書籍紹介
御曹司に永久就職!?~相性が良すぎるのも考えものです~
御曹司に永久就職!?~相性が良すぎるのも考えものです~
ISBN:978-4-596-59126-5
ページ:290
発売日:2020年4月3日
定価:本体640円+税
  • あらすじ

    すべてが完璧な元上司は新婚生活もカンペキです♥

    「私のところに永久就職しないか?」元上司で御曹司の直純さんが紹介してくれた転職先は、彼のお嫁さん!? すでに二人のための一軒家も用意されていて、準備万端で蜜月スタート! 相性よすぎで甘々な旦那さまに毎晩わけがわからなくなるくらい気持ちよくされちゃうなんて。だけど、彼がどうして私を選んでくれたのかがわからないままで…?(ヴァニラ文庫ミエル)

  • キャラクター紹介
    • heroine_VBL226

      杉澤真央(すぎさわ まお)
      転職先が見つからず悩んでいたところ、直純に永久就職をもちかけられ結婚することに。

    • hero_VBL226

      加賀直純(かが なおずみ)
      加賀ケミカルの御曹司で真央の元上司。35歳。理知的で冷たい印象だったが……。

       

  • 試し読み

    「身体も、大切だ」
    言うなり部長はにやりと不敵な笑みを浮かべメガネを外すと……私を抱き寄せた。
    「あ……っ!」
    再び唇を塞がれ呼吸を奪われてしまうと、風船が萎むように抵抗や説得する気力が失われていく。二人しか経験がない私でもわかるくらい、部長は巧みだった。
    「んんっ……んふぁっ……!」
    こすれ合う粘膜から、じわりと快感が滲みだす。容赦なく快感を引き出そうとするキスには私の抗う気持ちを瞬く間に追い払ってしまう。
    「ぁ……んん……」
    舌を絡め合い、混じり合った唾液を啜ると、甘い吐息が鼻から抜けていく。
    付き合っている相手以外とした初めてのキスなのに、どうして私は当たり前のように受け入れてしまっているのだろう。
    霞がかかり始めた頭でそんなことを考える。けれど答えなどもちろん浮かんでこない。
    「んんっ!」
    緩慢な動きで私の身体を撫でていた部長の指が、背中のジッパーを引き下ろした。ちりちりちり、と小さな音を立てて肌が晒されていく。
    その仕草がわざと見せつけているようで、私は羞恥に身を捩った。
    「やぁ……」
    肌を滑り落ちそうになるワンピースを押さえながら、貧相な身体を隠すように私は唇を離して俯く。それを拒絶とったのか、部長が問いかけてくる。
    「……嫌か?」
    「わから、ない、です」
    嫌ではない。というか、部長はそもそも好き嫌いで判別するような存在ではなかったから、第一に異性として認識してすらいなかった。
    ただ部長の勢いに流されてここまで来てしまっただけ。
    正直にそう伝えたら、この行為を部長は止めてくれるだろうか。
    「なら、ちゃんと確かめなければいけないな」
    つと指で顎を摑まれ、そっと視線を上げられる。さっきも思ったけれど、いつもは感情をなかなか見せない部長の整った表情が、どこか優しく崩れているように見える。その瞳には強く、だけど真摯な光が宿っていた。
    ……こんな顔、する人だったんだ。
    新たな発見に静かに驚くと共に、ささやかな希望が打ち砕かれる音が聞こえた気がした。
    優しく私を顎を撫でる指から、真っすぐに私をとらえて離さないまなざしから、部長は止める気など毛頭ないと理解してしまったからだ。
    ゆっくりと部長の顔が近づいてきて、ちゅっと音を立てて唇が重なる。
    「キスは、嫌か?」
    私が緩く首を横に振ると、続けて部長はまるで割れ物に触れるみたいに優しくむき出しの私の二の腕を撫でた。
    「こうして触れることは?」
    私はまた、首を振る。ぞわぞわと肌が粟立ったけれど、この感覚は嫌悪からくるものではない。
    「では……唇で、触れることは?」
    「あっ……!」
    部長の唇が、胸元に落とされる。湿った柔らかな感覚に身体がびくっと震えた。
    「き、汚いです」
    「構わない。むしろ、真央を味わわせてくれ」
    「やっ……!」
    融けたクリームの滴をすくうように首筋をしたから上へと舐められる。その艶めいた感触に、ぞわぞわと悪寒に似た感覚が身体中に広がっていく。
    「やぁんっ……だめぇ……」
    咄嗟に出た拒絶の言葉に部長は怯む様子も見せない。……私が本当の意味で拒んでいるとわかっているから。
    「嫌ではないのなら、拒むな」
    嫌ではない。それは、間違いない。だけどわからない。
    どうして、私は部長を受け入れてしまっているのだろう。
    どうして、部長は私を求めているのだろう。
