上、硬くなりようがないというくらいの欲情は、だらだらと先走りを溢れさせている。
コンドームをつける手が、震える。
こんなに緊張したことはあったか。
自分を抑えるために、何度か深い呼吸をして、景子のそこに被膜に覆われた怒張を押し当てる。
ちゅう、と彼女の蜜口が招き入れるように音を立てた。
「入れるよ」
「……はい。きて」
しっかり慣らしたといっても、隘路は狭かった。景子は顔を歪ませて、唇を噛んだ。
ゆっくりと挿入していくが、みちみちと音がするようだった。
狭い。
絢也は景子の髪を撫でた。
「痛いね、ごめん」
「痛いです、けど……」
景子の大きな目から、ぽろりと涙が零れた。
彼女はほっと息を吐きながら、ふたりの繋がったそこに視線を向けた。
「それよりも、すごく嬉しいです」
抱いているのは自分なのに、彼女にすっぽりと包み込まれているようだ。 -
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