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試し読み
晩餐の前にテッドによって断ちきられた熱情の炎は、すぐにまた勢いを取り戻した。二人は激しく口づけをした。
想いを伝え合うかのように、何度も唇を重ねた。
夢の中にいるような気持ちだった。
きつく抱きしめ合って、キスを繰り返し、彼の匂いと体温に包まれているうちに、気がつくと、コーネリアスはベッドの上に寝かせられていた。
柔らかなピンクのドレスを剥ぎ取られ、なよやかな肢体が曝されてしまっている。
侯爵は着衣のまま、彼女の金の髪に指をからめ、首筋をなぞり、鎖骨の窪みを指の腹で撫で、ゆっくりと彼女の体がほぐれるのを待っていてくれた。
乳房を口に含み、丁寧に舌先でくすぐる。
その刺激が背筋を走り、コーネリアスの体を震わせた。
「あ……っ、ぁ」
彼女の下腹は熱くなり、秘めたあわいの中心がひくひくと疼き始めた。淫らな予感に、彼女は甘くさえずる。
体の奥から滴りが溢れ出してくるのがどうしようもなく恥ずかしい。
だが、それはすぐに彼に見咎められてしまう。
柔らかな内股をたどって下りてくる彼の手。
「素敵だ……、きみの肌は素晴らしい……」
「いや……だめ……」
「そんな甘い声で拒絶されても、もう止められない」
そう言って、彼はコーネリアスの足の間に指を滑り込ませた。
「う……っ」
十分すぎるほど潤った蜜壺の入り口をまさぐり、その指は静かに肉襞を分け入ってきた。
コーネリアスの体は緊張で一瞬強ばったが、未知の感覚におののきながらも彼の指を受け入れていく。侯爵は彼女の耳元で言った。
「初めてなのか? ……そうだと嬉しいが」
コーネリアスが無言で頷くと、その額に彼が口づけした。
それから、あちらこちらにキスを落としながらも、長い指は丹念に彼女の体をほぐしにかかっていった。やさしい仕草でくちゅくちゅと隘路をなぞり、ゆっくりと進みながら時折後退しては道を開いていくのだ。
「あ、ぁ……く」
「もっと体の力を抜いて」
侯爵の声が艶めかしく響く。
「まだ痛いかい?」
「い、いえ……」
異物感はあるが、痛みはなく、ただ、恥ずかしいという気持ちで消え入りそうになる。なのに、指がそっと退くと、彼女の蜜襞がそれを追いかけてうねるのがわかる。
「ぁあん……、ぅ――」
自分でも恥ずかしくなるような淫らな声を、いっそキスで塞いでくれたらいいのに、彼の唇は、は敢えて避けているかのように、コーネリアスの口の際で留まっていた。
「濡れているね」
と、侯爵は呟き、彼女の体のさらに奥へと侵入を試みる。
「あ、……っ、あ」
ぴくん、と体が震えたが、苦痛ではなかった。
彼の指が静かに動いて濡れ襞を擦り始めた。じわじわと広がる官能的な触感に、彼女は首を逸らせ、金の髪を乱して枕に押しつけた。
「いや、ぁ、あ、だめです……っ、それ以上は、……ぁあん」
「本当に? ここもこんなに赤く色づいているのに?」
彼はそう言って、硬くなった乳頭を口に含み、舌をそこに絡めた。
「あふ……っ」
チュッと吸われると同時に、彼女の胎内にうごめく指。
二つの刺激が体を縦断し、繋がって、火を噴くような快楽が生まれた。
蜜壺をかき回す淫らな水音と、乳房を弄る彼の唇が立てる小さな音に、コーネリアスの熱い吐息と嬌声が重なる。
彼は挿入している指の数を増やして、静かにそれをうねらせた。
「ああっ」
圧迫感は増えたが、やがてそれにも慣れて、動きが早まるにつれて、彼女の腰も淫靡にうごめいてしまう。蜜洞の入り口がしきりに収斂して彼の指を呑み込み、両足の内股が無意識にすりあわされ、開きかけの蕾は今にも弾けそうだ。
