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試し読み
欲望にかすれた声で名を囁かれると、身体の中心が昨夜よりも激しく疼いた。
アランの手が胸をまさぐり、襟元を絞っていた紐をゆるめる。彼はグレースの胸に鼻をすり寄せ、くちづけながら両手で乳房を優しく包んだ。
直接刺激される前からおずおずと立ち上がりかけていた薔薇色の頂は、早くも固く尖って緊張にふるえていた。
アランは指先で尖りを摘み、くりくりと転がした。思わず吐息を洩らすと、アランは微笑んで突端にキスした。
「可愛いよ……。すごく綺麗だ」
アランはグレースを優しく起き上がらせ、服を脱がせた。恥ずかしさで戸惑っているうちに、白い裸身を剥き出しにされてしまう。
アランは自分の服を手早く脱ぎ捨てると、グレースにぴったりと寄り添って寝床に潜り込んだ。
「寒くない?」
グレースは羞恥に頬を染めて小さく頷いた。小窓からは薄日が射している。こんな時間に自分が男の人と裸でベッドにいるなんて、考えただけで眩暈がしてきた。
背後からグレースを抱いたアランが、そっと身体に手を滑らせる。乳房からおへそ、腰骨を通って膝まで腿を撫で、後ろに回って可憐な双丘を優しく愛撫した。
何だか自分が楽器になって彼の膝に乗っているかのように思えて、グレースは陶然となった。
ふたたび胸に舞い戻った手が、円を描くようにゆったりと乳房を揉みしだく。うなじや肩口にキスをしながらアランが尋ねた。
「気持ちいい……?」
「ん……」
うっとりとグレースは頷いた。彼の手が優しく触れると緊張が解け、甘くとろけてゆくようだ。
鼻にかかった声が無意識に洩れた。それが恥ずかしくて、グレースは刺激に対してさらに敏感になった。
指先で乳首を転がしながら、アランはもう片方の手を伸ばして下腹部の茂みに触れた。やわらかな茂みをそっと撫でられると、身体の奥につきんと痛みが走る。グレースは思わず声を上げそうになった。
唇を噛んで喘ぎを押し殺していると、アランがなだめるように頬にくちづけた。
「力を抜いて。そう……、もう少し脚を広げてごらん」
半分うつ伏せたような恰好で、グレースは羞恥にふるえながらほんのわずか脚を広げた。アランの指が茂みの奥へ、巧みに入り込んでくる。
秘処に触れた彼の指がぬるんと滑るのを感じ、グレースは真っ赤になった。いつのまにかそこは熱い蜜で濡れそぼっていた。
「あ……、ぃや……」
弱々しく首を振ると、アランは吐息で笑った。
「恥ずかしがらなくていい。僕を受け入れてくれるという証なんだから……」
少しずつ指を奥に進め、アランは蜜にまみれた花芽を中心にグレースの初心な媚肉を優しく愛撫した。
「ふ……、ぁ、っあ……」
唇を突く喘ぎが止められない。クチュクチュとみだらな水音が響き、リズミカルに柔襞が擦り上げられる。
繰り返し愛撫されるうちに、下腹部が絞られるようにうねった。
「ぁ……、っ!」
止めようもなく、秘処が引き攣る。グレースの咲き初めた花びらはアランの指先に淫靡に絡みつき、びくびくと痙攣した。
恥ずかしくてたまらず、グレースは身を縮めた。アランが満足げに微笑んで、肩にちゅっとくちづける。
「どう?」
グレースは顔を赤らめた。何と答えていいかわからない。初めて味わった官能に、快楽よりも戸惑いと驚きを感じていた。
「その顔だと、悪くはなかったようだね」
アランは悪戯っぽく微笑み、グレースの腰をさらに引き寄せた。
親指で花芯を捏ねながら、今度はグレースの中へと指先を沈めてくる。小さな痛みが走り、グレースは反射的に顎を反らした。
「んっ……!」
「痛かった?」
心配そうに訊かれ、グレースは急いでかぶりを振った。痛みもあったけれど、その奥が待ちかねたように熱く疼いている。
