Vanilla文庫 ドルチェな快感♥とろける乙女ノベル

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書籍詳細

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イケメン社長の恋人権限~くじ引きは溺愛のワナ!?~

著者:あかし瑞穂
イラスト:弓槻 みあ

ISBN:978-4-596-58817-3
ページ:322
発売日:2019年9月3日
定価:本体650円+税

あらすじ

夢見るのも、いいかな?って思っただけなのに『社長の司馬雅樹とデートする権利』、当たっちゃいました! 社内イベントでまさかの当たりクジを引いた梢をドレスアップさせ豪華ディナーに誘って、雅樹は甘く誘惑してくる。「梢の身体は柔らかくて敏感だね」とろける快感を味わわされた最高の夜、彼はどんどん私を甘やかし独占欲をちらつかせて!?(ヴァニラ文庫ミエル)

キャラクター紹介

heroine_VBL207御堂 梢(みどう こずえ)
スイーツ好きな広報部のOL。明るく大らかだが鈍感。

hero_VBL207司馬雅樹(しば まさき)
若社長。長身イケメンで会社の王子様。

試し読み

「そんなに喜んでもらえて、嬉しいよ。色々検討した甲斐があった」 (検討?) 雅樹さんをじっと見つめると、彼は爽やかな笑顔を返してきた。 (私てっきり西海さんが選んでくれたのかと思ってた) この人が社長としてどんなに忙しい毎日を送っているのは、取材もしたからよく知っている。だから、秘書の西海さんが店を選んで薦めてくれたのかと。 (ちゃんとしてくれてたんだなあ……) くじ引きで選ばれた期間限定の恋人なのに、真摯に向き合ってくれてる。その事が嬉しくて、胸の奥がぽわんと温かくなった。 「どうした? 俺をじっと見てるけど、何か」  「ななな、何でもないですっ」 まさか、うっとり見惚れてました、だなんて言えない。私はまた、ごくごくとワインを飲んで誤魔化した。雅樹さんの目がすっと細くなる。 「梢、このワインは飲みやすくて美味しいが、度数は高いぞ。あまり無茶飲みは」 「大丈夫ですよぉ、これくらい」 やっぱり高いワインは違う。アルコールの尖った感じはしなくて、まろやかな甘みが心地いい。ついつい飲んでしまう。  ――それに。 (お酒でも飲まなきゃ、雅樹さんの前に座っていられないーっ!)

茶色の髪が照明の光に透けて、金髪のようにも見える。高い鼻筋は真っ直ぐに通っていて、きりっとした唇が何とも男らしい。背も高いし、肩幅も広い。おまけに手が大きいの! あんな手に撫でられたら、気持ちよさそう…… 本当に、ロマンス小説の表紙に描かれてる王子様そのもの。ロビーからここに来るまでも、ずっと女性の視線が付き纏ってた。こんな人が現実に私の目の前にいるっていうのが、信じられないくらい。

ふと窓ガラスの方に視線を移す。ガラスに映っているのは、綺麗なドレスを着て髪もメイクもばっちり仕上げた、一晩だけのシンデレラの姿。カメラを持って取材に走り回っている私は、そこにはいない。 (別人みたいだよね) いつもの私だったら、雅樹さんの隣にいられないかも。雅樹さんはイケメンセレブ社長で、私は平々凡々平社員なんだから。 (でも、今日だけは甘えちゃってもいいのかな) 今は恋人なんだもの。期間限定でも、私が雅樹さんの恋人なんだ。そう思ったら、心がふわふわと飛びそうになった。  「幸せ、だなあ……」 「俺も幸せだよ。梢とこんな風に過ごせて、夢みたいだ」

「……んん?」 ぼんやりと幸せに浸っていた私の耳に、そんなあり得ない台詞が入ってきた、気がした。

「雅樹さん、今何か」 言いましたか――? と言い掛けた言葉が止まる。雅樹さんが右手を伸ばして、テーブルの上に置いていた私の左手を掴んだのだ。

どくん……

心臓が大きくひっくり返った音がする。指先に感じる雅樹さんの体温に、私は呆然と彼の右手を見ていた。 すっと私の手を持ち上げた雅樹さんは、そのまま身を乗り出し――

「――っ!?」

――私の指先にキスをした。

ばっと咄嗟に手を振り払い、まだ熱さが残る指先を右手で握り締める。口を動かしても、あうあうと声にもならない音が出るだけ。多分頬も真っ赤に染まってる!

「梢の指先も甘くて美味しい。他もそうなのかな」 色っぽい流し目を受ける余裕など、私にはなかった。「あああああああ!」と呻き声を上げ、テーブルに突っ伏してしまう。 「お願いですから、止めて下さいーっ! 心臓が止まりそうですっ」 必死な私の想いも、雅樹さんには伝わらなかったみたい。大きな手がぽんぽんと軽く頭を叩いてるんだもの。 「本当に梢は可愛いね。このままここで食べてしまおうか」 「それは困りますっ」 私はがばっと起き上がると、若干じと目で雅樹さんを睨み付けた。雅樹さんの頬骨の辺りがほんのりと赤くなり、ふいと視線を逸らされる。 「ほら、デザートが来るから。機嫌を直して食べよう」 何だか小さい子に言い聞かせる台詞じゃないですか、それ。とは思ったものの、白い花びら型のお皿に載せられた、色とりどりのプチフールを見た私は、あっさりとそちらに気を取られてしまったのだった。

