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試し読み
夫婦の寝室にぐちゅぐちゅというみだらな水音が鳴り響く。その音に、こらえきれないアレクシアの喘ぎが交じった。
「あっ、はぁ……んっんっ」
ジョエルの逞しい男根が、アレクシアのしとどに濡れた隘路を行き来する。内壁を抉るように擦られ、そのたびに蜜を誘い出そうとするように緩やかな刺激を与えられる。
アレクシアの身体は苦しいばかりに解放の時を求めているのに、ジョエルはそれを知りながら解放に足る刺激を与えてくれない。
もどかしさのあまり、アレクシアは悶え、身を捩る。
ジョエルはアレクシアの両方の手首を掴んで頭の上に縫い止めた。その動きでジョエルの身体は傾ぎ、アレクシアの中に埋められた剛直の角度も変わる。先ほどまでとは違う部分に刺激を感じ、アレクシアは目を見開き息を呑んだ。
ジョエルはそんなアレクシアの顔を覗き込み、ふっと小さく笑う。彼の目に渇えた獣のような欲望を見て取って、アレクシアはどきんと胸を高鳴らせた。
普段は飄々とした笑みを浮かべた捉えどころのない人なのに、夫婦の閨では雄の本能を時折覗かせる。夫婦の営みに慣れてきたころに、アレクシアはそのことに気付いた。
彼の渇望を垣間見るたびに、落ち着かない気分になる。彼の視線にさらされることが恥ずかしくて、逃げ出したい衝動に駆られる。
けれど、そういうときに限って逃げられる状況にない。
両腕を頭の上で押さえつけられ、彼の力強い肉茎に貫かれていては、逃げ場はないも同然だった。
小さな笑みを浮かべたジョエルは、すぐにアレクシアを穿ちはじめた。そこに初夜のような気遣いはない。──あのときも激しいと思ったけれど、今なら十分に気遣われていたのだとわかる。──がつがつと腰を打ちつけられ、柔らかいベッドの上で身体が大きく揺れる。剛直の先端が密壷の最奥を掘削するように抉る。乱暴と言えるようなその動きに、彼に抱かれることに慣れたアレクシアは快楽しか感じられなかった。
彼の先端は的確に子宮口を抉り、溢れてくる愛液を奥から掻き出す。掻き出された愛液は膣道を広げる剛直を伝って蜜口から溢れ出し、ぐしょぐしょと粘ついた水音を立てる。この音を立てる水を生み出したのが自分だと思うと、たまらなく恥ずかしい。でもその恥ずかしさがどうでもよくなってしまうほど気持ちいい。
「あっ、やっ、ん、あぁ……っ」
せり上がってくる絶頂感に耐えきれず、アレクシアはあられもない声を上げる。救いを求めるように、目の前の逞しい肩にすがりつく。
ジョエルはもうアレクシアの両腕を拘束していなかった。アレクシアの腰を指が食い込むほど強く掴み、ますます貪欲に蜜洞を突き進んでいた。
「……っは、シア……ッ」
苦しげな息の間に、ジョエルが名前を呼んでくる。そのせっぱ詰まった声に、アレクシアの胸がきゅんと疼き、彼の剛直を締めつけてしまう。
「ク……ッ」
ジョエルはうめき声を上げると、いっそうはやい動きでアレクシアを穿った。その動きが最後の一押しとなり、アレクシアは快楽の断崖から放り出される。
「ああ……ッ、あぁ────!」
アレクシアは甲高い嬌声を上げ、背中をしならせて全身を硬直させる。引き絞られた蜜洞をジョエルは一際強く突き、自身を深くアレクシアの中に埋めたまま熱く滾った精を吐き出した。 -
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