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試し読み
「ウォルフ……やはり、わたしたちはこれ以上……あっ……やっ、やぁっ!」
ドロワーズの股割れ部分から指が入り込んできた。茂みを掻き分けられ、彼の指はすぐさま花芯を探り当ててくる。
敏感な部分を傍若無人なまでに弄られ、アイリーンは腰を引いて下肢を戦慄かせた。
クチュッという小さな水音は、あっという間にグチュグチュと部屋中に響き渡る羞恥の音に変わる。彼の指から逃れようと腰をくねらせるたび、快感が波のように襲ってくる。
彼女を快楽の海に引きずり込む力は強く、とても抵抗できるものではない。
長い指先に翻弄されるまま、三面鏡の台座に熱い蜜を滴らせた。
「これ以上、なんだ? ひょっとして、この硬くなった部分を触らないでってことかな?」
指先で何度もこすられ、淫芽が硬く膨れてしまう。
その部分を彼はキュッと抓んだのだ。
「ひゃんっ! やっ、やめてぇ」
「ああ、こっちのほうか」
そう言うと、今度は胸の先端を指先で嬲り始めた。
「あっ……あ、あ、あ……違い、ます。そうじゃ……なくて、あっんんっ」
「どっちだ? どっちをやめてほしいのか、はっきり言え」
首筋から耳元にかけて、何度もウォルフの唇が往復する。これ以上吸い痕を残さないで、と言わなくてはいけないのに、理性が少しずつ消えていくようだ。
しかも、両方の指先から繰り出される止め処ない淫靡な感覚。胸の先端をいじられ、それにより下腹部に熱が生まれてきて、水音はますます激しくなる。
やめてくださいと、キッパリと言いたくて……でも、言えない。
割れ目を伝い、臀部の下にヌルヌルした液体がどんどん流れていくのを感じる。自分の意思で止められないのが恥ずかしくてならない。
もっと触れてほしい、もっと強く、激しく。愛の言葉とともに与えられたなら、アイリーンは置かれた状況も忘れ、彼の愛撫に応えるだろう。
(わたし……わたしは、この人を……ウォルフのことを……)
そのとき、ウォルフはぴたりと動きを止め、アイリーンの秘所から手を引いた。
「ほら、やめたぞ。このまま別々の部屋で眠るのが、王女様のお望みなんだろう?」
目を見開いてウォルフの顔をみつめる。
アイリーンは全身が熱く火照り、女の躰もズキズキと疼いたままだ。それなのに、ウォルフは平然とした顔をして彼女から離れて行ってしまう。
胸に込み上げる悔しさと悲しさに、目頭が熱くなる。
ウォルフは彼女と距離を取ったまま、黒髪を掻き上げた。背中を見せ、思わせぶりな視線をチラッと向ける。
「……どうして……そんな、酷い態度を取るんですか?」
「おまえがやめてくれと言ったんだぞ。違うか?」
「それは……」
「泣けよ。おまえを見てると、泣かせてやりたくなる」
ウォルフは突然、踵を返してきた。
目の前に立つなり大きな手で彼女の顎を掴み、強引に上を向かせる。
「妙な意地を張らずに、俺の前で泣いてみろ。助けてくれって泣いて縋れよ。そうしたら、躰の疼きを治めるだけじゃない。おまえの抱えてる問題は全部解決してやる」
うなずいて、その言葉を受け入れてしまえたらどれほど楽だろう。
だが、どこの誰かわからないウォルフに、すべてを委ねることなどできない。それで国民たちが傷つけば、アイリーンは生涯自分の決断を後悔することになる。
(愛してる……そう、思い始めていたけど。初めて知った感覚に、心が引きずられているだけかもしれない)
アイリーンのような立場の人間が、根拠もなしに人を信頼することは、とてつもなく危険なことだ。
もし、このままアイリーンが盲目的にウォルフを愛するようになれば、冷静な判断力も失ってしまうだろう。
ウォルフとの結婚を認めてくれない神など彼女のほうから捨てる。国家国民が彼を女王の伴侶として受け入れないなら、国の未来がどうなったとしても、放り出して彼について行く。
そんな言葉を口走ってしまいそうで……余計に、彼女は涙だけは見せられずにいた。
「泣きません。わたしは、泣かないわ。この国はわたしが守らないと……あっ!」
アイリーンは胸元を隠し、脚を閉じようとした。
それを、ウォルフは力尽くで阻む。
「クソッ! ここまで思いどおりにならない女は初めてだ」
「そんな……あなたは、わたしを思いどおりにして、この国をどうにかしようとしてるの? そういう魂胆があって……あっ、やだ、待って。お願い、ここでなんて……やぁーっ!」
ウォルフは片手ではち切れんばかりの肉棒を取り出し、女淫に押し当てた。自らを掴んだまま、ぬめりの中に浸してクチュクチュとなすり付ける。
アッと思ったとき、熱い塊が胎内に挿入された。アイリーンは羞恥を覚えながら、ズプズプと沈んでいくウォルフの雄から目が離せない。
(ああ、この感覚……わたし、また、この人に……)
「初夜の交わりとは思えないほど、とんでもなく破廉恥な躰だ」
「それは……すでに、あなたと……一夜を過ごしたか……ら……あんっ!」
グイッと腰を突き上げられた。
膣壁に衝撃を受け、アイリーンはほんのわずか身体を浮かせる。
「まあ、そういうことだな。濃厚な一夜を過ごした。朝まで五回、いや六回か――俺の子種を飲み込んだ躰だ」
違う衝撃が彼女を襲った。 -
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