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試し読み
背後に立ったリオンの手が、ローズの背を撫でる。さっきまでの抱擁とはまるで違う、ぞくぞくするような触りかた。
淫らな誘いから逃れようと、身体が反射的に岩に抱きつこうとする。
けれど、リオンはそれを許さない。
反対の手で水をくみ上げ、ローズの腿から尻へとぴちゃんと水を投げて撫でていく。
「この辺りから、水に慣れるといいかな」
「あっ……冷た……なっ、ああ……っ」
甘い声が口からこぼれ、背を仰け反らせ、お尻を突き出てしまう。
冷ややかな水と、温かな彼の指が交代でローズを刺激する。
「洗っているだけなのに、君は随分と暴れるんだね」
「だ、だって……洗うって……リオンっ……」
水の中で膝ががくがくした。
見計らったように、リオンがローズの身体を離すと、両手を合わせて水をすくい上げる。
それを、ローズの背にかけた。
「きゃっ……! ん、んぅ……あっ…………」
水の冷たさに身を縮ませた瞬間、リオンが背中に両手を這わせながら、キスを落とす。
ちゅっちゅっと、わざと音をたてて、水が流れる、上から下とは逆に、下から上へ這い上がっていく。
「あっ……な、に……」
「洗っているんだよ、ローズ」
「う、うそ……っ」
身をよじる間もなく、リオンの手がローズの乳房を摑んだ。
水に濡れて冷たい彼の手と……ローズの熱を帯びた肌の間に違和感があったのも一瞬だけで、やわやわと胸を揉まれると、白い果実が新たに生まれた熱で疼く。
「ん、んっ……」
「胸の先がツンとしているのは寒いから? 僕の手でこうされているから?」
親指と人差し指で、擦るようにリオンが赤い蕾を摘まむ。
「あっ……わかんな────んんっ……あっ、まったく洗っていませ……んっんん……」
胸の尖端からビリビリと何かが身体中に伝わってきて、ローズは身をくねらせた。
足元の水が、せわしげな音をたてて、湖中での行為に気づいて淫猥な気分がかき立てられてしまう。
「リオン……こんなところで……っ、あっ……揉んだら、んっ……んんんっ!」
恥じらい、抗議の声をあげてもリオンは容赦なかった。
「僕が元気だっていうことを、証明してあげる。誰もいないから、存分に甘い声を出していいんだよ」
「わ、わかったわ……あなたは、元気で……あっ……ん、胸……だめ……っ、そんなに腕を動かしたら……傷が開いて……」
「僕より自分の心配はしなくていいの? それとも、挑発しているの?」
彼の五指に翻弄されてしまう。
「……っあ……だめ……っ、あぁ……」
すごく恥ずかしくて、でも刺激に負けてしまい、大声で拒絶はできなかった。
「駄目? 君の身体はどんどん熱くなって、気持ちいいって言っているみたいだけれど」
「う、うそ……っ。ひぁ……んっ!」
リオンが今後は捏ね回すようにねっとりと胸を揉み始めて、ぎゅっと乳首を潰すように摘まむ。
「気持ちよくなってよ、ローズ……僕からのお礼」
「……あぁっ……あっ、ん……お、お礼なら……別の…………」
────淫らなことじゃなくて……。
そう言いかけて、淫らなことをどう説明していいかわからず、ローズは胸の刺激に呑まれた。
あけすけに、淫らなことは苦手なのとは言いにくし、心の奥底で嫌ではない気持ちが微かに存在しているのに気づいたから。
「別の? 爪を立てて、痛いほうが好き?」
「違っ……あっ、んんっ……!」
甘い痛みに、ローズは岩を抱きしめるようにしてリオンの手から逃れた。
「────君にはこっちのほうがいいかな?」
リオンの微かな笑いを含んだ声が、肌の上を滑ってローズの耳に届く。
その時、リオンが胸を弄る手を放して、ローズの背後からお尻を摑んだ。
「ひゃっ!」
