Vanilla文庫 ドルチェな快感♥とろける乙女ノベル

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書籍詳細

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コワモテ公爵の不器用すぎる蜜月生活~ひそやかで淫靡な溺愛~

著者:吉田 行
イラスト:えまる・ じょん

ISBN:978-4-596-41533-2
ページ:322
発売日:2021年1月16日
定価:本体660円+税

あらすじ

アマンダは婚約者である公爵家当主のヴィンセントが真面目すぎて、甘い言葉すらかけてくれないことが不安だった。結婚してからもヴィンセントは人前で手も握ってくれない。でも気遣うような優しい愛撫で蕩かされ、強い熱に貫かれれば喜びが体中を駆け巡り、彼に愛されていることが実感できるように。そんな時、アマンダは何者かに誘惑され――!?

キャラクター紹介

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アマンダ・コーンウェル
男爵家令嬢。子供っぽい体つきだからヴィンセントが愛してくれないと思い込む。

 

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ヴィンセント・ダッシュウッド
代々財務大臣を務める公爵家当主。自分の思いを素直に表現することができない。

試し読み

 料理自慢の使用人が作ったミートパイは生地が羽のように薄く、フォークで簡単に切れる。中の挽肉も美味しい。
「アーサーハウスのコックは素晴らしいわね。いつか挨拶させてちょうだい」
 ジェントルの屋敷とは違い、貴族の屋敷であるアーサーハウスでは主人に直接会える使用人は限られている。直接世話をするメイドや侍従とは別に、料理人や洗濯人は屋敷の地下にいて主人とはほとんど会えない。アマンダはまだ料理室の人間にあったことがなかった。
「まだ使用人全員と会ってないでしょう。安息日に挨拶できるかしら」
 アマンダが話しかけてもヴィンセントは上の空だった。
「ああ、そのうちに」
「今日は図書室で算数のお勉強をしたのよ。数式なんて久しぶりで楽しかったわ」
「そうか、良かったな」
(話を聞いているのかしら)
 ヴィンセントはせっかくの焼きたてパイをあっという間に平らげてしまう。そしてすぐに立ち上がった。
「私は先に寝室へ戻っている。あなたも食事を終えたらすぐに来るように」
「まあ、まだお風呂も入ってないんですよ」
「そのままでいい、風呂は後で入りなさい」
(あなたの考えていることなんか、分かるんだから)
「あなたこそ湯あみをなさってください。遠くまでいってらしたのだから、全身に埃を纏っているわ」
 そういうとヴィンセントはしぶしぶ出ていった。
 つい意地悪な気持ちになってしまう。ゆっくり食事をして、風呂も入ってからにしようか。
(でも、可哀そうかしら)
 彼の重荷を聞いたばかりだった。難しい仕事を終えて帰った彼を思いやらなければ。
(焦っては駄目ね)
 アマンダはパイを食べ終え、寝室に向かった。ノックをしたのはサリーだが中には自分一人で入る。
「しばらく二人だけにしてちょうだい」
 そう言い残して寝室に入る。ヴィンセントは窓際で外を見ていた。アマンダに言われた通り湯あみを済ませたのか、もう寝間着に着替えていた。
「なにが見えるんですか? こんなに暗いのに」
 ついからかい口調になってしまう。照れて自分の方を見られないのだろうか。
 だが隣に並ぶと、彼の顔は空を見上げていた。
「見てごらん、大きな月だ」
 アマンダの目は夜空に吸い込まれた。銀色に光る月が浮かんでいる。その光が林の梢を照らしていた。
