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試し読み
初めて目にする男性の半裸――フェリシアは胸元を押さえたまま、目が離せなくなってしまう。
同じ屋敷に父や兄がいても、着替えや入浴などをフェリシアが手伝うことは一切ない。噴水に飛び込み、びしょ濡れになったときですら、エリオスは彼女の前でシャツを脱ぐことはなかった。
かろうじて、花嫁となる勉強の一環として、家庭教師から男性の裸体が描かれた書物を見せられた。身体の作りがあちこち女性と違っていて、フェリシアはびっくりしつつも、しっかり見てしまった。
だが、その書物で見た身体とヴェイセルの裸体は全然違う。
暗さに慣れた瞳に、ブロンズ色の肌が輝いて見える。広い肩幅に逞しい胸、彼は線が細いイメージだったので、こんな立派な体躯を想像したこともなかった。
(でも、考えてみれば……あの、お兄様と剣の腕が互角なんだもの。ひ弱なはずがないんだわ)
ジッとみつめていると、今度はブリーチズに手をかけた。
ブレイシーズを外してしまったことで、ブリーチズはずり落ち、腰骨が露わになってしまっている。だが、彼はさらに押し下げるつもりのようだ。
「ヴェイセル様、そ、それ以上は……」
それより下は、もっとこっそり脱ぐべきではないだろうか。
ヴェイセルにも裸になってほしい、とねだったのは彼女だが、そこまで考えていなかった。
「脱がなくていい? まあ、穿いたままでも夫婦の睦み合いはできるけど……。でも、もう少し下ろさないと、君と結ばれることができない」
もう少し、と言いながら、太ももの途中までブリーチズを下ろす。
ヴェイセルの下半身が露わになり、彼女は目を逸らせようとした。
しかし、前を向くと目が合ってしまい、恥ずかしくてうつむくと、ふたたびヴェイセル自身が目に入ってしまう。
(ど、どうしましょう。わたしは、どこを向いたらいいの!?)
悩みながらも、ついつい気になって視線がそちらに向いてしまう。しかし、目に入るたび?が火照ってきて、やがて耳まで真っ赤になった。
そのときだ。目に映るヴェイセルの男性器がその形を変え始めた。
フェリシアのほうを指していた先端が、雄々しくなりながら上を向いていく。まるで蛇が鎌首をもたげるように。それは、これまで見たことのない妖しさを漂わせていた。
「フェリシア、そんなにみつめられたら、僕もちょっと恥ずかしいかな」
食い入るようにみつめていた自分に気づき、フェリシアはハッと我に返る。
「す、すみません」
慌てて謝ったが、彼の要求は別のところにあった。
「いや、謝らなくていいんだ。夫婦の間で隠すことじゃないからね。もちろん、君もすべてを見せてくれるだろう?」
「すべて……あの、わたしも……ドロワーズを、脱ぐと言うことですか?」
ヴェイセルは軽くうなずく。
「初夜を過ごすために、必要なことだよ」
たしかに彼の言うとおりだ。脱がなければ夫婦になれない。
だが……。
(旦那様になられる方がすべて教えてくださいますよ、って言われたのは、こういうことも含まれてるの?)
家庭教師だけでなく、乳母や既婚のメイドたちまで、詳しいことは夫に聞け、と言っていた。
フェリシアは思いきってドロワーズの紐をほどく。しかし、布地を掴んで引き下げる勇気が出てこない。
(本当に脱いでしまっていいの? あとから、自分から脱ぐなんてはしたない、とか思われない?)