「あああ、本当に美味しかった……」 食後のティーまで美味しいなんて。ふうと溜息をつくと、お勘定をカード(ブラックだった!)で終えたらしい雅樹さんがちらと腕時計を確認した。 「まだ時間はあるな。このレストランの隣にラウンジがあるんだ。行ってみる?」 「うーん……でももう、お腹いっぱいで何も入りそうにないです……」 私がそう唸ると、彼は「一杯だけ頼めばいいから。そこのジャズピアノの演奏を聞かせたくてね」と笑った。 「ジャズピアノ……!」 うわあ、聞きたい。生演奏なんて滅多に聞けないよね。 「分かりました、ちょっとだけなら」 「じゃあ、行こうか」 すっと立ち上がった雅樹さんが私の席の隣に来て、右手を差し出してくれた。ああ、本当に王子様だ。私は彼の手に自分の左手を重ねて立ち上がった。 「あ、れ?」 一瞬くらっとよろめいた気がしたけれど、すぐに雅樹さんが右手を私の肩に回して支えてくれた。 「もたれかかっていいよ、梢。ゆっくり歩くから」 「はい」 左隣の雅樹さんの体温が私に伝わってくる。大きくて温かくて……安心できるなあ。

うっとりしたまま歩いていたら、いつの間にかラウンジへと移動していた。 レストランも豪勢だったけど、ラウンジも高級感あふれる内装だ。ややトーンを落とした照明の中、真ん中に円形のカウンターがあり、その内側でバーテンダーが何名か腕を振るっていた。そのカウンターのすぐ前に大きなグランドピアノが置いてあって、周囲にソファがあちらこちらに並べられている。私達が案内されたのは、二人掛けの俗にいうカップルシート席。左側がちょうど窓際で夜景を見る事ができ、ピアノも右斜め前に見える位置だ。眼下の煌きに思わずほうと溜息が漏れた。 雅樹さんが注文してくれたカクテルは、オレンジジュースがベースになっていて、お酒が苦手な人でも飲めるように工夫されているとか。確かにアルコールはほとんど感じられないし、搾りたてのオレンジの風味が爽やかで、満腹なのにするする喉に入っていく。雅樹さんは琥珀色のブランデーをゆっくりと味わっていた。 「そろそろ演奏が始まるよ」 雅樹さんが耳元で囁いた。ピアノの方を見ると、赤いロングドレスを着た金髪の女性がお辞儀をした後、ピアノの前に座った。やがて、ゆったりとしたテンポのピアノの音が流れてくる。 「うわ……」 ピアノに設置されたマイクから、ハスキーな歌声が広がる。弾き語りなんだ。この曲は、離れている恋人に捧げる愛の歌……

――会いたいのに、今すぐ会えない。でも、ずっとあなたの事を想っている――

切ない恋心が胸の奥にじわりと沁みて来る。 「素敵ですねえ……」 ピアノの音も一層切なく聞こえる。目を瞑って聞き入っていると、何だか雅樹さんの声が遠くなった、気が……

温かくて、気持ちいい……

「……え?」 「……ふ」 瞼が重い。温かい何かにもたれかかってる。身体に力が入らない……

「……飲み過ぎたようだね。眠い?」 「ん……」  こくんと頷くと、身体がふわりと浮いた感覚がした。ゆらゆらと身体が心地よく揺れる。

「じゃあ行こうか、お姫様」

雅樹さんのその言葉を最後に、私の意識はぷっつりと途切れてしまったのだった――

***

「んん……?」 何だか温かくて柔らかいものの中にいる。ゆっくり目を開けると、最初に目に入ってきたのは、私を見下ろしている宝石のように綺麗な瞳だった。ワイシャツのボタンが二つ外れてる。そんな事をぼんやりと思った。 「梢」 掠れた低い声に、身体の奥がざわつく。 「雅樹……さん?」 ぼうっとしたまま彼の名を呼んだ私の唇は、温かくて柔らかいモノで覆われた。 「んっ……」 何だろう、これは。唇が優しく擦られてる。 (わた、し) 雅樹さんと……キス、してる? (……夢、かなあ……) 雅樹さんが私にキスなんてする訳ないよね。だったらこれは……とても幸せな、夢。 「まさ、きさん……」 唇を啄まれる間に、彼の名を呼んだ。手を伸ばして、逞しい首筋に縋り付いた。 「梢?」 (夢だったら……もっと……) 「もっと……して……?」 ひゅっと息を吸う音がした。唇がまた塞がれたけど、今度はさっきよりも深かった。雅樹さんの唇が、私の唇を食べるように動く。強くなった刺激に、ぞくりと背筋が震えた。 強引にこじ開けられた唇から、滑らかな舌が口の中に入って来る。 「ふ、う……んんっ……」 私の舌が雅樹さんの舌に絡め捕られた。粘膜が擦れ合う感覚が、ぴりぴりとした刺激になって身体中に流れていく。ぴちゃぴちゃと混ざり合う唾液の音が、厭らしく響いてる。甘い。甘くて痺れそう。 「んっ、んん、あ……っ」 歯茎も滑らかな舌に舐められた。舌を吸われて舐められて、息が苦しくなる。 「ふ、はあっ、はあ……」 ゆっくりと離れていく薄い唇が見えた。私の唇と彼の唇の間に、銀色の線が繋がっている。 「梢……」 雅樹さんの唇が左耳に落ちた。そこから熱い舌が頬から顎の線を辿っていく。ちゅ、と、ところどころで肌を吸われると、ぴくんと身体が仰け反ってしまう。 「梢の身体は柔らかくて敏感だね。どこもかしこも、甘い……」

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