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イラストちら見せ!
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あらすじ
好きすぎて野獣になってしまう
妊活→婚約→お付き合い…恋愛過程が逆ですが!?「授かり婚目指して俺と妊活してください!」ハウスキーパーの美宇は家主の晶にもちもち肌を見初められ、ある事情から妊活契約を結ぶ。女性不信なはずなのに身体中を撫で回し芯まで蕩かす予想外の甘い妊活。彼の熱い視線に胸をときめかされて…。彼とずっと一緒にいたい。だけど契約書には妊娠そのものが別れのカウントダウンになりうる項目が――!?
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キャラクター紹介
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酒井美宇(さかい みう)
弟妹を抱え、一生懸命働くハウスキーパー。晶のマンションに派遣されたがーー。 -
神手洗晶(みたらい あきら)
大企業の常務。仕事と女性不信のストレスを美宇の二の腕と太ももに癒やされ!?
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試し読み
「あの、契約書に書かれていた『妊活』なんですけど……いつからします……か……?」
晶が目を瞠る。
「えっ……一緒に眠れるようになって慣れてからと思ってたんだけど」
「あの……だって、その、お尻に……あの……」
硬い感触があることを伝えると、晶は「うわ、本当だ」と声を裏返す。やはり無自覚だったようだ。
「機能してない日々に慣れてたから……まさか今こうなるだなんて思ってなくて」
「私のほうこそ、先日はマイクか何かがベッドに転がってるのかなと思って、ぎゅってしてしまって……ごめんなさい」
晶は「マイク」と復唱して複雑そうな表情を浮かべる。
「そんなの……全然……むしろ……」
むしろなんだ、と互いに思ったのか、二人でくすくすと笑ってしまう。
「美宇、全部、こっち向ける?」
晶の低い声が少し掠れていて、なまめかしく聞こえてしまう。美宇はばくばくと跳ねる心臓あたりを手で押さえながら、顔だけでなく、寝返りを打って晶と向き合う。部屋にはほんのわずかな補助灯の灯りしかないが、近いので顔がよく見える。
(晶さん、まつげ長い……)
そんなことを思っていると、晶の顔が近づいて唇が触れそうになる。
「キスしていい?」
もうしようとしているじゃないか、と言いたかったが緊張と激しい動悸でそれどころではない。無防備な美男の「キスしていい?」がこれほど破壊力があるとは知らなかった。
(契約してもキスって許可制なの……? なんて答えたらいいか分からないよ……!)
美宇はぎゅっと目を閉じて、蚊の鳴くような声で「はい」と答える。
ふわりと柔らかいものが唇に触れたあと、上唇を甘く食まれた。
「んっ……」
「お言葉に甘えて……今夜から……妊活、していい?」
美宇は目を閉じたまま、こくりとうなずいた。
契約とはいえ、彼とこれからすることを想像しても嫌な気分にはならなかった。
(むしろこの騒動で、好感度は――)
そのとき、大事なことに気づいてしまう。一体いつぶりの異性との接触だろうか――と。
大学三年生に初めてできた恋人は、両思いというよりは押し負けて付き合うようになった相手だった。就職活動が忙しくなって自然消滅するまでに持った身体の関係も数える程度で、痛みに耐えているうちに終わったという記憶しかない。その後は親が蒸発して働きづめだったので、経験も浅ければブランクも長い。
「あの、私、お伝えしそびれていたんですが」
美宇は自分の顔を両手で覆ってぼそぼそとつぶやく。その手をそっと剝がして「何?」と優しくのぞき込んでくる晶にどきどきしてしまう。
呆れられたり、がっかりさせたりするかもしれないが、これは契約上、事前に申告しておくべきことだと思い打ち明けた。
「もう何年も交際していないので、その、上手にできなかったらごめんなさい」
「そんなお遊戯みたいに!」
晶が驚いている。
「俺も別に経験豊富なわけじゃないし、この数年は女性不信でそれどころではなかったから、二人でゆっくり確かめていこう」
暗くて顔色までは分からないが、晶の声音が照れているような気がする。ベッドサイドのテーブルに手を伸ばしながら「しまった、ゴムがないな」と漏らした。
美宇が笑いながら指先で彼の腕をつついた。
「晶さん、つけたら妊活になりません」
「そうか……そうだよな」
太ももに当たっていた彼のそこが、ぴく、と動いた気がする。
「妊娠してもらうんだよな。なんだか緊張してきた……俺顔赤くない?」
「暗いからあまり分かりませんけど、私だって一緒です。ずっと緊張して心臓がばくばく言ってます」
「……でもごめん、興奮する」
晶の声が一層低くなる。二の腕をふにふにと揉んでいた大きな手が、美宇の腰にするりと回る。顔がゆっくりとこちらに近づいて、唇が塞がれた。
今度はついばむような小鳥のキスではなくて、境界線を割って押し開くような熱のこもったキスだった。
歯列を割って舌が滑り込む。自分が使ったマウスウォッシュと同じ香りがして、こうやって彼と生活を共有していくのだなと思い知る。
(初めてキスする人と妊活だなんて、絶対おかしいけど、おかしいんだけど……なんでこんなにふわふわするの……?)
