書籍紹介
溺愛皇帝の花嫁育成計画
溺愛皇帝の花嫁育成計画
ISBN:978-4-596-74511-8
ページ:290
発売日:2016年5月17日
定価:本体590円+税
  • あらすじ

    箍が外れたら止まらない……年の差ラブ!!

    「貪欲な肉体になったな。これも、俺が育てたのか──」皇帝アレクセイにより<最高の花嫁>となるべく教育されたエリザヴェータ。年頃になるとアレクセイから次々と夫候補との見合いをさせられるが、彼を恋い慕うエリザヴェータはすべて破談にしてきた。しかしアレクセイにも縁談が持ち上がり、思い余ったエリザヴェータは夜這いを決行するが……。

  • キャラクター紹介
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      エリザヴェータ

      7歳で両親を失い、アレクセイに引き取られ育てられる。彼を一途に恋い慕うが、その想いはなかなか伝わらない。

    • hero_vbl61

      アレクセイ

      ゲーザ帝国の皇帝。エリザヴェータの幸せを願い、最高の花嫁として嫁がせるため、貴婦人としての教育を施す。

  • 試し読み

    「反応が素直で――たまらないな……」
     頭の中まで熱に犯されてぐらぐらする。酸欠もあったかもしれない。
     アレクセイの眼が怖いくらいに鋭さを増していた。しかも熱っぽい。こういう視線で見つめられるのは初めてだ。
     彼はソファから立ち上がり、彼女の横で片膝を付く。それから、腕を伸ばして彼女を横抱きに持ち上げてしまった。
    「え? お兄さま?」
    「こういうときは《お兄さま》ではなくて、名前で呼んでくれ」
    「アレクセイ様……?」
    「固い。もっと、砕けた感じがいい」
    「アリョーシャ?」
    「それは嫌だな。家族を思い出す」
    「アレィ……?」
     普通に考えれば〈アレクセイ〉なら〈アリョーシャ〉だが、嫌だと言われてしまったから頭の中に浮かんだ呼び名で問うと、アレクセイは笑って頷いた。
     彼にとっての家族は、自分が皇位を継ぐと表明した途端、四方八方から襲い掛かってきた敵集団だという。昔、彼自身から聞いたことがある。血の繋がりは、暗殺者を生む忌むべきものなのだと。いまはもう、誰も残っていない。
    「今だけでいい。そう呼んでくれ」
     《今だけ》の点を追求すべきだったかもしれないが、エリザヴェータは、キスで酔わされたうえに抱いて運ばれている事実に頭がいっぱいだった。
     この場合、子供ではありませんから歩けます――などと言うのは、ものすごく場違いに違いない。おまけに腰に力が入らなくて、まともに歩けない。
     ゆらゆらと運ばれてゆく。
    皇帝陛下の寝室は、当然広く、大きな暖炉もあれば、対面になったソファのセットもある。最高級のチェアにボード、チェストにキャビネット。大きな花瓶に、毎日活けられる花々、壁の名画。どれをとっても最高のものが揃えられている。
     薄暗くても、部屋の中の様子は分かる。寝室の主役はベッドだ。天蓋付きで、ドレープも豊かな垂れ幕と、凝った彫りの入った優美な柱が見事な逸品だ。特注品らしい。
    幼いころはこの部屋で一緒に眠ったこともある。
     ベッドの上に丁寧に寝かせられる。スプリングは硬めだ。
     彼女に見せつけるような動作でアレクセイはガウンを脱いだ。貴族の男性と同じで、ガウンの下は何も身に着けていない。だから裸になってしまう。
    アレクセイは、ガウンを脱いだときに額に掛かった髪を払うために、ふるんと頭を振った。黒髪が左右に流れてひどく艶めかしい。
    そして、睨む視線で上から彼女を見てくる。
    彼の呼吸が早いのはたぶん媚薬を飲んだから。彼女を見下ろす視線が、獲物を前に舌なめずりをする獣のようなのもきっと媚薬のせい。
     アレクセイがエリザヴェータの上に覆いかぶさってくる。怖い。けれど、逃げない。これは、彼女自身が望んだことなのだ。彼はむしろ犠牲者と言ってもいい。
     口づけられる。今度は顎に指を掛けられなくても自然に口が開く。
    アレクセイはくつくつと喉の奥で笑った。
    「平手打ちはしないんだな。こんなものまで持っているくせに、使わないのか?」
     こんなものと言って目の前に翳されたのは、裳裾の隠しポケットに忍ばせている短剣だ。カタリナにさえ見せずに、いつも自分で入れている。
    彼の下へ来るときにも持ってきたのは、何事か起きたら、彼の足枷にならないよう自分の身くらい守りたいと考えてのことだ。
    「分かっているのでしょう? アレィの、意地悪……」
     首筋に吸いついた彼の黒髪を口端で食みながら言う。アレクセイはまた笑った。
     彼は、エリザヴェータのあちらこちらへキスを落としながらドレスを脱がせてゆく。侍女が数人で脱着するドレスを、迷いもせず脱がせられるのは慣れているからだと思う。
     皇帝としてというより、本人の圧倒的な魅力で女性たちは群がってくる。より取り見取りだったのは容易に想像がついた。
    文句を言う権利などないから、そんな考えは振り捨てる。もっとも、チクリチクリと吸い上げられる肌の感触で、意識は次第に薄れていくのみだ。
     ドレスを剥ぎ取られ、コルセットも取られる。思わず両手で胸を隠せば、無防備になった下肢では、穿いていたドロワーズを下ろされた。
