書籍紹介
こんなに極甘な結婚だなんて聞いてません!~交際0日の副社長は予想外の愛妻家!?~
こんなに極甘な結婚だなんて聞いてません!~交際0日の副社長は予想外の愛妻家!?~
ISBN:978-4-596-71349-0
ページ数:250
発売日:2024年9月3日
定価:730円+税
  • あらすじ

    君がかわいすぎて我慢ができなかった
    “合理的”に結婚したはずなのに溺愛されているとしか思えなくて……!?

    親を安心させるため、元上司で副社長の晴馬と交際0日で結婚した千愛。そんなつもりはなかったのに酒の勢いで彼と一夜を共にしてしまう。愛されているかのように触れられると気持ちよさや恥ずかしさで何も考えられなくなり――。『合理的』が信条で恋愛を避けてきたのに晴馬を好きになってしまった!? さらに千愛にストーカーの気配が迫り……!?

  • キャラクター紹介
    • 鴨島千愛(かもじま ちえ)
      健康食品会社の研究室勤務。ある理由で『合理的』が信条。酒乱の気がある。

    • 天鷲晴馬(あまわし はるま)
      千愛の元上司。社長の甥で現在は副社長。以前から千愛を好ましく思っていた。

  • 試し読み

    「なにのんでたんですか?」
    「ウィスキーだ」
    「うぃすきー!」
     脱衣場に押し込む前の彼女の肌理の細かい肌を忘れたくて用意したものだが、こんなもので記憶がどうにかなるわけでもなく。余計に身体が熱くなるばかりだった。
    「これ、のんでみても――」
    「だめだ。飲むなよ」
     ピシャリとそう言って、晴馬はグラスを取り上げようとした。しかし、千愛は晴馬の手をひらりと躱した。酔っている割には俊敏性がなかなかだ。
     千愛はグラスを高く掲げたまま唇を尖らせる。
    「だめですかあ?」
    「お酒は飲まないんじゃなかったのか?」
    「だって、さっきのワイン美味しかったんですもん。もしかしたら、これも美味しいのかなぁって……」
    「君は思ったよりもグルメだな? お父さん譲りか」
    「それは、わかりませんけど。グルメじゃなかったらああいう会社には入りませんよ?」
    「それもそうだな」
     千愛が大きく動くたびにグラスの中に入っている茶色い液体がゆらりと大きくコップのフチまで揺蕩う。そんなに量は残っていないが、このままではさっきのワインの二の舞いになってしまうかもしれない。晴馬は諦めたように息をついた。
    「わかった。わかった。飲ませてやるからグラスをおろせ。……一気に飲むなよ。ちびちび飲むんだ」
    「わかりました」
     千愛はいつもとは違うヘラリとした笑みを晴馬に向けた後、言いつけ通りにグラスの縁を舐めるようにウィスキーを飲んだ。
    「これはなんだか、難しい味がしますね」
     そんなふうにいいながらもグラスを離さないところを見るに、どうやらまずくはないのだろう。彼女の頬や肌が先程よりも赤くなっているのはおそらく見間違いではない。
     薄く底に残ったウィスキーが最後の一滴まで千愛の喉の奥に消えて、彼女は満足そうにグラスを置いた。そして、小さくて薄い舌で、ピンク色の艶やかな唇をぺろりと舐めた。
    「うへへ……」
    「出来上がったな……」
    「お酒ってふわふわするんですね。気持ちがいいですー」
     ゆらゆらと彼女の身体が揺れて、晴馬の肩に頭が乗った。顔は腑抜けていて、いつものキリリとした彼女は今やどこにもいない。
    「そろそろ、部屋に戻った方がいいんじゃないか?」
    「え?」
    「もう君は、部屋に戻った方がいい」
     そう言ったのは、そろそろ理性が限界だったからだ。そして、そういう自分が席を立たなかったのは、自分でも知らず知らずのうちに下半身が準備を始めていたからである。
     このまま立ち上がるとバレてしまう。……色々。
     晴馬の声がどこかいつもと違う硬さを含んでいたからだろうか、千愛は「え?」と目を大きく見開いた後、少し悲しげに視線を落とした。
    「もしかして、怒っていますか? すみません。そんなに大切なウィスキーだって知らなくて……」
    「いや、そうじゃなくて……」
    「それなら、呆れちゃいましたか? 私がシャワー室に服を持っていかないような計画性のない女だから、嫌いになっちゃいましたか?」
