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あらすじ
初恋相手が復讐のためだと婚約を迫ってきて!?
「俺は君に、復讐をしにきた男だよ」数年ぶりに現れたロイドは、出資を条件にエマに婚約を迫ってきた。領地のため、エマはかつて自ら婚約破棄したロイドと再び婚約することに。契約関係なのに情欲が灯る瞳を向けられ肌をなぞられると、全身に甘い痺れが走る。だが甘やかすような言動と裏腹に、ロイドはエマに絶対に明かさないことがあって……!?
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キャラクター紹介
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エマ・ヒル
クレー王国北部の女領主。ロイドとの婚約を自分から破棄した過去がある。 -
ロイド・ドレイク
エマと別れた後、隣国の海軍で活躍し、その後海運会社を経営。経歴に謎が多い。
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試し読み
「それにまさか、ガウンもなしとは」
「が、ガウンは……その……すごくボロボロだから……」
「でも身体が冷えてしまうだろう。ほら、おいで」
そう言ってロイドはエマを抱き寄せた。たちどころに、冷えた身体に熱が灯る。
理由は彼の着衣が少なすぎることだ。ガウンとズボン以外に、ロイドは服を身につけておらず、抱き寄せられるとエマはロイドの胸板に頬を寄せる形になる。
以前の細さが嘘のように逞しく育った胸筋に、エマは手で顔を覆いたくなるががっちり抱きしめられているのでそれも叶わない。
「あ、あなたが冷えない……?」
離れる口実を探して尋ねてみるが、返ってきたのは笑顔だった。
「君が温かいから大丈夫だ」
確かに、うっかり触れてしまったロイドの肌はむしろ熱いほどだ。
「でもありがとう。俺のために着てきてくれたかと思うと嬉しいよ」
「冗談を真に受けるなんて恥ずかしいわ」
「でも可愛いしよく似合ってる。エマは本当に綺麗で、俺にはもったいないくらいだな」
言いながら、ロイドはエマを抱きしめる腕の力を少し強める。
「なあ、俺は君の理想に近づいているか?」
「理想……?」
「前に言っていただろう。男らしくて、自分を守ってくれる王子様の方がいいって」
ロイドを振ったときのことを思い出し、エマは答えに困る。
「あれはつまり、逞しい男の方が好きだってことだろう?」
「もしかして、そう言われたから……鍛えたの……?」
「それもある。嫌いだった男が好みの容姿で舞い戻ってきたら、悔しがってくれるかと思ってね」
昔のままのロイドでも十分素敵だと思っていたけれど、鍛え上げられた肉体を見ていると前以上にドキドキする。以前投げつけた台詞は咄嗟の物だったけれど、確かにエマは屈強な男性が好きなのかもしれない。
「ただ、元々の体つきのせいでそこまで筋肉がつかなくてね。君の理想に沿っているか少し不安なんだ」
「十分すぎる程よ。それにこれ以上鍛えるなんて出来るの?」
「軍では、俺よりもっと立派な体格の奴がたくさんいたよ。ただ生まれ持った骨格や身体の丈夫さに左右されるから、俺はそこまで行けなくてね」
「むしろ今でも十分すごいわ。あんなに細かったのに、こんな……」
「努力したんだ。何年もね」
別れてから十四年、別人になるには十分すぎる時間なのかもしれない。
一方エマの方は、この十四年で何も変わっていない気がする。周りの環境は過酷になってしまったけれど、それに振り回されるばかりで自分自身はあの頃から何も成長していない。
「私も、あなたみたいに強く変わりたかった……」
「変わるまでもなく、君は強いと思うけど?」
「強くないわ」
「でも、こんな状況で君はよくやってる。普通の女の子なら、もっと早くに心が折れて全てを逃げ出しているはずだ」
「逃げる場所がなかったから、ここにとどまっているだけよ」
ロイドとの思い出を心のよりどころにして、叶うはずのない夢を見ながら彼女はここにとどまっていた。