「ア、……っ、あ、お、ね、がい……」
この苦しみを、この体の疼きを止めてほしい。
「抜いてほしい?」
と、彼が耳元で意地悪く囁く。
「わ、からな、い……の」
「じゃあ、こうしようか」
侯爵がするりと指を抜いた瞬間、コーネリアスは奇妙な不安感に襲われ、手を伸ばした。
思わずすがるように、彼のシャツを握りしめる。彼の首にはめていたクラヴァットは既になく、燕尾コートもいつの間にか脱いでいた。大きく開いたシャツの衿から、彼のたくましい胸が覗いている。
乱れた吐息が下りてきて、お預けをしたまま言った。
「……コーネリアス……、このままでいいのかい?」
「いや、いや……!」
体の中が虚ろになった心許なさに、彼女は首を振った。
すると、侯爵は再び指を挿し入れ、さらに別の指で花弁の突端を擦ったのだった。
「ゃあああっ……!」
コーネリアスを激しい快感が襲い、その体は三日月のようにしなって硬直したかと思うと、がくがくと震え出した。
もう、自分が今どこにいるのか、今がいつなのかもわからないほど朦朧としていた。
「ああ……、コーネリアス……。初めてだからゆっくりしてやりたいが、きみが愛しすぎて、これ以上は無理だ」
侯爵の余裕のない声、衣擦れの音、沈むベッド――それら全部が、夢の中の出来事のように彼女の頭を通り過ぎた。体を大きく開かれた時も、彼女の理性はどこかに消えてしまい、ぼんやりとただ、それを受け入れていた。
肩の上の辺りに彼が両手をついて、コーネリアスの上に覆い被さる。
あられもなく開かせられた足の間に、硬くて熱いものが触れた。一瞬、怖くなったが、コーネリアスの体には、もうあらがう力はなかった。
ちゅくちゅくと濡れた音を立てて、それは彼女の花弁を開き、最初はゆっくりと先端を埋め込んできた。
「……あ……っ」
体が押し上げられて、ベッドに髪が広がる。
コーネリアスの体が逃げないように、侯爵がその両肩を掴み、さらに腰を入れてきた。
「ひ……、ぁ……っ」
ズ、ズッ、と押し入ってくる彼の肉棒は、予想もしないほど硬く、強靱だった。
「あ、……もう、だめ、です。……こ、……うしゃく……さま……っ」
引き裂かれてしまうのではないかと思い、彼女は叫んだが、彼は止まらなかった。
「コーネリアス……、もう少しだ、耐えてくれ」
その声の艶めかしさに、彼女はすすり泣きながら頷いた。
全て彼に任せよう。
人に愛される喜びを肌で受け止め、従順にその時を待つのだと、コーネリアスが思った時、再び彼は動き出した。彼女の肩をしっかりとベッドに縫いつけ、力を込める。
「ぁ――、ぁっ」
蜜襞がこれ以上ないほど引き伸ばされ、彼の雄竿を呑み込まされていく。下腹の奥が引き絞られるように収斂し、痛くて、苦しいのに、心が喜びで満たされていく。
「う……っ」
「愛している、コーネリアス」
彼のその言葉と同時に、とうとう彼女の体の最奥がこじ開けられた。
ぷつりと引きちぎられたような衝撃に、彼女は悲鳴を上げる。
「あぁ――っ」
硬い砦を破ると、彼が一気に挿入ってきた。
体を貫くようにして子宮口に彼が到達した瞬間、コーネリアスの背中がびくんと浮き上がり、足の指先まで強ばった。じわりとした痛み、蜜洞を押し破るかと思うほどの存在感に、コーネリアスの目からは涙が溢れ、全身から汗が噴き出した。
「……繋がったよ」
侯爵の声が耳朶を撫でた。ぞくりとするような甘い声。
「――っ、……ふ」
コーネリアスは、しばらくの間、息がうまくできなかった。