    行動の根拠となる問いを投げることが出来ないまま、答えが与えられぬまま、私は部長の唇に、舌に、優しく触れる指にただ翻弄されるしかない。
    「あぁ……ん」
    部長が私の肌を味わい、感触を楽しむたびに甘い声が漏れた。知らずどくどくと早鐘を打ち始める心臓が騒がしい。
    頭がうまく働かないのは、美味しいからと頂き過ぎたワインのせいか、それとも優しく与えられる快感のせいか。
    現実感のないまま、私の身体は快感に緩んでいく。それを待っていたとばかりに胸を隠すように組んでいた腕が、部長の手によって解かれる。ワンピースが腰まで落ちてしまえば、私の身を覆うのは、下着だけ。
    「これは、嫌か?」
    とうとう部長の指が、私の胸を覆う下着にかかる。質問しているくせに、背中に回った手は答えを待たずに留め金を外してしまった。
    「やぁ……」
    下着という拘束から解き放たれた胸がたわむのを受け止めるように、部長の手が触れてくる。やわやわと揉まれるとまた、甘い声が出た。
    「……ここを、味わっても?」
    問われた瞬間、かっと頰が熱くなる。なぜ、いちいち同意を得ようとするのだろう。
    示された場所はすでに何かを期待し、赤く膨れて震えている。……すでに私の身体も、部長を求めていると伝わっているはずだ。
    「……ぶ、部長の、好きにすれば、いい、です」
    もうキスをして素肌を晒している時点で、この行為に同意したようなもの。
    どこか投げやりな気持ちで全面降伏宣言をした私に、なぜか部長は真剣な眼差しを向けてくる。
    「……直純だ」
    「えっ……?」
    「私の名前は部長ではない。直純だ」
    そうだ。部長の名前は加賀直純。もちろん知ってはいた。けれど一度もその名を口にしたことは無いし、しようとも思わなかった。
    「でも……」
    戸惑う私に部長は視線で強く自分の名を呼ぶように促してくる。
    「な、直純、さ……」
    名を呼んだ途端、私は嵐に巻き込まれてしまった。
    「んんーっ!」
    勢いよくベッドに押し倒されたかと思えば、再び唇が塞がれた。遠慮の欠片もない舌が私の中を縦横無尽に動き回る。
    「はぅっ……んんっ!」
    全てを喰らい尽くそうとするかのような激しい口づけに、私は呼吸すら奪われただ喘ぐしかできない。繫がる唇から伝わる感覚だけに思考が支配され、快感と共に甘い痺れが全身に広がっていく。
    気づいた時には腰に纏わりついていたワンピースと下着は全て取り払われ、私は生まれたままの姿でベッドに横たわっていた。
    「ふぁ……」
    永遠に終わらないように思えた口づけが解けると、反射的に空気を取り込もうと胸が大きく上下した。
    そんな私を見降ろしながら部長は自らの服をむしり取っていく。まるで服に火がついたような勢いで。
    「……っ!」
    スーツの下から現れた部長の身体に、言葉を失う。体格がいいのは知っていたけれど、まさか腹筋が六つに割れているなんて思わないじゃないか!
    「真央」
    また、名を呼ばれた。
    愛しい者へというより、聞き慣れた指示を出すときの声色で。
    「……逃がさない」
    言うなり部長は舌の先で上唇を舐めた。
    ああ、私は食べられるのか。身体を覆う甘やかな痺れとは裏腹にどこか現実味のない頭にそんな益体もない事が浮かぶ。
    冴え冴えとした部長の容貌の中にそぐわないほど爛々と欲望に光る瞳は、肉食獣を思い起こさせたから。
    「ああっ!」
    まるで吸血鬼のように首筋に吸い付かれたかと思ったら、部長の大きな手が乱雑に私の胸をまさぐってくる。すぐに辿り着いた敏感な先端を指の腹で扱かれ、その鋭い快感に身体が大きく跳ねた。
    「これが好きか?」
    「や……きかない、でぇ……」
    確認のための問いかけなど聞きたくなくて、私はイヤイヤと子供のように首を振った。
    「……なら、好きにさせてもらう」
    「ひぁっ……やぁぁっ!」
    ちりっとつねられたような痛みと熱を首筋に感じた。部長が、私に痕を付けたのだ。ひとつだけでなく首筋から胸元にかけて執拗に残されていくそれを、私は感覚で知った。
    男の人から痕を残されるのは、生まれて初めてだった。
    「真央」
    「あぁ……やぁんっ!」
    耳元で名を囁かれると同時に濡れた感触を覚え、ぞくぞくと悪寒に似た刺激が背筋を駆け上がり身体へと散っていく。ただでさえ、部長の声には逆らえないのに、そこに快感を塗されてはもうどうにもならない。
    「んあぁっ!」
    硬く立ち上がった双丘の先端の片方を指で強く押しつぶされ、もう片方を咥えられると、あまりの快感にまた身体が跳ねた。
    「あっ、やああぁっ!」