もうエマはロイドのお姫様ではないのに、童話のように彼が颯爽と助けに来てくれるのを多分待っていたのだ。
実際その通りにはなったけれど、ロイドはもうエマの王子様ではない。彼の目的もエマの救済ではない。利益と復讐を求め、エマを抱くのもそのためだ。
(それでも嬉しいだなんて、本当に私は馬鹿ね……)
そして本心をロイドに告げられない、ウソつきで最低な自分にうんざりする。でももう、ここまで来たら引き返せない。
唯一出来るのは、彼への愛情を必死に隠すことだけだ。
「私は今も昔も同じ。あなたを傷つけることしか出来ない愚かな女なの。だから……」
「言わなくてもわかってる。君が何も変わらないとわかっているから、俺は復讐しに来たんだ」
うつむきがちな顔を上向かせ、ロイドがエマの唇を奪う。
復讐と言うには、あまりに甘い口づけだった。口づけに慣れないエマを気遣うように、唇を啄む動きはとても優しい。
それに絆され力が抜けると、ロイドはエマの歯列を割り舌を差し入れた。
「ン……ぅ、ッン……」
普通のキスさえ経験がほぼないのに、舌を使った深いキスに応えられるわけがない。
「本当に、君は昔と変わらず初心なままだな」
戸惑い固まってしまったエマに気づいたのか、ロイドが唇を離し苦笑する。
「ご、ごめんなさい……」
「謝らなくていい。それより、舌を出して」
促されるままおずおずと舌を出せば、ロイドの舌がそれを荒々しく搦め捕る。
「……ンッ、そのまま、もっとこすりつけて……」
言われるがままロイドと舌をあわせていると、唾液が絡まる嫌らしい音が響く。
「上手だ、次はもっと強くしようか」
言われるがまま、舌を搦めているうちに、エマの思考はぼんやりと蕩けていく。気がつけば舌を突き出すだけでなく、ロイドの口に自ら口づけ舌を差し入れていた。
「ッ……ふ……んぅ……ぁ……」
ロイドとのキスはあまりに心地が良い。夢中になって舌を搦めていると、エマの身体をロイドが抱き上げる。
「……きゃっ」
「ベッドに運ぶ。扉の前じゃあまりに情緒がない」
復讐のためだといった癖に、ロイドはこんなときでも紳士だった。
抱き上げたエマをベッドに寝かせ、「脱がすよ?」と一声かけてからガウンを優しく取り払う。
長いキスで呼吸を乱していたエマはなすがまま、ロイドの目の前で肌を晒す。
寝間着は布の面積が少ない上に、肌が透けるほど薄い。ネグリジェのようだが裾も短く、セットで置かれていたショーツが見えてしまうくらい太ももが出るのだ。
「とてもよく似合ってる」
「……でもこんなの、初めてで……」
「ベルフォードではこういう寝間着や下着が貴族の間で流行っているんだ」
「も、もしかしてこれ、すごく高い? 薄いけど、肌触りもとてもいいし……」
「俺にとってはささやかな額だよ。それより君は、値段や手触りよりもっと別のことを気にするべきだと思うけど?」
言いながら、ロイドが触れたのは、薄い寝間着を持ち上げているエマの胸だ。
豊かな双璧の頂は不自然なほど膨らんでおり、エマはぴんと立ち上がった自分の胸に頬を染める。
「キスしかしてないのに、もう熟れてしまったね」
「こ、これは……普通……なの?」
「ああ。女性は気持ちよくなると、ここが果実のように赤く熟れるんだ」
寝間着の上から先端を摘ままれ、エマは羞恥に身体を震わせた。
摘ままれた頂を指先で捏ねられると、恥ずかしさとは違うゾクゾクとした震えが全身を駆け抜ける。
キスをしていたときから感じていた甘い痺れも強まり、エマは細かく息を吐きながら口元を手で押さえる。
そうしないと、妙な声が出てしまいそうだった。
「声は我慢しなくていい」
「ん……、でも……」
「今日は何かを我慢するのは禁止だ。声も、身体も、素直になってくれ」
エマの細い手首を掴み、ロイドはシーツに縫い付ける。
それから彼は、布の上からエマの乳首に口づけた。
「あ……だ、だめ……」
最初は軽く唇を寄せるだけだったのに、気がつけば布ごと頂を食まれてしまう。舌で甘い刺激を加えられながら、果実を摘み取るように胸を揉まれると、エマの熱が高まっていく。