「だい……じょうぶ……。やめないで……?」
アランは微笑んでグレースにキスした。
キスを繰り返しながら慎重に指を動かし、少しずつ奥へ侵入していく。やがて付け根まで指を媚肉に埋め、ゆっくりと彼は指を抜き差しし始めた。
「これはどう? 気持ちいい?」
「あ……、よく……わからな……」
「合わせて動いてごらん。少しずつでいい。ゆっくりと……、そう、上手だよ」
ぎこちなく腰を動かすうちにだんだんとリズムが掴めてくる。アランは空いた手でグレースの乳房を愛撫し、うなじと背中に絶え間ないキスを降らせた。
「どこが気持ちいいか、教えて?」
「あ……、わか、ら……、――ぁ、っ……!?」
「ここかな」
アランが指の腹で蜜道の一点をこする。目から火花が散るような快感でグレースは喘いだ。
「っあ! や、ぁぁっ」
「ここがいいんだね」
「んっ、ふ……、ぅ……、ぃや……、だ、めぇ……っ」
グレースはシーツをぎゅっと握りしめた。止めようもなく腰が揺れてしまう。
「気持ちいい? いっていいよ、グレース。怖がらなくていい」
「あ……あ……、アラ、ン……」
うっとりと囁き、グレースは背を反らした。恍惚が意識を攫い、下腹部が爆発するようにうねる。
熱い蜜にまみれた指を秘処から引き抜き、アランはグレースの身体を仰向けた。
優しく膝を押して脚を開かせる。まだ恍惚にひくついている蜜壺の入り口に、熱く滾るアランの昂りが触れた。
彼は迷うように眉を寄せ、いくらか不安そうにグレースを見つめた。
「できるだけ優しくするつもりだけど……、たぶん最初は痛むんじゃないかと思うんだ。我慢できそうかな……?」
快楽の涙で薄い膜の張った瞳を、ぼんやりとグレースは瞬いた。
アランの猛る欲望は、ちらと見ただけで初体験のグレースを怖じ気づかせてあまりある大きさだった。指一本でも最初は痛かったのに、彼がこれから胎内に打ち込もうとする楔は、その幅だけでゆうに指三本ぶんくらいありそうだ。
正直に言えばかなり怖い。だが、アランを完全に受け入れたい、彼と愛し合いたいという気持ちのほうが、それよりずっと強かった。
「……大丈夫よ」
おずおずと微笑んでみせると、アランは愛しげにグレースを抱きしめてくちづけた。
「どうすれば一番負担が少なくてすむだろう……。後ろからがいいかな。それとも、きみが僕の上に乗る?」
真面目な顔で問われ、グレースは赤面した。
「わ、わからないわ、そんなの……。普通に……してくれればいい……と思う……」
「きみを抱きしめながらつながりたいな。それに、抱き合ってたほうが暖かい」
アランは悪戯っぽく笑って脚を投げ出した。
「おいで、グレース」
優しく手を引かれ、グレースは膝立ちになってアランの脚をまたいだ。肩に掴まると彼の手が腰をしっかりと掴む。
アランは揚々と鎌首をもたげた先端を蜜道の入り口に浅く埋め、角度を計るように少しずつ潜り込ませていった。
「……痛くない?」
グレースはアランの肩にすがり、ふるっとかぶりを振った。痛みというより、違和感というか、指とは全然違う異物感に戸惑う。それから、未知への不安と期待感――。
アランはグレースに愛情のこもったキスをした。
「僕に掴まって。あんまり痛ければ、爪をたててもかまわない」
頷いてグレースは彼の背に腕を回し、すがるようにぎゅっと抱きしめた。アランは優しくなだめるようにグレースのお尻をゆっくりと撫で、情熱的に囁いた。
「……きみは僕のものだ」
「あなたも、ね……?」
「そう……、僕はきみのものだよ」
低く呟いたかと思うと、アランはグレースの腿をぐっと掴んで引き寄せた。
「――――っ!!」 -
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