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あらすじ
強情なところも可愛い
不遇な令嬢を待ち受けるのは契約じゃなくて“溺愛”結婚!?ピアニストになる夢を諦めた栞里は、叔母に命じられた見合いの席に着く。そこに現れたのは、栞里の演奏を幼い頃から見守ってくれた、御曹司の暁彦だった! 「可愛い、気持ちいいんだね」この結婚は搾取されてきた栞里を救うための契約上のもの。なのに、惹かれ合う気持ちは止められず、夫になった暁彦に優しく触れられ、快楽を覚えさせられて…!?
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キャラクター紹介
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井沢栞里(いざわ しおり)
22歳。才能に恵まれピアニストを目指していたが、後見人の叔母夫妻に財産を使い込まれ夢を断念。 -
櫻庭暁彦(さくらば あきひこ)
30歳。総合商社の跡取り。かつてチェリストを目指していた。栞里の幼なじみで夢を応援してきた。
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試し読み
「あっ……んんっ、あ、あきひこさ……っ」
今、栞里は新しいベッドに仰向けにされ、大きく足を開かされていた。スカートはすっかりめくれ上がり、ショーツが丸見えだ。
あまりの恥ずかしさに手を伸ばしてスカートを直そうとするが、それよりも早く、
「だめ」
と低く甘く、暁彦が命じた。
「今日は、あなたに分からせるんだから。どれだけ魅力的で素敵か……あなたが俺を惹きつけてやまないか」
暁彦の息を内ももに感じて。それだけで体が震えた。
体が震えるだけならまだいい、栞里のお腹の底まできゅんとしびれてしまう。蜜洞の奥が緩やかに潤っていく。
内ももに軽く歯を立てられた。
「ひゃ……っ」
「ここにも、たくさん痕を残すね」
「そ、そんなっ」
言葉は続けることができなかった。
暁彦は内ももを甘噛みし、吸い上げる。その度に栞里の体は跳ね、宥めるようにもう片方の足を撫でられるがその刺激にも足は震えた。
たくさん痕を残すと言ったとおり、暁彦は栞里の足の付け根に向かって徐々に近づいていく。より、強く吸い上げられ、栞里は口を押さえた。
それでも、零れそうになる声を聞かれることが恥ずかしくて、なんとか押し殺す。
「ここなら、あなたにも見えない。俺しか見えない」
そう言いながら、愛おしそうに太ももを撫でる。
「あなたにしか、見せません……」
弱々しい声になったが、栞里は暁彦に言い返した。もともと、ほかの誰かに見せるつもりなんてないのだ。
「そうだね」
吐息が微かに、布越しの秘裂にかかる。もう何も言われなくても自分で分かっている。
内ももに何度も歯を立てられている間に、蜜はしとどに溢れ、ショーツを濡らしていることを。
「腰を上げて?」
「でも……」
「脱がせられない。このまま、穿いていたい?」
あくまでも優しく暁彦が尋ねる。
栞里はおとなしく、暁彦に従って腰を上げた。するりとショーツが脱がされて、秘部が露わになる。
足を閉じたくても間に暁彦がいるので、閉じることができない。
こんな明るい時間にすべてを見られていると思うと、耐えられない恥ずかしさと同時に、お腹の底を奇妙な熱にくすぶられる。
「この間よりも、気持ちよくしてあげる」
暁彦はそう言うと、栞里の足の間におもむろに顔を埋めた。
