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あらすじ
借金の形21歳OLが溺愛極妻になりました!?
強引な若頭との新婚生活は甘すぎ注意♥「こいつは俺の嫁だ」父の手で売られそうになっていたところ義道組若頭の道前に保護された美織。極道なのにいつも美織には優しくて、二人で暮らすようになった道前はさらに甘さ全開!? お世話になっている身でここまで甘やかされちゃうなんて。好きになっちゃいけないと思うのに、「逃がしたくない」と言われ全身を愛撫でとろかされちゃって!?
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キャラクター紹介
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戸部美織(とべみおり)
父のせいで借金取りに売られそうになっていたところを、道前に保護される。 -
道前倫太郎(どうぜんりんたろう)
義道組若頭。捨て猫などを放っておけない性格。不遇な美織を嫁と言って保護するが……。
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試し読み
「逃げないんだろう?」
そう言われてしまうと、否定もできない。積極的に求めているわけではないけれど、拒絶するつもりはまったくなかった。
道前は立ったままスーツの上着とネクタイを取り去り、ワイシャツのボタンをひとつふたつ外しながら、美織の上に重なってきた。
キスが再開する。そちらに意識が向いた美織だったが、身体を這う手の感触に気づいて息を吞んだ。
「初めてか?」
唇を離れ、耳朶に触れながら囁かれた。
「……はい……」
「乱暴はしない」
美織が身に着けていたのは、長袖のカットソーと柔らかな生地のワイドパンツで、道前の手は撫でるように衣服の上から身体をなぞった。
「あっ……」
胸をまさぐられて、思わず声が洩れる。
「このくらいで騒ぐな。なにもできなくなる」
それは嫌だと、とっさに思った。やめないでほしい。道前に求められて、ようやく美織はここにいても許される理由が見つかった気がしているのだ。
いや、ここでの暮らしに執着しているわけではない。自分には不相応すぎて困惑するくらいだ。でも、道前のそばにいられる。
好きなのかどうかはわからないけれど、今の美織には誰よりも頼もしく、安心できる存在だった。枝を広げ、雨風から守ってくれる大樹のように。
首筋を唇が這い、吹きかけられる吐息と舌の熱さに、美織の体温も上がっていく。身体の中にも熱がこもるような気がして、喘ぐように息を吐いた。そのタイミングでカットソーを捲り上げられ、ブラジャーのホックが外された。
……み、見られてる……。
スレンダーと言えば聞こえがいいが、メリハリに乏しい身体だ。こんなふうな仰向けの状態だと、胸の膨らみも半減で、道前の興味を削ぐのではないか。
「隠すな」
思わずかざした手を、身体の両脇でシーツに縫い留められた。
「貧弱で……恥ずかしくて……」
美織の言葉に、道前はくすりと笑った。
「身体の形で抱こうとしてるわけじゃない。おまえだから抱きたい」
今度は直接胸の奥が熱くなった気がした。この状況だけでもいっぱいいっぱいなのに、これ以上美織の心を掻き乱すようなことを言わないでほしい。
「それに大きさや形より、感度のほうが重要だろう」
道前は美織の胸元に顔を伏せたかと思うと、先端を舐め上げた。
「あ、あっ……」
初めての感覚に、美織は仰け反った。舌で濡らされた乳頭がきゅうっと尖る。それを口に含まれて吸い上げられ、次々と襲い来る鮮烈な刺激に、美織は跳ねるように身を震わせた。
さすがに行為のなんたるかを知らないわけではないが、実際の体験は伝聞や想像を軽く超えていて、最後までできるのだろうかと不安になってくる。いや、美織に拒むつもりはないけれど、こんな自分で道前が興覚めしないだろうかと、それが気がかりだ。
反対の乳房を捏ねるように揉まれ、指先で乳首を転がされ、抑えようもなく声が洩れる。自分はこんなに過敏だっただろうか。時間に追われるような生活で、入浴なども慌ただしく済ませるばかりで、乳房を気にしたこともなかったのに。
……道前さんだから? 道前さんが私を欲しがってくれてるから……?