腰の奥がじんと甘くうずき、もよおしたような感覚まで訪れて、エマは太ももを自然と擦り合わせる。
その動きに気づいたのか、ロイドがゆっくりと乳房から唇を離す。
唇から解放された乳首は先ほどよりもピンと張り、彼の唾液で濡れた寝間着をいやらしく持ち上げていた。
「もう、感じてしまった?」
「かん……じる……?」
「ここが熱いかい?」
ロイドの大きな手が胸から腹部を辿り、エマの太ももへと下る。
身体を撫でる手つきは穏やかなのに、ぎゅっと閉じた太ももを撫でられると身体も心もザワザワと落ち着かなくなる。
「もしや、もう濡れてしまったかな?」
「そ、それは……」
言い当てられて恥じらっていると、ロイドが閉じた太ももをぐっとこじ開けた。
ショーツを取り払われ、しっとりと濡れたあそこが直に晒される。あまりの羞恥に太ももに力を入れようとするが、逞しい腕を前にひ弱なエマが勝てるわけがない。
「隠さなくていい、濡れるのは恥ずかしいことじゃない」
「でも、子供のように漏らしてしまうなんて……」
「ここからこぼれているのは、君が想像している物じゃない」
言うなり、ロイドの中指が濡れた花弁を軽くこする。
それだけで、腰がビクンと震えるほどの愉悦が駆け抜けた。思わず太ももから力が抜けてしまうと、膝を立てた状態で先ほどより大きくまたを開く体勢にさせられてしまう。
「や……ッ、あぅ……だめ……こんな、かっこう……」
抵抗しようとしてみるが、ロイドの指に秘裂をなぞられるとはしたない声がこぼれそうになり、やめてほしいと懇願することさえ難しい。
「恥ずかしがる必要なんてない。それにほら、これは汚い物じゃない」
花弁を拭っていた指を持ち上げ、ロイドはそれをエマの前に見せる。
「これは、女性が男を受け入れるためにこぼす蜜だ。多ければ多いほどいい」
ロイドの指の間で糸を引いている物は、確かに尿とは違う。蝋燭の明かりを受けて輝くそれは確かに蜜のようにも見える。
そう思った直後、濡れた指先をロイドが自身の口に含んだ。
蜜を嘗めとる姿は妙に官能的で、どこか触られているわけでもないのにエマの肌が粟立つ。
「君の蜜はとても甘いな」
蜜と唾液で濡れた指先を、ロイドがもう一度花弁に近づける。
先ほどより滑りが良くなったのか指は襞を割りいり、エマの入り口を容易く押し広げた。
指が上下に動くたび、グチュグチュという音が大きくなる。多分エマの蜜の量が段々と増えているのだ。
「あ……なんだか……、ッン、……へんに……」
合わせて声にも甘さが増し、体中を切なさが駆け抜ける。
ロイドに入り口を広げられると、感じたことのない圧迫感に一瞬身体がこわばる。でも優しく押し広げられ、蜜をゆっくりとかき混ぜられると得も言われぬ快楽が身体の奥で弾けるのだ。
心地よさは理性を攫う波となり、気を抜くとロイドの指に自ら腰をこすりつけそうになってしまう。
そんな自分が恥ずかしくて、怖くて、快楽から逃れようとシーツをきつく握りしめていると、ロイドがエマの太ももにちゅっと優しく口づけた。
「怖がる必要はない。気持ちよさに呑まれてしまえばいい」
「く……ンッ、でも……」
「恥じらいが枷になるなら、それもとってあげよう」
中をかき混ぜながら、ロイドが身体をゆっくりと倒す。
まさかと身構えた瞬間、襞の間に隠されたエマの肉芽をロイドの舌がなで上げた。
「っあ、……やぁ、あ、だめ、だめ……」
舌先に向かれた芽から、強烈な愉悦が駆け抜けエマは激しく身体をしならせる。
その間もロイドは洞から指を引き抜かず、中からもエマの感じる場所をこすられたまらない。
あまりの刺激に世界が蕩け、エマは自分が自分で無くなるような感覚に陥る。
四肢をピンと張り詰め、愉悦を逃がそうとしたが無駄だった。
巧みな舌使いで転がされた芽は真っ赤に熟れ、肉洞から掻き出された蜜がシーツを濡らす。
その音を聞いているだけで心地よさは増し、音を伴う激しい愛撫がエマの意識を高みへと引き上げる。 -
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