「綺麗」
 今まで月をこんな風に見上げたことなどなかった。
「私は月が好きだ。夜でもこんなに明るい。兵役で国境まで旅をした時、月が大きければ大きいほど安心できたものだ」
 アマンダはそっと彼の手を握る。
「ごめんなさい」
 小声で謝るとヴィンセントは驚いたようにこちらを向く。
「何故謝る?」
「あなたは大変なお仕事をしているのに、私は自分のことばかりで……髪型のことで不機嫌になったり、困らせてばかりね」
 彼は大きな手でそっと肩を抱いた。
「謝るのは私の方だ。慣れない場所に来てくれたのに一緒にいてやれない。こちらのやり方に合わせなければならない、窮屈な思いをさせているね」
 アマンダは大きな肩に頭を寄せる。
「いいのよ、あなたのためならこのくらい我慢するわ」
 すると彼は自分の方に向き合い、肩を掴んだ。
「いや、それはいけない。私のために我慢などしないでくれ。お前が幸せになることが私の望みなんだから」
 心が熱くなる。そんなことを言われたらなおさら、彼のためになんでもしてあげたくなってしまうのに。
「でも、その髪型も似合っている。あなたはどんな格好でも美しい」
 そして翡翠と真珠の耳飾りに触れた。
「懐かしいよ、これはよく母がつけていたものだ」
「そうなの? 私が選んだのよ」
 沢山の装飾品の中から選びだしたものが母の愛用品だった、そのことが嬉しい。
 ヴィンセントが頭に触れる。まだ髪を洗っていないので油で固めたままだ。
「固いな」
 改めてその感触に驚いたらしい。彼はピンを引き抜き、髪の束をほぐす。
「手が、汚れるわ」
 べったりとついた髪油がヴィンセントの手についてしまう、だが長い指が髪の間に入って頭皮をほぐしてくれると熱い血液が流れだす。
「あなたはやはり、巻き毛の方がいい」
 髪を肩に垂らしながらヴィンセントはアマンダを見つめた。
「エレンには私から後で言っておこう。髪型はあなたの好きにさせるようにと」
「ありがとう、嬉しいわ」
 持ち上げられるように抱きしめられるとキスをされる。欲望を感じる、熱烈な感触。
「ああ……」
 全身がふんわりと熱くなる。彼に触れられるといつもそうだ。
「……お風呂に、入ってくるわ」
 早くベッドに入りたい、その気持ちを上手く伝えられなくてアマンダはそう呟いた。
「待ちきれない」
 だが彼の腕の力は緩まなかった。何度も唇を吸われ、そのままベッドに連れていかれる。
「いけないわ、こんな……」
「私はさっき湯あみをしているから、大丈夫だ」
「だって、私はまだ」
 ヴィンセントは手早くドレスを脱がし、コルセットを外した。耳飾りもそっと取ってベッドサイドに置く。
 体の縛りがなくなると、体を熱情が駆け巡る。本当はすぐ、抱いて欲しいのだ。
「ああ、早く……!」
 ヴィンセントは妻を下着姿にすると、自分の服を手早く脱ぎ始めた。いつもは寝間着姿だったが今は肌をさえぎるものはない。彼の欲望もはっきり見えた。
「あ……」
 それは想像以上に太く、逞しかった。アマンダは思わず目を逸らす。
「怖いか?」
 ヴィンセントは全裸のまま、アマンダの上にかがみこむ。
「恐ろしければ、今夜でなくてもいい。だが、私はあなたももう」
 彼の手が下着の中に入り、膝を持った。
「準備が出来ていると思えるのだ」
 そうだ、自分はもう彼を受け入れられる。確かに怖いが、乗り越えられるような気がするのだ。
「いいわ、来て……」
 アマンダは目を瞑り、体の力を抜いた。自分の足が開かれていく。腿の間に、彼の髪が触れた。
「あ、いや」
 まだ清めていない場所に口づけされる、その羞恥にアマンダは身が縮こまった。
 だがヴィンセントは強い力で体を開いていく。アマンダはもう抵抗できなかった。
「ああ!」