舌が口内に入ってくると。同意や反応を欲しがるように、とがった舌先がちょんと美宇の舌を誘う。舌と舌が擦れ合う感覚に背中がゾクゾクする。
心臓が耳のそばにあるのではと思ってしまうほど、ばくばくと跳ねて緊張しているのに、心のどこかで冷静な自分がいて、やりとりしていた書き置きの文字を思い出していた。
『いつもありがとうございます』『週末テラスでバーベキューをしますので、周辺の整理をお願いします』
乱れのない、まっすぐで几帳面な文字。
(あの乱れのないきれいな文字を書く男の人と、こんなえっちなことしてるだなんて)
美宇は不思議な背徳感を味わっていた。
経験に乏しいため、キスの応え方はどうしたらいいのか正解が分からないが、晶をまねするように美宇も彼の舌先をちろりと舐めた。
間違えてないか不安になる前に、キスが激しくなってそれどころではなくなる。吸い上げられたり、搦め捕られたり――。
くすくすと彼から笑いが漏れるので問うように見つめると、晶が謝りながらこう告げた。
「書き置きで、あんなにきれいな文字や文章を書く人と、こんなキスしていると思うとなんだか悪いことをしているような気分になって」
その瞬間、背中から何かが這い上がった気がした。探り合ったり、試し合うようなキスをしながら、同じことを考えていたなんて――。
どれくらいキスをしていただろうか。自分と彼の舌の境界線が分からなくなったころには、身体がじんわりと熱くなって、全力疾走したみたいに息が乱れていた。お酒も飲んでいないのに、酔っ払っているみたいにくらくらする。
美宇の二の腕をつかんでいる晶の手が、移動し始める。
「他の場所も触れていい?」
「許可取るの……逆にえっちです」
それをOKだと受け止めてくれたようで、晶の手は脇腹を経由して臀部に到達する。
「あっ……っ」
力を入れた晶の指がお尻に埋まり、ふにふにと揉まれる。
「わ、柔らかい」
さらにもう片方の手は、パジャマ越しに胸に触れた。大きな手で胸が揉みしだかれる。人差し指が優しく乳輪あたりをなぞり、つるつるのシルク越しに意地悪をされる。
「あっ……」
「すごい、ふわふわだ……ここに顔を埋めて寝ていたなんて、贅沢だな俺……」
いちいち感想を口にするので美宇は恥ずかしくなって抗議する。
「もう……っ、言わないで……っ」
「さっきノーブラでお風呂から上がってきたから、目のやり場に困っていたけど」
「あ、そ、そうですね、男性と暮らしたことなかったからいつも通りにしちゃった……」
「だめじゃないよ、ドキドキしたってこと」
片方の手がパジャマのズボンの中に差し入れられる。下着の上から秘部の割れ目に沿って優しく指が這う。
「ここも……触るよ」
「あっ……、お借りしてるパジャマが汚れちゃうから……先に……脱ぎます……!」
「じゃあ俺にさせて」
晶は体を起こして、美宇のズボンを引き抜く。太ももに大きな手を這わせながら、内股をむにむにと揉んだ。
「ここもふわもちだ」
「スリムなズボンだときついときがあって……恥ずかしいです……」
「とても魅力的だよ、肌が手に吸い付いてくる。ここにもキスしていい?」
「いちいち聞くんですか」
「恥ずかしそうにうなずく顔がかわいいから」
そう言って、内ももにチュッと音を立ててキスをする。その音がなんだかいやらしく聞こえてしまって、美宇は両手で顔を隠した。
「昼間はあんなに優しいのに、晶さん、夜は意地悪です……」
「そういう言い方は男を煽るからよくない」
晶は体を起こし、自身のスウェット生地の寝間着を脱いだ。
赤みのある補助灯で照らされた彼の上半身は、しっかり引き締まっていて、筋肉の陰影がくっきりと浮かび上がる。毎朝ジムに行っているだけある。
(お、男の人の裸って、こんなにえっちだっけ……)
美宇は顔を覆った指の間から、思わずのぞいてしまう。それに気づかれたのか、晶は「普通に見たらいいのに」と笑った。容姿に自信がないと言えないせりふだ。