優しく、形を確かめるように撫でながら、屈んだリオンの顔がお尻に近づいてくる気配がした。
途端に……ローズの下肢がびくんと痺れる。
「ちゅ……っ、ローズ……少し、濡れた?」
「ああっ、あっ……なっ……あっ、んんっ……」
柔らかく敏感な媚裂に吐息を感じた気がした。
それは、錯覚ではなく、背後からリオンがしゃがみ込んで舌で秘所を割り、舌を這わせていく。
「あっ、なっ! んっ……ひぁっ……んんっ……」
湖からでない、水音がした。秘部をリオンの熱い舌とは別のとろりとした温かい液体が伝う。
「舐めて気持ちよくしてあげる。ここ……? んっ……あむ……っ」
「ふぁぁぁっ……!」
リオンの舌の感覚に、身体の全部が、反応してしまう。
甘く痺れる感覚に────くらくらする。
背後から屈み込んだ彼が、ちろちろと舌を動かすたびに、身体が戦慄き、おかしな気持ちで乱されていく。
────恥ずかしいのに、変なのに……。
────こんな場所でと思うのに。
抗えない……気持ち、いい……。
リオンの舌で、まだ固い蜜壺の柔襞が甘やかに解きほぐされていく。
差し出した舌を張り付けるようにたっぷりと舐められ、夜の空気にさらされて花開く秘所へ、彼が顔を埋めて口づけてくる。
「ああっ……あっ、も……う……リオン……っ!」
じたばたと脚を動かそうとしても、湖に浸かっていては加減がわからない。もし、彼の頭を蹴ってしまったらと思う。
リオンが舐めている場所が、どんどん熱を持ち、ローズは自分でも秘所が濡れているのがわかった。
彼の唾液なのか、ローズの愛液なのかはわからない。
どちらにしても恥ずかしくて、内腿を擦り合わせて抵抗した。
「もうっ、だめ……リオン……んんっ」
「意地悪をして、君の蠱惑的な場所を隠すの? だったら、僕にも考えがあるけど?」
ふっと彼が笑った空気が、柔襞に吐息になってかかった気がして……。
刹那、柔らかくて艶めかしい何かが、ローズの蜜壺へつるりと入り込んできた。
「ああああっ!」
媚肉をなぞっていたリオンの舌が、粘壁をあっさりと割って入ってくる。
「あっ、んっ! ふぁ……あぁぁ……あっ……」
ローズは水が波打つのも構わず、暴れた。
けれど、次のリオンの指の動きで、それが見えない力で抑え込まれるように止まった。
「ローズの一番敏感なところ、見つけた────」
秘所を舌で割りながら、彼がローズの前へと背後から手を回し、花芯をまさぐって柔い包皮を軽々と向き、花芽を見つける
ツンと尖ったそれを、捏ねるように押す。
「ふぁ、あっ……あっ! そこ……だめ……んっ……ううぅ……あっ!」
敏感すぎるところからリオンの指を逸らそうともがくと、今度は差し入れられた舌が、さらに深く入ってくる。
「あああっ! あっ……いれないで……あっ……ん────」
同時に感じてしまう場所を愛撫され、恍惚に蕩けてしまいそうになった。
嬌声をこんなにあげてしまったら、おかしいと思われてしまうかもしれない。
でも……リオンの指で、舌で、翻弄されてしまう。
「ふぁん……あっ、ああ……やっ、へん……へん、リオン……私……何かが……あっ!」
水中にある脚の指先から、何かがぞくりと這い上がってきて、ローズは慌てて、切羽詰まった制止の声をあげた。
「へん────じゃないよ、ローズ……んっ────」
囁くと、指と舌を緩めてくれるどころか、リオンがくちゅくちゅと激しく押し付けて動かし始める。
「ああっ! リオン……だめ、だめ……っ!」
────何かが、這い上がってきて……身体に力が……頭の中が……。
「ああああっ!」
大きな波がローズの身体を駆け巡った。
ぞくぞくとした緊張が甘い硬直へ誘い、頭の中で白い火花が散る。 -
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