「大丈夫、大丈夫だから。静かに息をして」
侯爵は、そう言って、汗でびっしょりになった彼女の額を指で拭った。そして、いたわるようなやさしい仕草でひとつ、キスをした。
「かわいいコーネリアス……、よく耐えてくれたね」
彼は、髪を撫でながら、彼女の荒い呼吸が落ち着くのを待っていた。
下肢を繋げたまま抱き合っているうちに、嵐の海のように激しく上下していたコーネリアスの胸は凪いでいったが、腰から下は、今も穿たれたようにどくどくと痛む。
「私を受け入れてくれてありがとう」
そう入って、侯爵はゆっくりと唇を合わせてきた。コーネリアスの小さな唇は、侯爵の湿った唇に覆われ、むさぼられた。舌を重ねられ、強く吸い寄せられた時、再び下肢の間にある官能の果実がふるりと身震いするのを感じた。
「ん――んう」
体の中に彼の肉体が嵌めこまれ、肌と肌が密着したまま、何度も交わされる口づけの甘さに、次第に異物感と痛みが遠のいていく。
コーネリアスの下腹部は歓喜にピクピク震え、我知らず、腰が怪しく動き始めた。
「……コーネリアス、動いても大丈夫か?」
「――はい」
「涙で睫が濡れてる。無理をしないで、と言いたいが、私のほうが耐えられない」
そう言うと、彼はコーネリアスの腰の下に腕を回した。そして、自分の下腹部に引き寄せるように、腕に力を込めてさらに突き上げた。
「ああ、あ、……こう、しゃくさ――ぁあっ」
彼の丹念な愛撫によって引き出された甘い雫は、破瓜の痛みを和らげて、尚も溢れ出ていた。
二度、三度と突き上げられた時には、コーネリアスの肉体は、初めての愛の洗礼の過酷さを乗り越えていた。体のあちらこちらに入っていた力が徐々に抜けてくると、彼はすんなりと、さらに奥へと挿入ってきた。
「コーネリアス……! 愛している」
じゅぷ、じゅぷ、と豊潤な蜜音を立てて、甘く貫かれ、彼女は歓喜の悲鳴を上げた。
「あっ、あっ、……はぁ――ぁっ」
淫らにきしむベッドの音が、次第に早くなる。
激しく喘ぎながら、体を揺らして彼を受け入れるコーネリアスの頬に、幾筋も涙が伝い落ちた。悲しいのではなく、貫かれる喜びに震えてこぼす涙だった。
彼の律動と共に、何度も擦り上げられるコーネリアスの最も敏感な花芽が、突然彼女を絶頂へと押し上げた。体中の熱が集まったかと思うと、淫靡な快感となって全身に広がっていく。
「あ……、ぁ、わた、し……、おかしく、なっちゃう……っ」
「ああ、きみも達くのか……?」
彼は、悩ましく響く声でそう言うと、くっと腰を深く入れた。その摩擦によって花芽の包皮が剥かれた時、彼女この世のものとも思えない悦楽に痙攣した。
「ひ……ぁあああああっ!」
たまらずに侯爵背中にしがみついた時、彼が低く呻いた。
コーネリアスの細い腕の中で、彼の体が微かに硬直した。
次の瞬間、コーネリアスの蜜道に生暖かいものが吐き出された。
ざあっと広がり、濡れ襞を舐めるように広がって、彼女の初夜の血と混じり合う。
「……ぁ……」
体の奥で、侯爵の体が脈打ち、劣情を注ぎ込んでいるのだった。
ずしりと彼の重みがかかってきた時、コーネリアスの心を占めていたのは、生まれて初めて味わう喜びしかなかった。
侯爵の、熱く艶めかしい吐息が彼女の肩をかすめる。
「コーネリアス。……こうなって嬉しいよ」
「わたしも、です」
劣情の熱がいっとき鎮まると、侯爵はコーネリアスを柔らかく抱きしめて言った。 -
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