そんな疑問が頭の中をグルグルと駆け巡り――次の瞬間、ヴェイセルが彼女に飛びかかってきた。
「きゃっ……あ、あっ、んんっ」
キスされて、そのまま後ろに押し倒される。
大きなベッドのほぼ中央に、フェリシアは仰向けで転がされた。あまりに突然のことで、目を開けたままヴェイセルのキスを受け入れる。
そんな彼女の瞳には、天井から射し込む光に照らされて美しく煌めく天蓋の金のレリーフが映っていた。
「ああ、もう、悪い子だね、フェリシアは。そんな可愛らしい顔をして、僕の欲情を煽るんだから。ゆっくり、時間をかけてと思っていたのに、我慢できなくなったじゃないか」
彼の〝欲情を煽った〟覚えはまったくない。
そのことを伝えようとするが、ヴェイセルが綿のドロワーズに手をかけ、一気に引き下ろした。
「きゃあっ!」
スルリと爪先から脱がされる。彼女の身体に残されているのは、白い絹の長靴下だけになった。
「なんて艶めかしい姿だ。全部脱がそうと思ったけど、脚を隠す絹だけは残しておこう。それでもいいよね、フェリシア」
裸を、それも下半身まで見られてしまって、フェリシアはそれどころではない。
少しでも身体を隠そうと身を捩ったとき、ヴェイセルの指が太ももを伝い、彼女の秘所に触れた。柔らかな金色の薄い茂みを指先で梳くようにして、さわさわと撫で擦る。
「あ、ヴェイ、セルさ……ま、やぁ」
慌てて閉じようとした脚の間に、ヴェイセルの片脚が差し込まれた。片脚分の隙間ができてしまい、太ももは閉じようにも閉じられなくなる。
「ダメだよ、脚を閉じようなんて考えては」
その隙間から指を押し込み、ヴァイセルは茂みの奥をまさぐり始めた。
「ま、待って、くだ……あ、そんなとこ……そこを……あなたに、触られるなんて」
「そこ? ここのことかな?」
「ああっ! やっ、やだ、そこはぁ」
彼は茂みの奥にある花びらを指で掻き分け、花芯を見つけ出す。敏感なその部分を指先で抓まれ、くにゅくにゅと揉みほぐすように動かされた。
胸に触られたときとは比べものにならないくらい、甘い痺れが全身に走る。
ピクピクと身体を震わせながら、フェリシアは手で口元を覆い、唇を?みしめた。
「声を出しなさいと言ったはずだよ。仕方ないな。僕の言うことを素直に聞けないなら、我慢できないようにしてあげよう」
もう、充分に我慢の限界まできている。
これ以上、何をすると言うのだろう?
そう思った直後、ヴェイセルの指が割れ目をなぞり、蜜壺の入り口を見つけ出した。縁をそろりと撫でたあと、中指の第一関節までツプッと押し込んだ。
「あ、やっ……ヴェ……ヴェイセルさ、ま……どこを……あ、指が」
胎内に彼の指を感じ、フェリシアの瞳に涙が浮かぶ。
(やだ、泣くつもりなんてないのに……)
ヴェイセルと結ばれることに躊躇いはない。彼に何をされても抵抗するつもりなどなかった。ただ、夫婦の行為はフェリシアの想像以上に、羞恥を伴う行為だった、というだけのこと。
そのとき、ヴェイセルが彼女の髪を優しく撫でた。
しかし、口から零れたのは意外な言葉――。
「残念だがフェリシア、泣いてもやめないよ。僕は君を妻にすると決めたのだから。痛い思いをしたくなければ、言うとおりにしなさい」
蜜窟の浅い部分を激しくこすられながら、ヴェイセルの親指で花芯を愛撫された。彼は荒々しい指使いで、フェリシアの躰に快感を教え込んでいく。
胎内に押し込まれた指はしだいに奥へと進み、蜜を掻き混ぜる音がベッドの上に広がる。
「あっ……あぁっ、や、やっん、そんな、そんなふうに、触ったら……あ、あ、あーっ!」
身体のどこを触られたときより、フェリシアにとって強烈な快感だった。とても我慢できず、泣くような声が口をついて出る。さらには、ベッドのリネンを思いきり握りしめていた。
ハアハアと荒い息を繰り返していたとき、ヴェイセルの指が蜜穴から抜かれた。
少し残念に思いながら、フェリシアは息を吐く。その直後、彼女の脚は大きく開かれた。その脚の間に、ヴェイセルは腰を下ろす。
「ごめんね、フェリシア。もっと可愛がってあげようと思ったのに、もう、僕のほうが耐えられそうにない」 -
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