 もう火照っている肉の花弁を直接舐められた。じいんと痺れる感触が走る。
「もう……もう……」
 あっけなく高まっていく快楽にアマンダは身を攀じる。こんなに感じてしまって、恥ずかしい——そんな躊躇いを彼の舌使いが消し去っていく。
「もう、濡れて、柔らかい……いい香りがする」
 一番感じる芽を擽られ、さらにまだ閉じている蕾の中まで舌先が侵入してくる。入り口を拡げるようにねっとりと舐められ、奥へと進む。
「ひああ……」
 びくっと体が震え、蜜が溢れだすのが分かる。じゅるっ、とそれを啜られ、さらにほぐされる。
「あ、あ、やんっ」
 たっぷりアマンダの果肉を愛撫してからようやくヴィンセントは覆いかぶさってきた。両腕で体を支えると胸の筋肉が盛り上がっている。
「入るよ……」
 足をぐっと広げられ、腰を持ち上げられた。今までこんな姿勢を取ったことはない。
(これが、繋がるということ)
 もうアマンダはこれからなにが起こるか分かっていた。自分のどこに彼が入るのか理解している。
「ああ……!」
 だが太いものがめり込んでくると体がきしむ。思わずヴィンセントの肩を掴んだ。
「すまない、少しだけ、我慢してくれ……」
 ヴィンセントはアマンダの細い腰を掴むと、一気に体を進めた。
「ひっ……」
 ずん、と脳天まで突き抜けるような衝撃に思わずアマンダは唇を噛み締めた。ヴィンセントは自分に密着したまま動きを止める。
「入ったよ、痛かったろう、すまなかった——可哀そうに」
 彼はかがみこみ、アマンダの唇に滲んだ血を舐めとった。ようやく目を開くと心配そうな顔がすぐ側にある。
「あなたと、繋がったの?」
 まだ全身が痛みで痺れている。だが、それより彼と密着しているのが嬉しかった。
「私も、脱ぎたい」
 上半身を覆うシュミーズを脱いでアマンダも全裸になった。その上からヴィンセントの体が覆いかぶさってくる。
 肌と肌が触れあっている。二人を隔てるものはなにもない。
「愛しているよ」
 抱きしめられながら囁かれる、その瞬間喜びが体を駆け巡った。
(愛されている)
 大きくない胸も小柄な体も、もう気にならなかった。全身を彼に愛されている、それで充分だった。
「愛しているわ……」
 アマンダも腕で彼の首に手を回す。ずしりとのしかかってくる体重すら愛おしい。
「お前を……壊してしまいそうで、怖い。まだ早かっただろうか」
 彼の声が震えている。泣いているのだろうか。
「大丈夫よ、まだ、痛いけど、だんだん、治まってきた」
 最初の衝撃は徐々に薄れ、圧迫感だけが残っている。ゆっくりと、自分が彼に馴染んでいく。
(これが結婚)
 自分の中に、知らない場所があった。
 それをヴィンセントが開いてくれた。
「あ、あっ」
 ヴィンセントが少し動くと体に痛みが走った。
「すまない、やはり痛いか?」
 アマンダは返事が出来なかった。もし本当のことを言えば彼は止めてしまうだろうか。
「痛いわ、でもこのままがいいの、やめないで——ずっと、こうしていたい」
「私もだ、お前の中が、熱くて、このまま溶けてしまいそう」
 そんな彼の息がだんだん荒くなってきた。
「ああ、もう、駄目だ、少しだけ、動くよ、すまない、我慢してくれ」
 ヴィンセントは体をかがめたまま腰を前後に動かした。鈍い痛みが走る、アマンダは彼の肩に爪を立てて堪えた。
「ああ、いったい、なにを、しているの?」
「あなたの中に、入れるよ、私を……もう少し、だ、あ、ああ……!」
 ヴィンセントの声がかすれた、そして、自分の体内でなにかが蠢く感触がする。
(あ)
 快楽でも苦痛でもない、初めての体験だった。自分の中に自分ではないものがある。
(これは)

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