そうなら、こうしているのは美織にとって、願ってもないことなのではないだろうか。
道前と出会わなければ、そして彼が救いの手を差し伸べてくれなかったら、きっと今ごろ美織は、己の身体を使って稼ぐ生活をしていただろう。いや、その前に、井の中組のような男たちに弄ばれていたに違いない。
そんな目に遭うこともなく、道前によって女にされようとしている。理由はどうでも、求められることが嬉しい。
気づけばワイドパンツの裾がたくし上げられて、中に忍び込んできた道前の手が、下着にまで届いていた。ショーツの上から秘所を撫でられ、美織ははっとしたが、重なっている道前の身体に絶妙の力加減で押さえつけられて動けない。
ゆっくりと撫で擦る指の感触に、意識が奪われる。そこが痺れたようにぼうっとなって、いつしか刺激がもの足りなくなる。
ふいに指が下着を潜り、直に触れられたと感じたのもつかの間、ぬるぬるとした感覚に美織は混乱に陥った。
「やっ……」
とっさに反転するように身体を丸めた。恥ずかしくて消え入りたい。
「どうした、急に。痛かったか?」
道前の声に非難の色はなく、背中から包むように抱きしめてきた。項にキスをされ、ほんの少しだけ落ち着くけれど、恥ずかしさは消えず、かぶりを振るのがせいぜいだった。
「じゃあ続けるぞ」
どうして道前はそんなに平然としていられるのだろうと思い、それも後ろから乳房に回った手の動きにたちまち掻き消される。しかしもう一方の手がウエストから衣服の中に忍び込んでくると、美織は上から押さえつけてしまう。
「嫌か?」
道前の動きが止まって、美織はほっとするよりも不安に駆られた。ここでやめられてしまうだろうか。それは美織の本意ではない。道前の意向に添えないなんて、美織が存在する意味がない。
それに……嫌じゃない。したくないんじゃなくて……。
「……恥ずかしくて……こんな……」
道前の指が動き出し、美織の秘所をなぞった。先ほどよりもさらに潤っているように感じて、美織は唇を嚙みしめる。
「濡れるのは、俺を受け入れようって気持ちがあるからだろう。べつに恥ずかしいことじゃないし、それで好きものだなんて思わない。恥ずかしがるのは可愛いと思うけどな」
道前は美織を揶揄うことも辱めることもなく、美織が嫌がっていないとわかっているとまで言ってくれて、安心させてくれた。しかし――――。
「まあ、恥ずかしがるより、感じて悦んでくれたほうがなおいい」
そう言って指を巧みに動かし、美織に声を上げさせた。そこへの愛撫は胸よりもよほど鮮烈で、美織は否応なく昂らされていく。ことに秘蕾を捉えて振動を送られると、はしたないほどに腰が揺れてしまう。それがさらに刺激となって、美織は高みに押し上げられた。
「あっ、あっ……」
びくびくと震える美織の頰に、道前は背後から褒美のようなキスをした。他人の手で絶頂を迎えたことに、愉悦に浸りながら呆然としている美織から、道前の手で衣服が取り去られた。
道前もワイシャツを脱いだようで、背中に人肌の温もりを感じ、ときめくような高揚感が美織を包む。もはや自分が全裸であることの戸惑いも薄れていた。さすがに道前と面と向き合うのは躊躇われて、背中を向けたまま俯いていると、道前の手が太腿の間に潜り込んできた。
「あっ……」
たっぷりと蜜を湛えたそこを、指が掻き回す。横臥の体勢で上になっている脚を抱えられ、道前の指はさらに自由に動き回った。
指が差し入れられた感覚に、美織は息を詰める。指一本でも圧迫感があって引きつるようだと感じたのに、探るように中を行き来されるうちに、不思議なほど馴染んできた。
「……んっ、あ……」
ときおりむず痒いような心地よさが過って、ため息交じりの声が洩れる。首筋や肩に触れてくる道前の唇や、乳房への愛撫も相まって、緩やかな快感が全身に広がっていた。
乱暴にはしない、と言ったとおり、道前は優しい。経験のない美織が言えることではないけれど、かなり優しいはずだ。
ひと回り以上も年上だというおとなの余裕だろうか。おとなだからこそ、美織が相手で愉しめるのだろうかと気になる。手間ばかりかかって、道前自身はつまらないのではないだろうか。
ふだんはきっと似合いの色っぽく肉感的な女性を相手にしているのだろうと思ったら、胸がざわついた。せめて今は、美織だけに意識を向けていてほしい。
どうしたら――――。
一点を掠めた指に、美織はびくりとして腰を揺らした。道前の指を食い締めたようにも思う。戸惑っている間に指が引き抜かれ、美織は仰向けにされた。道前が覆いかぶさってきて、美織の太腿の間に腰を進めてくる。
いよいよ、なの……?