「俺にも見せて」
美宇のパジャマのボタンを外していく晶の手が、布越しでも熱く感じる。
心臓が爆発しそうだが、この恥ずかしさを乗り越えなければ妊活などできない。男性経験が少ないために、こんなふうに脱がされているときにどうしたらいいかも分からず、顔を隠したり、シーツをつかんだりするしかできないのだが。
「身体、少し起こせる?」
晶が美宇の背中に手を回し、少し浮かせるとパジャマを腕から引き抜いてすべて脱がせてしまった。ショーツ一枚だけの姿になった美宇は、恥ずかしくて胸元を腕で隠すが、そっと阻まれて晶の長い指が乳房に埋まる。
「あっ……」
「柔らかいし、もちもちだ」
最初は優しかった手つきも、次第に強くなっていく。揉みしだく指がばらばらに動くせいで、その振動で自分の乳房が波打った。指先が胸の飾りに触れると、何かのスイッチをいじるようにくりくりと愛撫していく。
「ん……っ、あ、あきら……さ……」
「何?」
何、と返事をしながらも指は止めてくれない。両方の乳首を指で優しく揉み潰す。
「やっ、あ……っ」
胸を愛撫されているのに、なぜか下腹部がじんじんする。
「よかった、感じてくれてるよね。ここ」
きゅっとつままれて初めて、美宇は自分の乳頭がツンととがっていることに気づく。自分に覆い被さる晶の吐息がそこにかかると、またピクンと腰が浮いてしまう。
晶の舌先がそこを何度か試すようにつつく。じれったくて口をぱくぱくしていると、急に口に含まれて吸い上げられた。
「ああっ」
適度な力でやわやわと揉まれながら乳輪ごと吸い上げられると、ひときわ大きな声が出てしまった。慌てて自分の口を手で塞ぐが、それも阻まれた。
「恥じらうのもかわいいけど、声、聞きたいな」
「でもご近所迷惑じゃ……」
「この階、うちしかないんだよ」
つい自分のアパートの感覚で騒音を心配してしまったが、ここは想像もつかない額のペントハウスなのだ。
吸い上げられた胸の果実は、彼の口内で舌先に転がされる。そのたびに信号を送られるかのように下腹部がきゅんとうずいてしまう。もう何年も恋人がいなかったことが嘘のように、身体がもっと触れられるのを期待している。
晶の指が下着の中に滑り込む。触れられて初めて、すでに濡れているのが分かった。
「や、やだ……わ、わたし、はしたな……」
「そんなことない、俺は嬉しいよ」
ゴツゴツとした指が淫らに濡れた割れ目をすりすりとなぞっていく。ゆっくりとそこを押し開かれ、敏感な肉芽に指の腹が触れた。
「ん……っ」
充血して普段以上にせつなくなっているそこは、触れられるのを待っていたように脳内にきゅんきゅんと快楽の信号を送ってくる。晶の指が往復するたびに、腰がピクピクと震えてしまった。
「あっ、あああっ」
「すごい。熱いね、ここ……」
晶は身体の位置をずらすと、美宇の脚の間に顔を近づけた。
「舐めさせて」
上目遣いでショーツを足から引き抜き、そろりと舌を出す晶は壮絶な色香を放っている。
「えっ……ええっ」
秘部を舐められた経験がない美宇は混乱した。晶の舌先がそこに届く前に、脚をぎゅっと閉じてそれを阻もうとした。
太ももに顔を挟まれる形となった晶は驚いた顔をしてこちらを見上げる。
「だ、だって……舐めるなんて……」
ぶつぶつといいわけする美宇をよそに、晶は自分の顔を挟む太ももの感触を楽しんでいた。
「すごい……ふわもちだ……」
晶の手が美宇の尻から太ももにかけて何度も撫で回す。顔を傾けて、太ももを唇で食んだり舌でべろりと舐め上げたり――。
「初夜にこんなすてきなことしてくれるなんて」
「いえ、あの、プレイじゃなくて……」
晶の目がぎゅっと閉じられたかと思うと、次に開いたときには、別人のような目つきになっていた。
「……興奮するじゃないか」
欲望を滾らせた、雄の眼光だった。 -
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