止める暇はなかった。栞里が手を伸ばすより早く、暁彦が秘裂を舐めたのだ。
頭の中で悲鳴じみた声があがる。
「き、汚いです……!」
「汚くなんてないよ」
「で、でも、お風呂にまだ今日は入ってなくて……、ひゃあっ、ん、ふぅ……んんっ」
栞里の悲鳴は、最後、嬌声に変わってしまった。
この間の指で愛されたときとはまた違う、ぬめったそれが与える感覚は強烈だった。彼の舌は丹念に、栞里の秘裂のひだのひとつひとつを舐める。
すでにぬかるみはじめていた栞里の入り口はひくひく動き、蜜を漏らしていく。暁彦の舌がそれを舐めとり、混ぜるように舌で秘裂を前後させた。
「あぁ……ん……ふ……ぅ」
くちゅ、ぴちゃ、そんな濡れた音が体の下の方から響く。温かな舌が栞里のそこの形を鮮明にさせるように丹念に辿る。
大きく足を開いて、普段は隠されている場所を暁彦に見せている。恥ずかしさと同時に、強い快感が栞里の体を支配していく。
頭の中は徐々にかすみがかり、体の強ばりが抜けていく。
「ぁ……ん、あき、ひこさ……ぁ」
やっぱり与えてもらってばかりだ。こんなに心地のいい思いを自分だけがしていていいのだろうか。
栞里はシーツを掴んで、腰を浮かして逃げようとした。
「逃げないで」
ほとんど口を秘部につけたまま、暁彦が囁いた。
声は振動だ。暁彦の声さえ、濡れそぼったそこは感じてしまう。
彼は栞里の腰を抱えるように両腕を回し、押さえつけた。
そして、硬く尖らせた舌で花芽を弾かれた。
「ああっ」
悲鳴に近い声があがった。
この間とは、違う。
花芽を舌で舐められるとびくんびくんと腰が跳ねてしまう。充血してぷっくりと立ち上がったそこを、暁彦は軽く突いているだけだ。
けれど、その度に「ひ」とか「あぁ」とか甘ったるい声を漏らして身じろぎしてしまう。
目を開けていられなかった。ぎゅうと閉じて、襲い来る快楽に抵抗する。
怖い。この間は、暁彦の腕の中にずっと閉じ込められていて、彼に包まれていた。
でも、今は違う。
「こ、これ、いやです……暁彦さんっ」
「気持ちよくない?」
栞里はぶんぶんと首を横に振ると、勇気を出して目を開けて、彼を見下ろした。
自分の開いた足が真っ先に見えた。そして、太ももにいくつか散らされたキスマークや、腰を押さえる彼の大きな手が。
最後に、こちらを真っ直ぐと見上げる暁彦と目が合った。
彼は心配そうに眉を寄せていた。
「いえ……その……暁彦さんが遠くて……この間はすぐそばにいてくれたので」
暁彦は目を見開いて、そのまま栞里の太ももにこてんと頭を付けると、そのまま、くっ、くっ、と喉の奥で笑う。
「なんて可愛らしいことを言うんだ」
「だ、だって……怖くて当然じゃないですか……気持ちよすぎて訳が分からないんです……怖い……」
自分の体のコントロールが利かないという感覚は、栞里にとっては恐怖でしかない。
心地よいということで間違いないのだが、今まで指先まで感覚を研ぎ澄まして生きてきたのだ。
「もっと気持ちよくなれるよ」
暁彦は微笑みながら、栞里の太ももにちゅっと唇を落とし、また強く吸い上げた。
「あぁ……っ」
膣口がひくつくのが自分で分かる。
お互い服を脱ぐ暇もなく、こんな風に昼間からベッドで求め合うなんて。
この間まで、恋愛とは無縁な人生を送っていたのに。
「もう少しだけ、我慢して」
まるで諭すようにゆっくりと言い、彼は再び栞里の花芽にキスをした。
そして、体を起こす。
彼のスラックスは、勃ち上がった彼自身の形で大きく変わっていた。
この間も見たはずだが、記憶よりも随分大きく感じた。
(……こんなに、大きいの……?)