     千愛の身体は小さくなる。まさかそんな話になると思ってなかった晴馬は「なんでそうなるんだ!」と声を荒らげた。
     全くわかっていない調子の千愛がこちらを見上げてくる。その目元はお酒によってうるんでいた。不安げに寄せられた眉までかわいくて、なにか試されているのではと勘ぐってしまいたくなる。
    「昔からそういうのに疎くて、不快にさせてしまいましたか?」
    「違――」
    「私、晴馬さんに嫌われたくないです」
    「なんでそういうことを酔っているときに言うんだ……」
     晴馬は口の中で何やらモゴモゴと言葉を噛んだ後、やっとの思いでこう吐き出した。
    「そうじゃなくて、だな、その。そういう格好で、そばに寄られると困るんだ」
    「そういう格好? この服、晴馬さんが貸してくれたものですよね?」
    「いや、まぁ、そう、なんだが……」
    「この服、だめ、ですか?」
     この服、を指すように千愛がTシャツの首周りを軽く持ち上げた。その瞬間、きめ細かくて真っ白い肌の双丘が見えた。ピンク色のてっぺんまではっきりと――
     瞬間、劣情よりも先に怒りが湧き上がってきた。なんで、彼女はこうも無防備なんだ、と。自分が先程から我慢しているのにもかかわらず、どうしてこういちいち煽ってくるのだ、と。
     後から考えてみれば、このときの晴馬も酒に酔っていた。
     気がつけば晴馬は、その場に千愛を押し倒していた。買ったばかりの茶色いソファに千愛の小さな身体がすっぽりと収まった。そんな彼女を逃さないようにと、晴馬は両側に手を付き彼女を閉じ込める。
    「はるま、さん?」
     見上げてくるその目にも、舌っ足らずな声にも、やはり酒が残っている。
     怯えたような彼女の相貌。その下には細い首と、真っ白い鎖骨が見えた。仰向けになっているからか、それとも怯えているからか、彼女の乳首はさらに服の上からもはっきりとわかるほどに立っていた。
     その姿に、喉がゴクリと鳴る。
     学生時代、バスケをやっていた晴馬の身体は大きい上に分厚い。それに比べて千愛の身体は小さくて薄い。この体格差で少しでも乱暴にすれば、千愛の身体は壊れてしまうだろう。けれど、もうたまらなかった。
     晴馬はたまらず白い首筋に噛み付いた。
    「あっ!」
     嫌がるかと思ったのに、思った以上にかわいい声が飛び出てきて、それが余計に晴馬の劣情を煽った。軽く痕をつけた後、鎖骨から耳の裏の方まで伸びる筋に舌を這わせる。そのまま首筋に顔を埋めて深呼吸した。千愛の甘ったるい香りがまるでいけない薬のように脳に回り、理性を溶かす。
     晴馬は首筋に顔を埋めたまま、手のひらを千愛の服の中に入れた。指先が彼女のなめらかな肌を滑り、鼓動が速まる。彼女の耳の裏にキスを落としながら、晴馬は先程から触りたくて仕方がなかった胸に触れた。白くて柔らかくて弾力のあるそれを、晴馬はぎゅっと少しだけ強めに握る。
    「――っ!」
     わずかな痛みに彼女が身体をこわばらせるのがわかって、口元に笑みが浮かんだ。
     晴馬は逃げないように太ももで彼女の身体を挟み込み、そのまま人差し指で彼女の先端をグリッと押しつぶす。
     ――かわいい声で、彼女が鳴いた。
     いやだいやだと首を振って、目尻に涙をためているさまがかわいい。たまらなくかわいい。
     そんな彼女をソファの座面に押し付けたまま、首筋に赤い痕をつける。逃げないように自分の体重で彼女を押し付けたまま、晴馬は何度も何度も彼女の首筋に痕をつけた。鎖骨にまでたどり着き、胸にかぶりつこうとしたときに服があることに気がついた。瞬間、彼女の着ている自分のTシャツを破り捨てたくなったが、破り捨てないだけの理性はかろうじて残っていて、晴馬はシャツの上から彼女の先端を口に含んだ。
    「あっ、ぁぁっ」
     頭の上で千愛がまたかわいい声を出す。彼女が頭を掴んでいるのは『もっと』なのか『やめて』なのかわからないので、自分の都合のいいように取ることにした。
     リクエストに答えるようにたっぷりと唾液を含んだ厚い舌で乳首をいじめて、歯を立てた。すると、かわいいことに、彼女はさらに強請ってくる。晴馬は指で彼女の先端を少し乱暴につまみ上げた。
    「――!」
     彼女の身体がのけぞる。
     瞬間、ゾクゾクとしたものが背筋を駆け上がった。
