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あらすじ
荒々しく淫らな愛撫に身も心も蕩かされて…
父王の命で野蛮で短気な隣国の王太子、“狼王子”ことラウルの元へ嫁ぐことになった王女アリシア。噂と違う彼の優しさに惹かれていくが、アリシアが抱える秘密が原因で、二人の気持ちはすれ違ってしまう。「隠すな。感じている顔を見せてもらおうか」。冷たい言葉とは裏腹に、熱く激しく彼に貫かれながら、心が通わない交わりに哀しみを募らせるが……!?
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試し読み
「……んっ、んぁ……っ!」
今度は先ほどとは違い、触れるだけの口づけではなかった。
ラウルの舌が、アリシアの唇の輪郭をなぞるように舐めとる。
びっくりして思わず背中をのけぞらせたアリシアだが、ラウルは後頭部に回した手で頭をおさえ、離さない。
「逃げるな。夫婦になる儀式をするのだろう?」
ラウルがかすれた声で囁き、唇を近づける。
触れては離れ、角度を変えてはまた触れ……と、啄むような口づけを幾度かかわすうちに、アリシアの体から余分な力が抜けていく。
舌で唇をつつかれ、無意識に口を開くと、すかさずラウルの熱い舌が差し入れられた。
口内を嬲られ、アリシアは体の奥に灯火がついたように熱くほてるのを感じた。
「……んっ――ふぅん……」
鼻から抜けるような甘い声がこぼれる。
絡まる舌に翻弄され、促されるままにアリシアも舌を動かして応じた。
立っていられなくなり、アリシアは咄嗟にラウルの首に腕をまわして自身を支える。
ラウルは一瞬驚いた目でアリシアを見たが、すぐにもう一度触れるだけのキスを落とす。
「んっ――」
口づけというのは、ただ唇と唇が触れるだけだと思っていた。
こんなに深く、激しく、熱いものだったなんて――。
(これが、夫婦になる儀式なのね……)
アリシアはうっとりと目を閉じた。
「もっと続けても良いのか」
かすれた声で尋ねられ、アリシアは即座にうなずいた。
「これ以上進むと、もうやめてやれないが、本当にいいんだな?」
アリシアは、もう一度頷いた。
ラウルの瞳が揺れ、熱情を帯びる。
「これが、王女の務めですから」
「――そうか」
突然、ラウルの声の温度が一度下がった。
「さすが誇りと矜持の国の王女様、見上げた覚悟だな」
凍り付くような声でラウルがつぶやき、一歩、アリシアに近づいた。
不穏な気を感じて、アリシアはじりじりと後ろに下がる。
「夜中に逃げ出すほど嫌いな男が相手だろうとも、王女の務めのためなら我慢もできるというのか」
「な、なにを……」
なにを言われているのか、意味が分からない。
「それとも、身体を差し出してまで妃の座が欲しいのか」
「えっ……」
どういうことなのか理解できず困惑していると、
「そんなもの、いくらでもくれてやる」
ラウルの冷たい眼差しに、ぞわりと身体じゅうが震える。
また一歩、アリシアは後ずさりした。
するとちょうど膝裏に寝台の淵があたり、
「あっ……」
アリシアはそのまま寝台に倒れこんだ。
「ずいぶん積極的だな。それも王女様教育に組み込まれていたのか」
ラウルはアリシアの華奢な肩を押して寝台に組み敷くと、そのまま覆いかぶさるように口づけた。
「っ……」
二度目の口づけは、初回より熱くて性急で、アリシアの口内を蹂躙する。
「……ぁ……んっ――」
身体じゅうをゾクゾクとした快感がかけめぐる。
唇をふさがれたまま、ラウルの手がアリシアの夜着のリボンをほどいた。
「んっ、んん!?」
驚いて体を起こそうとすると、するりと夜着が肩からはずされ、アリシアのやわらかい乳房がふるんとまろびでる。
乳房の形をたしかめるかのように側面をなでると、手のひらで掬い上げられ、揉みしだかれる。
「ん……っ!?」
なにが起きているのかわからず、アリシアが目を見開くと、
「これが王女の務めなのだろう? ――おまえが嫌がるうちには触れずにいてやるつもりだったが――そういうことなら、遠慮なくいただこう」
と、ラウルは淡々とした口調で言い放ち、乳房の先端を口にくわえた。
あっという間に固くなった先端を甘噛みされると、
「――ふぅ、んんんぁんっ!」
口づけとはまた全然違う種類の快感が足元から駆け上がり、恥ずかしい声をあげてしまう。
「感じているのか」
感じるというのがどういうことなのか分からないが、この痺れるような気だるい快感が、きっとそうなのだろう。
「もうこんなに固くなっている」
ラウルは胸の頂きを人差し指と中指で挟むと、きゅっとつねるように扱いた。
「んんぁ……んっ」
同時に、もう片方の乳房も先端をくわえられ、円を描くように乳輪を舐められ、音を立てながら吸いあげられる。
固くなった先端を舌先で転がされると、じわじわと甘い痺れが内側からかけめぐり、
「んんんぁ……」
アリシアは、はしたない声があがるのを止められなかった。
耐えられない羞恥に、アリシアは両手で顔を隠そうとするが、
「隠すな。感じている顔を見せてもらおうか」
と、ラウルはアリシアの両手をひとまとめにつかむと、シーツの上で縫い合わせるように押さえつけた。
そして、まだ体にまとわりついていた夜着を完全に脱がせると、続いて肌着も剥ぎにかかる。
「やっ……!」
恥ずかしくて顔をのけぞらせると、あらわになった首筋にラウルの唇が押し当てられる。
そのまま唇は首筋を這い、耳朶を甘噛みする。
「んんっ……」
ぴちゃぴちゃと淫らな水音をたてて耳朶を弄ばれながら、ラウルの手がアリシアの太腿をなぞりあげた。
「んぁっ……!」
くすぐったさとはまた違う、ぞくぞくとする感覚に、アリシアは目を見開く。
触れるか触れないかのやさしい指使いで太腿を往復していたラウルの指先は、じょじょに上にのぼり、足の付け根に達すると、探るようにあたりをさまよう。
「んっ……!」
自分でも触れたことのない場所を弄られ、アリシアはびくっと体を震わせた。
ラウルの武骨な指先が、繊細な動きで足の付け根の割れ目をなぞる。
「そこ、やっ……!」
儀式の間は決して夫に逆らってはいけませんよ、とマルグリッドから教わったことも忘れ、アリシアはいやいやと首を振った。
だがラウルはアリシアの抗議を聞き入れることはなく、
「やめ……んんっ――!」
唇でふさいで、抗議の声をのみこんだ。
「ふぅ……んんっ――」
舌先で歯列をなぞり、舌を絡めて唾液を吸い上げながら、内腿をなぞっていた指先は割れ目を執拗にたどる。
やがて蜜口を探りあてると、武骨な指が中に差し入れられた。
「やっ、そこは――ふぅんんんっ……!」 -
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