    じゅうっと音が鳴る程強く吸われながら、舌で頂を突かれると、もう声も揺れる身体も抑えることが出来ない。
    「ひうっ!」
    強すぎる快感の荒波にもがいていると、不意に下生えを撫でられる。そのまま部長の指はその先――奥まった場所へと易々と侵入を果たしてしまった。
    「……っ!」
    部長の指が動くと、ぐちゃりと滑るような音がした。
    ――もう、私の身体は部長を受け入れる準備を始めている。
    それを自覚した途端、己の欲望に凄まじい羞恥心が湧き上がってきた。
    「だめっ!」
    咄嗟に腕を突っ張るようにして部長の胸を押し返そうと試みる。当然ながら部長はびくともしない。
    「何故?」
    「んやああっ!」
    強く先端を摘まれながら理由を問われても、明確な答えなど口に出来るはずもない。
    「私の好きにさせてもらう。……許可はもう得てあるからな」
    「そんなっ……んあぁぁっ!」
    自分の浅慮を悔やんでも、もう遅い。
    大きく足を割り開かれ、部長の指が私の最奥を探り始める。もちろん、胸を弄る指と唇も止めることなく!
    ひとつだけでも十分過ぎるほどの快感なのに、それらが一度に与えられればどうなるか。私は考えるまでもなく身体で知ることになった。
    「ああっ、やああっ、ひぃっ!」
    強すぎる快感が暴力のように容赦なく私に襲いかかってくる。刺激は熱となって身の内に溜まり込み、額から、背中から、胸から、どっと汗が噴きだすのがわかった。
    「だめ、だめぇ……ああっ!」
    まるで私がいやいやと首を振るのを咎めるように頂へ軽く歯が立てられる。すると勝手に手足に力が入り、目の前にちかちかと光が瞬いた。
    「やだっ、これ、いやぁぁっ!」
    これまで標準だと思っていた体験では味わったことのない感覚は私を恐慌状態にさせた。
    快感と共に足元からぞわぞわと得体のしれない感覚が這い上がってくる……!
    「……本当に、嫌か?」
    「だって、だって、こんなの、はじめてぇ……!」
    部長が問うてきたものの、もはや私は息を乱してただ見知らぬ感覚に慄くことしか出来ない。そんな様子をどう受け止めたのか、部長は微かな笑みを浮かべながら、言った。
    「ならもっと気持ちよくならねばな」
    次の瞬間部長は半身を起こすと、私の腰を抱えるように持ち上げた。
    「えっ、ええっ⁉」
    お尻が浮いたその不安定な体勢にたまらずベッドのシーツを縋るように握りしめる。
    ――そして部長は、眼前に晒された私の最奥になんの躊躇もなく顔を埋めた。
    「やっ、ちょっと待ってえぇぇぇぇっ!」
    部屋に制止の悲鳴が響き渡る。
    ただでさえ一日働いた後というだけでも私的にあり得ないのに、身体の中で最も汚れているであろう場所を舐められて平静でいられるはずがない。
    そもそも他人にその場所を舐められたこと自体が、初めての経験だった。男性はこの行為を嫌がるものだとずっと思っていたほどだ。
    「やっ、だめっ、きたなぃぃ!」
    「嫌なら舐めない」
    私の抗議はあえなく却下され、甘い責め苦が始まる。もとより、腰を持ち上げられた姿勢では、拒むことも逃げることも不可能だった。
    「ひぅっ、あっあぁぁっ!」
    ぐじゅぐじゅと熟れた果実が潰れるような音と共に蕩けた部分を啜られて、目の前に再び火花が散った。
    まるで電気ショックを与えられたが如く、びくびくと勝手に身体が暴れてしまう。
    「やぁ……だめえぇぇっ!」
    溢れる快感の証を掬い取るように、部長の熱い舌が私を味わっていく。襞をかき分けるように動く舌が敏感な核を押しつぶすと、激しい快感が大波となって押し寄せ私を溺れさせた。
    こんなのは、知らない!
    「ふぁっ!」
    ぐぷりと泡が弾けるような音と共に、何かが私の中に沈み込んだのが、わかった。快感に揺さぶられ解けたその場所は、なんの抵抗もなく侵入者を迎え入れていく。
    「んあぁぁぁっ!」
    唇や舌とは違う、硬く奥まで届くそれが与える新たな刺激に、私は首をのけ反らせて悲鳴を上げた。
    圧迫感を飲みこむ間を与えることなく、部長の指は私の中を探るように動き始める。
    「ゆび、やっ、やあああっ!」
    ぐちゃぐちゃと粘ついた音を立てて、出し入れが繰り返される。唇と同じように巧みな指先は、すぐさま私の弱点を見つけ出してしまった。
    「ひうぅっ!」
    部長の指先が私の中のある一点に届いた途端、まるで神経に直接触れられたような鮮烈で激しすぎる快感が私の身体を走り抜けた。
    「……ここか」

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