     かわいい。かわいい。かわいい。――食べたい。
     捕食しているようだと、晴馬はどこか他人事のように思った。獰猛な狼が小さくていたいけな兎を嬲って捕食している。そんなイメージだった。
     しかも自分は、嬲ることに多少どころでない快感を覚えている。
     晴馬はこの夜初めて、自分にそんな嗜虐心があることを知った。
     千愛は晴馬の下で可哀想なぐらい息を上げていた。
     身体に夢中になっていて気がつかなかったが、千愛は先程から「なんで」「はるまさん」「どうして」を繰り返している。
     晴馬は荒い呼吸のまま、その疑問に答えにならない答えを吐いた。
    「君はもう少し、俺が男だということを意識した方がいい」
    「……おとこ?」
    「もしかして君は、俺を清廉潔白な男だと思っているんじゃないか? 俺はあんな姿を見せられて、平然としてられるような男じゃない」
     だから、忠告するためにこんなことをしたんだと悪い嘘をついた。本当はしたかったから、しただけなのに。そこに理由なんてものはなにもないのに。
    「こういうことをされるのは、いや、だろう?」
     その言葉を吐く瞬間だけは、少しだけ冷静な自分になった。
     千愛は晴馬の下でしばらく固まった後、視線を落とした。
    「わからないです」
    「ん?」
    「恥ずかしいし、なんか変な感じですけど、嫌かって言われたら、わからないです」
    「……」
    「でも、はるまさんの手はおおきくて、あたたかくて、気持ちがいいです」
     赤い顔のまま、そんなことを言われて、もうだめだった。色々とだめだった。全部がだめだった。
     晴馬は服をたくし上げつつ、腹から胸にかけて舌を這わせた。そして、震える彼女の赤い実を直接口に含む。すると、小さな悲鳴が上がった。しかし、口に含んだ赤い実をコロコロと転がすと、彼女の声に色がついていく。
     甲高いだけだった声に甘さが乗って、「はるまさん」「はるまさん」と何度も自分の名前を呼ぶ。これでいい気になるなという方がおかしい。嫌なら抵抗してくれればいいのに、彼女はいろんなところをとろりととろけさせて背中にすがりついてくる。
    「はるまさん、やっ」
     その拒絶は唐突なものだった。千愛は先程まで晴馬の頭を掴んでいた手を思いっきり伸ばし、晴馬の身体を押しのけている。晴馬が少し驚いたような顔で見下ろすと、彼女は膝をすり合わせながら、泣きそうな声を出した。
    「わ、私、なんかへんで。それ以上は、ズボン、汚しちゃいそう」
     なにで、汚すのかは聞かなくてもわかった。彼女の下半身から蜜が流れ出ているのを想像して、自分の分身が、ズン、と質量を増した。
    「汚してもいい」
     むしろ汚してくれ、とはちょっと変態的だったので言わなかった。
     千愛は晴馬の言葉に首を振る。きっと借りたものを汚すことに罪悪感があるのだろう。
    「じゃぁ、こうしよう」
     晴馬はズボンの縁から手を差し込んだ。そして、そのままズボンをずりおろした。
     千愛は驚いたような声を上げたが、しかしそれも太ももの途中で止まってしまう。
    「あぁ、もう汚れてるな」
     晴馬は彼女の割れ目から細く伸びた透明な糸を見つつ、恍惚の声を出した。
    「ごめ――」
    「謝らなくていい」
     晴馬はそう言いながら手を彼女の太ももの間に差し入れた。そして、中指で彼女の割れ目をゆっくりとなぞる。彼女の下半身はもうベチャベチャで、初めてだろうに、もういつでも男を迎えられそうなほどに準備を整えていた。
    「ぁあっ!」
     彼女は晴馬の首に腕を回しながら小さく嬌声を上げた。腰がゆらゆらと揺れているのは本能だろうか。晴馬も指の腹で彼女の割れ目をいじって楽しんでいるが、それ以上に彼女自身が晴馬の指に自身を押し付けているような気がした。
     しばらく彼女の入り口をいじめて、ゆっくりと指先を中に進めた。誰とも付き合ったことがないといっていた彼女の入り口は固く閉ざされていたが、溢れ出た蜜が潤滑剤の役割となって、指は彼女の中にゆっくりと進んでいく。
     ちゅぷちゅぷと粘り気のある水音が、室内に満ちる。

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