無意識に強張った頰を、大きな手のひらが撫でた。
「よくしてやる」
なんて自信家なのかと、呆れることはなった。むしろ道前ならそのとおりにしてくれるのだろうと思った。そもそも美織のことより、道前に満足してほしい。いや、満足なんておこがましい。少しでも愉しんでくれれば本望だ。
そうなれば、美織はなにより嬉しい。
美織はそっと両手を道前の肩に回した。
「してください……」
道前はわずかに目を瞠った後で、口端を上げた。
「任せろ」
キスをされて、それに意識が向いているうちに、下肢に強い圧迫感があった。痛みはそれほどでもないけれど、驚くほど押し開かれていく感覚に、美織は道前にすがりついた。じわじわと侵略されていき、最後に腰を抱え上げられて、だめ押しのように貫かれた。
「……っあ……」
自分の鼓動とは別の脈動が下肢から響いてくることが不思議にも思え、また結ばれた証のようにも感じた。
道前らしくもないため息が聞こえて、美織は視線を上げる。そしてどきりとした。悩まし気に眉を寄せた顔が、見入ってしまうほど色っぽい。イケメンなのは知っていたけれど、男性に対して色気を感じたのは初めてだ。
道前と目が合う。
「なんだ?」
「……いえ――――」
かぶりを振った瞬間、道前が目を眇めた。
「そんなに締めるな……暴走する」
「は……? え? えっ!?」
なにを言われたのかわかったとたん、美織は赤面して身じろいだ。
「そんなっ……」
しっ、締めつけたって、そういうこと!? そんなこと言われても、やろうと思ってしたわけじゃないし――――ああ、はしたないって思われた? ほんとは慣れてるんだろう、とか? 誤解だ!
焦る美織の腰を抱き直した道前は、首筋に唇を押し当てた。
「ダメージもなさそうで元気だな。安心した」
「いえ、あの……さっきのことは、意図してではなくて――――ひゃっ……」
中で道前が動いて、美織は話も途中に色気のない声を上げた。
「ん? ああ、締めたってやつか。べつになにも勘ぐってない。正真正銘の真っ新で、自覚もなしにしてるのもわかる。今もそうだしな」
「ええっ、今も? あっ……」
絶え間なく動かれて、鈍痛が疼痛に変わってきた。いや、痛みはなく疼きだろうか。もっとつらい目に遭うと思っていたのに、全然違った。
道前が丁寧に扱ってくれることが、多分に影響しているのかもしれない。ひどくされないという安心感が、身体の緊張も取り去るのだろう。
それどころか……。
素肌を合わせて抱きしめられることが、ほっとするような、逆にドキドキするような、不思議な感じだった。もちろん嫌ではない。
道前の肌はなめらかだけれど、しっかりと硬い筋肉の隆起が伝わってきて、それにもときめくような魅力を感じた。無意識に広い背中を指で辿っていた美織は、ふいに大きくなった動きに戸惑う。
「あっ、ん……」
自分の中から抜けていくかと思った塊が、再び押し入ってくる。繰り返される動きに合わせて、下肢から湿った音が響く。
道前が入ってきたときは大きすぎると思ったのに、それがスムーズに動いているのも、自分がひどく濡れているからだと突きつけられるようで恥ずかしい。
でも……受け入れようとする気持ちがあるからだって、言ってた……。
少なくとも道前は気にしていなかったし、むしろ肯定していた。それに美織も、自分の身体が道前を歓迎しているなら嬉しい。
ふと震えが走るような刺激を受けて、美織は道前にすがりついた。
「あっ、あっ、なに……?」
戸惑う身体に、いっそう強い律動が刻まれる。慣れない美織にも、それが紛れもない官能だと理解できた。どこをどうされたのかは、さっぱりわからなかったけれど。
「ここが好きだろう?」
「ん、あっ……」 -
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