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試し読み
「ふーん。本当に、俺に触られるだけで我慢できるのか?」
美穂がうなずいた瞬間、涼の手が両肩に置かれた。
ゆっくりと撫でさすりながら、何度も肩から手の先までを往復させる。そのあと、腋の下を通り、涼の指先は柔らかな胸を鷲掴みにした。
身体がピクンと震え、この二週間で覚えた快楽へと堕ちてしまいそうになる。
(ダメよ……もう、ダメ。だって、何度も繰り返したら、本当に赤ちゃんができてしまうかもしれないもの)
そうなったら両家の親も、結婚するしかないと言い始めるだろう。
胸の先端を指先で抓まれ、美穂は唇を噛んで堪えた。激しく揉みしだいたあと、掌で優しく撫でられる。リズミカルな動きに身を委ねそうになる寸前、ふいに愛撫のリズムを変えられ、快楽は波のように次々と押し寄せてきた。
「よく頑張るな。じゃ、そっちの石の上に座ってもらおうか」
中央に置かれた大理石とは別に、少し離れた位置に大小様々な大理石があった。その中の高さ五十センチほどの石を涼は指差している。
「座る、の?」
美穂は恐る恐る腰を下ろした。ひんやりした感触に身体がビクッとする。そのとき、ふいに両脚を掴まれた。
「きゃぁ!」
脚を左右に開いたまま、両膝を立てて石の上に置かれる。涼の目に羞恥の場所を晒す羽目になり、美穂は逃れようと身を捩った。
「逃げるなよ。俺に最後までするなって言ったのはおまえだろう? だから、俺はしない。指で触れるだけだ。その代わり、おまえが自分でやれ」
涼は身を乗り出して、美穂の目の前に顔を突きつける。そのままキスされそうなほど近しい距離だ。
「自分で……って」
「オナニーくらい知ってるだろう? やったことあるんじゃないのか?」
「知らない! あ、えっと、知らないわけじゃないわ……でも、やったこと、なんて」
まったくないわけではない。興味本位で少し触れて、奇妙な感じがしてすぐにやめたことがある。そんな恥ずかしい姿まで見られた気がして、美穂は必死で否定した。
「おまえのイクとこが見たい。自分でやれないなら、やっぱり俺がやってもいいけど……手以外の場所を使うかも」
涼は笑いながらパンツのファスナーに手をかける。
「ホ、ホントに、自分でなんて」
涼は耳朶に息を吹き当て、ささやいた。
「だったら降参しろよ。そうしたら、俺がタップリ気持ちよくしてやるから」
彼の瞳は口にしている卑猥な内容とは違い、真摯な気配を漂わせている。
この甘い誘惑にうなずいてしまいたい。でもそうすれば、やはり爵位と財産に惹かれたのだ、と思われてしまうだろう。
美穂はコクンと唾を飲み込んだ。
「触ったら……いいの?」
「触って気持ちよくなればいいんだ。ほら、こうやって」
涼は右手と自分の身体で美穂の両膝を押さえ、彼女の右手を秘所に導く。
触れた瞬間、美穂は指を折り曲げ、自分の陰部に触れまいとした。反射的に握ってしまったのだが、そこを上から掴まれ強引に開かされる。そのまま、開いた掌を花びらに押し当てられ、グリグリと回された。
「ひゃんっ! あふ……んんっ」
自分で自分に触れるなんて、ひょっとしたら、涼に触られるより恥ずかしいかもしれない。
なんとか声を上げまいとするが、どうにも我慢できなくなる。
「あ……やだ、そこはダメ。おねが、い……そこは、手、放して……おねが……ああっ」
そこは機内で涼に甘噛みされた場所だった。
女の躰で最も敏感な場所。躰の中心が、美穂自身の手で荒々しく愛撫される。最初はただ、涼に動かされるがままだった。それがいつの間にか、彼女の手は涼の動きを学習したかのように、勝手に動き始めてしまっている。
「ああ、しょうがないな。放してやろう。でも、途中で止められるかな?」
涼の手が離れ、安堵するはずだった。なのに、美穂の掌の下で淫芽がピクピクと震えているのを感じた。もっと、もっと、触って欲しい。そう言わんばかりに痙攣している。
「ん? 俺の手が離れたのに、まだ動いてるみたいだけど」
美穂は自分の手を放すことができず、そのまま、そろそろと擦り続けた。しだいに息が上がってくる。
「腰、揺れてるぞ。ちゃんと見ておいてやるから、イッてみろよ」
カッと頬が熱くなる。
「やっ! やだ、お願い、見ないで……あ、あん、ダメ、見ちゃダメなの」
「ああ、見るだけじゃダメなわけだ。いいよ、こっちは俺が可愛がってやろう。大丈夫、指で触れるだけだ」
言うなり、グチュグチュと音がした。
泉の奥に長い指を押し込まれ、ゆるゆると掻き回される。涼の指に合わせて、淫核に触れた美穂の指も動き始めた。
自分の躰がどれほど感じて、甘い蜜を滴らせているか、気づかないふりをしてきたが、もう限界だった。
「やあっ! 見ないで、見ないでぇ……あっ、ゃあーっ!」
美穂が背中を反らせた瞬間、涼の指が引き抜かれ――泉からサラサラの愛液が噴き出した。涼の指だけではなく、内股や大理石まで濡らしていく。
ハアハアと荒い息が工房の中に広がった。
熱が急速に冷めていく。自分の躰から零れ落ちた愛液の冷たさに、ヒップの下にある大理石が氷のように感じた。
快楽の頂上に達するまで、自らで淫部を弄ってしまうなんて。羞恥から逃れたくて慌てて脚を閉じようとするが……。
濡れそぼる場所に硬いものを押し当てられ、その初めての感覚に美穂は目を見開いた。
「あ……やだ、何? 涼くん、それって」
「俺のペニスを挿れたらダメなんだろう? その代わりだ」
彼の手にはツルツルに磨かれた白い塊があった。 -
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