    「あ、やっ、そんな……っ」
     熱に浮かされた彼女の抗議など、ただの効果音でしかないだろう。
    へその横の肌を吸い上げられる。引っ張られる表皮に気を取られているうちに、足は大きく広げられた。エリザヴェータの脚の間にアレクセイは自分の身を入れる。
     彼の手が内股を探る。エリザヴェータは顔を真っ赤に染めて目を閉じ、身体の硬直を解こうと必死だ。
     薄絹の上から自分の手で胸を隠していたのに、両手を取られて広げられた。
    彼女の手は、頭の横でリネンに押し付けられる。上からアレクセイが覗き込んだ。視線を感じて目を開けられないでいると、声が聞こえた。
    「目を開けて、俺を見ろ」
     言われればそうする。媚薬をすんなり飲んでくれた彼の望みには、すべて応えたい。
     激しい視線と不敵な微笑。獰猛な貌をしている。今にも食われそうだ。暗いのに、どうしてこれほどはっきり顔が見えるのか。目ではなく感性で捉えているのかもしれない。
     怖くなって、すぐに目を閉じた。
    「……怖いか?」
     嘘は言いたくないから頷こうとしたが、それでは、彼は途中で止めてしまうかもしれないと閃いた。急いで首を横に振る。
    リネンに散っている巻毛が、ふわんふわんと浮き上がる。
    「リーザ……すまないな。止められん」
     アレクセイには、エリザヴェータの考えなどお見通しだった。
    小さなころから、微に入り細に渡って丁寧に育てられている。実際の世話は女官や侍女たちがしていても、指示を出したのはアレクセイだ。
     彼女の両手を押さえつけたまま、薄絹の上から乳房にキスが降る。たくさん降る。
     足の間に入っているアレクセイの肉体が、ずりずりと内股を擦っていた。硬いなにかが彼女の恥骨を押して擦る。硬い、棒のようなもの。
     どちらも裸の下肢だ。ずりずりと擦られ、肉割れが開いてゆく。胸には彼の唇があって両手首は顔の両側でリネンに押さえつけられていた。
    「あん、あ、あ、あぁ……、アレィ……さま、だめ」
    「様はいらない」
     また笑われる。上手くできないのが哀しい。彼のお相手を務めてきた女性たちは、機転の利いた態度や、こういう場での的確な言葉を口にしただろうに。
     薄絹の上から乳首を吸われる。恥骨の辺りがぐっと押されて、下肢の恥ずかしい場所も疼くような感覚が込み上がる。
    「おまえは、いい体をしているな。俺の脚まで濡れてきた」
     何のことか本当に分からなかったが、羞恥で体温まで上がってくる。
    「濡れる……?」
    「奥から出てくる。それが女の躰だ。おまえは感度が好いから、たっぷり零れそうだ……。挿れたいが、まだだな」
     アレクセイは、額に汗を浮かべて媚薬の効果を抑えているようだった。
    欲求を抑え、呼吸まで抑えながら彼女を貪る。
    「あんっ、あ……っ」
     彼の手がいつの間にかエリザヴェータの両手から放れて下肢へ伸ばされていた。指が肉列を割る。驚いたエリザヴェータは、足を閉じようとするが、間にアレクセイがいるので叶わない。
    「あー……っ……あんっ……、いや、いやっ……そんな」
     首をふる。拒否の言葉を吐いた。無垢だからこその拒絶だ。アレクセイにはよく分かっていたようだ。彼はそのまま陰核を愛撫し始める。言いしれぬ感覚に、目に涙が浮かんだ。
    「あ、あ、あんっ、ひぁ……くぅ……っ」
     込み上がる快感に成すすべもなく呑まれる。初めての行為に耐える術もなく、エリザヴェータは伸び上がって果てた。両足がひくひくと痙攣する。
     はぁはぁと速い息を繰り返しながら、呆然とした眼で天蓋の天井を見上げていると、アレクセイが残っていた薄絹も脱がしてしまう。
    これで何も身に付けていない状態になった。彼もそうだ。見上げてみれば、アレクセイの胸に美しく這う筋肉が涙で濡れた瞳に映る。傷痕がたくさん走っているのを見つけて、エリザヴェータは胸に痛みを覚えた。生理的に出た涙もそこで止まる。
    彼は下肢も裸のはずだが、そこまで目線を下げられなくて目を閉じた。
    両足が上げられる。股の深いところから広げられたから恥ずかしい部分が丸見えだ。
    「お兄さま……っ」
     思わずいつも通りに呼んでしまった。アレクセイの苦笑が目に見えるようだ。
     未熟な自分、もっと勉強して、もっと賢く立ち回れる貴婦人になりたい。そうしたら、傍に置いて貰えないだろうかと、はかない望みを噛みしめる。
    自らこうしてやってくるほどあなたが――好き。
     アレクセイの唇が足の裏から足首、そして膝裏と、次第に躰を辿って上方へくる。内股、脚の付け根、そして。
    「ひぁ……っ、あっ、あああ、いや、そんな、……」
     舌で割られた女陰は、彼の目にどう映っているのだろう。深く浅くと舐められて、陰核を唇で挟まれると、彼女は再び肉体を痙攣させて上り詰める。初めての感覚、初めての羞恥、愛しい男の熱で追い上げられて、耐えられるはずがない。
     四肢に力が入らなくなった。抱えられた足の間にいるアレクセイは、上半身を倒してきて、肩を上下させながら息を繋ぐエリザヴェータに言う。
    「おまえを抱く。もう、我慢も限界だ。痛くても止めない。許してくれ」
     彼の吐息もひどく早い。うんうんと首を縦に振った。

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