暁彦が離れて、栞里は足をぺたりと閉じてじりじりとベッドの上を後じさった。
彼はシャツを脱ぎ捨てて上半身裸になると、ベルトのバックルを外している。
しっかりと鍛えられた筋肉は、とても美しかった。バランスのいい体つきをしている。
この人に愛されて、本当に幸せだ。
私を救ってくれた人がこの人でよかった。
手早くコンドームをサイドボードから取り出して、つけている暁彦が栞里の視線に気がついた。くっと右の口端を上げて、肩をすくめる。
「そんなにまじまじ見られると恥ずかしいな」
「……さっきまでは暁彦さんが見てたんですよ」
「ふ、そうだね。これでお互い様、かな?」
彼はそう言うと、栞里をベッドに押し倒した。
右足を抱え上げられて、秘裂に暁彦の薄膜越しの性器がこすりつけられた。
熱くて、硬い。
「痛かったら、爪を立てて」
「立てる爪はありません」
目を細めて、暁彦が笑う。
栞里の指の爪はすっかり短い。これからは伸ばすことはないだろう。鍵盤を叩くために最適な長さ、快適な指先。
これは、暁彦が与えてくれたものの象徴だ。
彼の劣情が一気に挿入された。
「んんっ……ぁぁぁあああっん」
驚くほど、大きな声が出た。圧倒的な質量と衝撃に反射的に声が零れた。
ぐちゅん、と大きな水音がして飲み込まれていき最奥にぶつかれば、視界にはチカチカと星が舞う。
「あ……う……」
「痛い? 大丈夫?」
「す、少しだけ」
うまく息ができない。震える手を暁彦に伸ばして、その背中にしがみついた。
暁彦は栞里の髪に何度もキスをして、髪を梳いてくれる。
心は『怖い』と飲み込まれることに怯えているのに、体はそうではない。彼に一度だけ与えられた信じられないほどの快楽を待ち望んで、貪欲に拓かれていく。
隘路をいっぱいに埋め尽くす暁彦の劣情を、ぎゅうぎゅうと締め付けてしまう。
「きれいだ……」
「そんなこと……ないです」
「いや、とてもきれいだよ。本当に」
暁彦の親指が栞里の頬を撫でた。いつの間にか滲んでいた涙を指で拭ってくれたのだ。
「大好きです。暁彦さん」
「俺も大好きだよ、栞里」
暁彦がぐいっと腰を引く。
引き抜かれる快感に、きゅん、と膣がしびれた。しとどに溢れる蜜が暁彦と栞里の間で淫猥な音を立てる。
抜ける限界まで腰を引かれて、ぐぅっとえぐるように差し込まれる。
「ぁ……ん、あ……っ、あっ、やぁ……」
「はは……っ、可愛いな」
何度、その抽出を繰り返しただろうか。
暁彦が刻む一定のリズムに、栞里の細い腰は跳ね、どんどん息が上がっていく。
全身を暁彦に委ねて、彼の望むままになる。
揺さぶられながら、胎内で育ちゆく暁彦を感じる。
どんどん硬く大きくなる彼自身が、このうえなく愛おしい。
栞里を抱いて喜んでくれているのだ。
「あぁ……あ、きひこ、さ……ああ……っ、んんっ」
「栞里」
低く名前を呼ばれるだけでも、心臓が破れそうだ。
暁彦にしがみつく力が強まり、全身が力んでいく。
「も、だめ……っ、イ、イっちゃ」
「うん。イって……?」
そう言うと、暁彦はより一層奥に熱を叩き込んできた。
「~~~~んん……っ」
最奥がぎゅん、と彼を受け止める。
世界が静止する。
音も、色も、全部消えてしまった世界の中で、栞里は絶頂に駆け上る。
絶頂を味わい尽くした栞里の体が、ようやくくったりと脱力しはじめたとき、暁彦の雄槍はまだ硬いまま、中にいることに気がついた。
「……あ」
栞里は思わず、小さく漏らした。
「もっと気持ちよくするって言ったこと、覚えている?」
暁彦のその問いに、栞里が頷くよりも体は正直に歓喜に震えた。よほどの締め付けだったのか、暁彦の表情が歪む。
「……ごめんなさい」
「謝ることじゃない。嬉しいよ、栞里、悦んでくれて」
彼はまた、栞里の髪にキスをする。
それがなんだかじれったくて、栞里は首を伸ばした。暁彦を見上げて、「あの」と絞り出す。
「口に、してください……その……キスを」
暁彦は、一度黙ってから、「また……あなたは」と漏らせば、栞里の要望に応えてくれた。 -
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